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好き。大好き!◯ね!!  作者: よもぎ野 あんころもち


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3/6

小さい頃から身体が弱く、すぐ熱を出す私。


熱を出すと必ず聞こえてくる声がありました。


ぼわんとした空気に包まれて何を言っているのかも分からないのですが、男女が言い争っているような声。


いつも女の人の悲痛な叫び声で終了する。


だけど何故か心地よい。


年齢が上がるにつれ、その声も聞こえなくなって。

この声、実は胎内記憶なのではないかと思っています。

母親に確認したところ妊娠中も毎日ケンカしていたらしい。


そして幼稚園に通うようになり、熱を出す回数も増え、記憶も増えていく。


機嫌が悪い父親と母親のケンカを目撃するようになる。


仕事から帰って来て酒を飲み、母親の作ったご飯に文句を言いながら、箸を使えるようになってきた私の手元を見て


「ちゃんと持て!!」


と自分の箸のお尻の方で私の手を叩く。


硬い箸で叩かれて泣く私を見て激昂する父親。


「ちゃんと持たないとダメだ!お前の教育が悪い!!」


[まだ4歳だ!持てるワケないでしょ?!]


今2歳と4歳の子供を育てているけれど、4歳で完璧に箸は持てない。


日頃の鬱憤を晴らすかのように私の母親にダイニングで難癖をつけ始める。


やれ、あれが悪い。アイツはバカだ。もっと綺麗になれないのか!

味が薄い!まずい!豚のエサか?!

働いて帰って来て豚のエサ食わせるのか?!


最終的には手が出る。

この頃の母親の顔がまともな形をしているのを見た事がない。


いつもモアイのようだった。


そして、母親を庇う子供を見て更に怒り狂う父親。


「俺が悪いのか?!自分の事ばっかり考えるな!

お前らが自分の事ばっかり考えてるからだろ?!」


子供なので手加減して腹にグーパン。

頭にゲンコツ。いつもこぶだらけだった。


ボロボロの母親が泣き喚く私達子供を庇う。


「飲み屋のねーちゃん達みたいに綺麗にしろ!!こんな頭して何なんだ!!」


頭の毛を毟る。頭を殴る。悲鳴があがる。



その音を聞きつけた祖父が父親を叱ると茶の間に引きずって連れて行き、振り回して殴る。


気が済むまで殴って怒鳴り散らしたらイビキをかいて寝る。


祖父は背が小さく筋骨隆々だったが、自分の息子の方が15センチ以上背が高く、ウエイトもあり、歯が立たない。


「情けない。ざま見ろ。」


母親は自分だけに言われたと思っているが、私は祖父が自分にも向けているのではないかと思った。


毎日のように繰り返される両親のケンカ。


夕食の時間が嫌いで仕方なかった。


夕食の味は血と涙と鼻水の味だった。


でも、父親が大好きだった。


時々優しい父親が本当の姿なのだと思い込もうとしていた。


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