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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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うさんくさい店主の情報

 魔法薬を売ったお金で購入しようと思ったのに、ヴィルが会計をしてしまう。

 払うと言っても、大丈夫だと言うばかりだった。

 ひとまず、ヴィルにはお菓子と料理をた~~~っぷり作って食べさせてあげようと思った。


 ここから先が本題である。

 うさんくさい店主が言う、〝お買い物で騙されないための、お得情報〟とはいったい何なのか。

 そもそも店主が盛大に騙されているのではないか、と思う。

 借金の形として受け取った物はガラクタばかり。きちんとお金を回収すればいいのに、それもできていない。金貸しに向いていない性格と言えよう。


 店主は店の外に出て、周囲に他の客がいないか確認していた。

 心配せずとも、ここに客は寄りついていない。

 そんなことも知らずに、店主は店の看板を閉店クローズにしてから戻ってきた。


「これでよし、っと。そうそう、耳より情報を教えてあげるんだったね!」


 店主は私達を手招きし、ひそひそ声で話し始める。


「実は、この船に犯罪まがいのことをしながら商売をしている人達が乗っているらしい」


 知っている……。という言葉が喉から出かかったが、ごくんと呑み込んだ。


「なんだと!?」

「びっくりしたでしょう?」


 ヴィルは演技が巧みなもので、今知った、と言わんばかりの驚いた表情を浮かべている。

 こういう潜入には慣れているので、演技力も身についているのかもしれない。


「いったいどこの誰なのだろうか? 犯罪に加担しないためにも、詳しく知っておきたい」

「う~~~ん、どうしようかな」

「具体的に聞かなければ、対策も取れないだろうが」

「そうなんだけれど、まあ、知人なんだよねえ」


 犯罪まがいのことをして商売をしているのは、うさんくさい店主の知り合いだという。


「知人の情報を売ったのか?」

「そうなるよねえ。でもその人、借金を返してくれなくてさ~」


 その人物らの情報を提供する代わりに、少しでも借金をどうにかして回収したかったようだ。


「まあまあ、でもさ、この船に乗っている人はある程度同じ穴のアナグマ的な存在だと思っているし」

「もれなく全員、犯罪者とでも言いたいのか?」

「いやいやいや、そこまでは言っていないよ」


 ヴィルに詰められ、店主は焦った様子でいる。


「わかった! 少しだけ、踏み込んだ話をしよう」


 店主は羽根ペンを手に取り、紙の裏にさらさら書き始める。


「はい、どうぞ」


 紙に書かれてあったのは〝競売は危険、故買屋に気をつけろ〟とある。

 店主は私達が確認すると、すぐに灰皿の上で燃やしてしまった。


「いろんなお店が出店するみたいだから、気をつけてねえ」


 店主はにこにこしながら、「いい船旅を!」と言って私達を見送ってくれた。


 一度部屋に戻り、ヴィルから話を聞く。


「その、先ほど店主さんが話していたのは、何かの隠語でしょうか?」

「ああ、間違いない」


 なんでも故買屋というのは、盗品とわかっている上で品物を販売する商人を呼ぶようだ。


「幻獣の売買の疑いだけでなく、盗品もこの船でやりとりされていると?」

「そのようだ」


 この件に関しては、ヴィルも把握していなかったらしい。

 あのうさんくさい店主はただ者ではない、と思ってしまった。

 

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