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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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船上サーカス

 その後、私とヴィルは船上サーカスに出かけた。

 サーカスのテントは甲板に立てられており、少し小規模だが、船上なので仕方がないのだろう。

 テントの周囲には露店が並んでいた。

 定番のポップコーンにフランクフルト、チュロス、フライドチキン、フライドポテトなどを売る店や、パンフレットにぬいぐるみ、キーホルダーなどの土産を販売する店もあった。

 今回の客船は子どもがいないからか、ぬいぐるみが売れている気配はない。


「ルシー、ぬいぐるみが欲しいのか?」

「いいえ、違います」


 たしかにかわいいが、私みたいな大きなお友達が持つ物でもないだろう。


「あら?」

「どうした?」

「いえ、あの生き物は何かと思いまして」


 ぬいぐるみの中に、見慣れぬ動物をモチーフにした物があったのだ。

 この世界の生き物すべてを把握しているわけではないので、不思議なことでもなんでもないのだが……。


「幻獣ではないですよね?」

「虎の上半身に、獅子の下半身、背中に翼か……見たことも、聞いたこともないな」

「ですよね」


 幻獣について習ったばかりで、三百種類ほどの幻獣を図鑑で見て学んだのだ。

 その中に、ああいう幻獣はいなかった。

 ヴィルも知らないというので、幻獣ではないのだろう。


「サーカスの旗にも描かれてあるから、マスコットキャラクターなのかもしれませんね」

「ああ、そういうわけか」


 空想上の生き物をシンボルマークにすることはよくある。

 これもその一つなのだろう。


「買っておくか」

「そうですね」


 私は獅子と虎の間の子のぬいぐるみを買ってもらった。

  一等席の乗客のために用意されたのは前列だった。

 ぞくぞくと席が埋まっていき、予定時間ぴったりに開始される。

 サーカスでは身体能力が優れた団員が空中ブランコを披露したり、ナイフ投げでハラハラしたり、猛獣使いと魔法生物が登場し、火の輪くぐりや玉乗りをしたり、と大いに盛り上がっていた。

 終盤、団長からの挨拶があった。

 なんでもこのサーカスは、複数の客船に乗船して興行を繰り返す、船上専用サーカスらしい。

 これで終わりかと思っていたが――。


「それでは、最後のショーとなります。我らがサーカスのマスコット幻獣、ガウくんの登場です!!」


 そんな紹介と共に登場したのは、虎の上半身と獅子の下半身を持ち、背中に翼を持つ生き物。

 幻獣と言っていた。


「ガウくん、さあ、みなさんに挨拶してください」


 団長がそう言うと、猛獣使いがガウと呼ばれた幻獣を鞭打ちする。

 すると、苦しげな鳴き声をあげていた。


「こ、これは……」


 ヴィルの顔を見上げると、険しい表情でいた。 

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