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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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ナイトプールの実体

 迎えた船旅三日目、あっという間に最終日である。

 ガウの具合は一晩でかなり回復したようで、溌剌はつらつとした様子でいる。

 朝から果物をすり下ろしたものを与えると、ペロリと完食した。

 しかしながらまだまだ療養は必要なようで、お腹いっぱいになったあとは眠ってしまった。

 気持ちよさそうに眠る横顔を見ながら、早く回復すればいいな、と思ったのだった。

 お世話が終わったあと、ジェムもすり下ろした果物を食べたいと訴えてきた。

 いつもの焼き餅だろう。

 基本的にジェムは私から魔力が供給されるので、飲食は必要ない。

 しかしながら言いだしたら聞かないので、特別に作ってあげる。

 リンゴを皮ごとすり下ろしたジュースを与えたら、透明な体の中で洗濯機のようにぐるぐる回り、消えていった。今のは消化活動なのだろうか?

 何はともあれ、満足した様子だったので、一安心である。


 ラウンジで朝食を囲む。

 焼きたてのパンに新鮮なサラダ、カリカリに焼かれたベーコンに半熟茹で卵、ニンジンのポタージュ――これ以上ない完璧な朝食をいただいたあと、昨日のナイトプールについての報告をレヴィアタン侯爵から聞くこととなった。


「おおよそわかっていたことだが、健全な催しではなかった」


 なんでも甲板に設置されたプールで泳ぎを楽しんでいる者はほぼおらず、皆、デッキに置かれた寝椅子に横になって、夜空を眺めていたらしい。

 一見して静かな夜のナイトプール、という感じだったが、サイドテーブルに置かれた飲食物のメニュー表を見て仰天したという。


「飲み物を頼むだけで金貨一枚、というありえない価格だったのだ」


 当然ながらこの世界に飲み放題のような概念は存在しない。

 一杯の価格が金貨一枚なのだろう。


「すぐ傍にいた男女が、金貨一枚の飲み物を二杯注文していた」


 いったいどんなものが出てくるのかと思いきや、ごくごく普通の飲み物だったという。

 ただ出てきたのは飲み物だけではなかった。

 銀紙に包まれたチョコレートが二粒、ついてきたのである。

 それを食べた途端に、二人の様子がおかしくなった。


「興奮したような声を上げ、プールに飛び込んでいったのだ」


 不審に思ったレヴィアタン侯爵はすぐさまその飲み物を注文し、チョコレートを調べることにしたという。

 ヴィルを呼んで鑑定で調べさせたところ、違法薬物を使っていることが明らかとなった。

 ナイトプールはおそらく、違法薬物を楽しむ場となっているのだろう。

 レヴィアタン侯爵はウエイターにチョコレートが気に入った旨を話して、どこの商会が仕入れているのか話を聞いた。


「最初こそ口を割らなかったが、金を握らせるとあっさり暴露した」


 それは国内でもそこそこ名が知れている商会だったという。

 ツィルド伯爵との繋がりは疑惑すらなかったようだが、秘密裏に取引をする仲だったようだ。

 調査及び摘発しなければならない案件が、船に乗った三日でどんどん増えていく。

 レヴィアタン侯爵は深く長いため息を吐いていた。

 

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