ガウについて
ガウはその後、部屋にあった一かご分の果物をぺろりと平らげた。
まだまだ食べたそうにしていたものの、少し様子を見ようという話になる。
大きな体なので大丈夫だろうが、もしかしたら胃がびっくりして吐いてしまうかもしれないから。
トイレは部屋に砂が入った箱を運んでもらった。
猫みたいな幻獣なので、もしかしたら排泄のさいに砂が必要かもしれないと思ったので、頼んでみたのだ。
あとは、爪とぎできそうな丸太も持ってきてもらった。
船員の一人が猫を飼っているようで、浮子を差し入れしてくれた。
寝室に転がしておくと、目で追っていた。
もう少し元気になったら遊んでくれるかもしれない。
水も清潔なものをコンシェルジュが用意してくれた。
桶に満たされた水をガウはしばらく覗いていたが、新鮮なものだとわかると、ごくごく飲んでいた。
毛づくろいをする余裕も出てきたようだ。
それからガウはぐっすり眠ったようだ。
安心しきった寝顔を見せてくれる。
そんな様子を見て、レヴィアタン侯爵夫人とホッと安堵したのだった。
◇◇◇
ヴィルとレヴィアタン侯爵の部屋に集まって、サーカス団で起こったことをさらに詳しく報告する。
「して、ルシー殿よ、幻獣については、どうするつもりだ?」
懐いているようだったが、契約するのも一つの手だ、なんてレヴィアタン侯爵は言ってくれる。
けれども学校が始まったら、つきっきりでお世話ができなくなるだろう。
それに長い時間、お留守番をさせておくのも気の毒である。
「ガウは女性であれば、比較的心を開いてくれるようなので、幻獣保護局に保護をお願いするのがいいかと思いました」
「まあ、それもそうだな」
おそらく競売で多くの幻獣を保護することになるだろう。
それを想定し、ヴィルが幻獣保護局の局員を港町に待機させているという。
さすがとしか言いようがない。
「そのときに、ガウも引き渡せばいいだろう」
「ええ、それがいいかと」
船で保護している間は、誠心誠意お世話するつもりだ。
◇◇◇
夕方からはナイトプールが開催されるという。
この世界の水着はドレスみたいになっていて、露出度は低い。
けれども濡れることによって化粧や髪型が崩れる上に、体のラインもわかるので、嫌がる女性が多いようだ。
私は別に構わなかったが、ヴィルから禁止令が出てしまう。
「ナイトプールの潜入は、ベンに行ってもらう」
ベンことレヴィアタン侯爵は、胸をどん! と叩いて任せろと言わんばかりのリアクションを取る。
それを見て、レヴィアタン侯爵夫人が嬉しそうに言った。
「でしたらあなた、〝胸毛コンテスト〟に参加するのはいかが?」
「胸毛……なんだと?」
「胸毛コンテストですわ!!」
レヴィアタン侯爵夫人が活き活きとした瞳をしながら説明し始めた。




