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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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胸毛コンテストについて

 胸毛コンテスト――それは立派な胸毛を披露し、もっともすばらしい胸毛を持つ者を決める健全極まりないコンテストだという。


「絶対に優勝すると思いますの!」


 レヴィアタン侯爵夫人はレヴィアタン侯爵の胸毛に絶対的な自信があるという。


「ふわふわ、ふかふかしていて、森のクマさんみたいなんです!」


 見てみたいような、ご遠慮したいような。


「優勝賞品はたしか、果物一年分だったような!」


 果物一年分を獲得して、幻獣保護局に寄付できたら、幻獣達も喜ぶだろう。

 ヴィルのほうをちらりと見てみる。


「なんだ?」

「ヴィルは胸毛コンテストに出場するのかと思いまして」

「残念ながら、胸毛はない」

「そうでしたか」


 ヴィルは真面目な顔をして、胸毛があったほうがいいのか聞いてきた。


「いえ、なんといいますか、レヴィアタン侯爵くらいのお年になったら、こう、素敵に見えるかもしれませんね」

「わかった、参考にしておく」


 私がここで胸毛大好き! なんて言ったら生やす努力をしてくれたのだろうか?

 聞いてみたいような、怖いような。


「その、盛り上がっているところに水を差すようで申し訳ないのだが、上半身を露出する水着は持ってきていないぞ」

「まああなた、どうしてですの!?」


 レヴィアタン侯爵夫人は極限まで目を丸くし、少し責めるような口ぶりで問いかける。


「なぜと言われても、妻以外の者に肌を露出するものではないだろうが」

「たしかに、言えていますわ!!」


 レヴィアタン侯爵の胸毛を堪能できるのはレヴィアタン侯爵夫人だけである。

 そう解釈したようで、胸毛コンテストの参加を諦めたようだ。

 ナイトプールへの調査はレヴィアタン侯爵とヴィルが担ってくれるという。

 昨日に引き続き、私とレヴィアタン侯爵夫人は部屋に残り、ガウのお世話をすることとなった。


 二日目の晩――私とレヴィアタン侯爵夫人はガウを囲んで、ささやかなパジャマパーティーをすることとなった。

 私とレヴィアタン侯爵夫人は蜂蜜入りのホットミルクを、ガウは果物をすったミックスジュースを飲んで過ごす。

 ガウは途中で眠たくなったのか、丸くなってスースー寝息を立て始めた。

 私達は起こさないように、静かに撤退する。

 扉を開いた先には、頬をぷくっと膨らませたように見えるジェムの姿があった。


「あ……ジェム、ごめんなさい」


 ジェムはどこで発見したのか、三角のナイトキャップを被っていた。

 パジャマパーティーに誘われていない!! と憤っているのだろう。


「ジェムも一緒に、パジャマパーティーをしましょうね」


 そう言うと、わかればいい! とばかりに頷いた。

 単純な子でよかった、と心から思ったのだった。

 

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