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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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069 絶対遵守のカウントダウン! 慈悲なき二度の選別と、10歳王子の「恐怖による完全統治」

「ホールに入って来なかった者がいれば、残らず処分しろ」


「わんわん!(承知したワン!)」

 レンから直々に命令を受けたコボルト騎士が、弾丸のような速さでホールを飛び出していく。


 その命令は、館内をくまなく索敵していた他のコボルトたちへと瞬時に念話で共有された。


 直後、静まり返った大ホールの外から、壁を隔てて悲鳴や激しい罵声、そしてコボルトたちの容赦のない低い咆哮が響いてきた。


 命令を無視して隠れていた者や、隙を見て財産を盗み出そうとしていた者たちが、文字通り「処分」されている音だった。


「どうやら、俺の言葉の重みを正確に理解していない人が、まだ何人かいたみたいだね」


 レンは響き渡る断末魔をBGMに、事も無げにのたまった。


「ち、ちょっと待ってくれ! あまりにも横暴すぎる! 逃げようとしたくらいで、なぜ命まで奪われなければならな――」


 集められた人々の中から、たまらず一人の男が前に出て叫んだ。


「――殺れ」

 レンは男の言い訳を最後まで聞かなかった。


 冷酷な指示と同時に、壁際で強弓を引き絞っていたコボルト騎士が躊躇なく指を離す。空を裂いた一本の矢が、叫んでいた男のコメカミへと深々と突き刺さった。男は言葉を失い、白目を剥いて床へと崩れ落ちる。


「話をして良いなんて、一言も言っていませんよ。勝手に喋らないでください。これは遊びではない。――【戦争】です」


 レンはホールに集まった人々を、ゆっくりと、しかし射抜くような鋭い視線で見回し、一人一人の目を見ていく。


 彼らの主であるコジマ公爵が、裏で着々と戦争の準備を進めていたことは、当然この館にいる誰もが知っていた。


 これまでこの大都市が攻められたことなど無かったが、使用人たちの中には過去に公爵の戦争に従軍した経験を持つ者もいた。


 つまり、自分たちが「逆の立場」で他人の城や村へ攻め込んだ時の光景を、彼らはよく知っていたのだ。


 血走った目をした兵士たちの威圧を込めた怒声、手に持った武器での残虐な脅迫。力ずくで踏みにじり、ある者は女性を無慈悲に犯し、ある者は金目の物をすべて強奪する――それが、彼らの知る「戦争の常識」だった。


 それに比べれば、目の前にいる10歳の少年領主は、有り得ないほど丁寧で優しい口調で話している。


 しかし、自分たちが「蹂躙される逆の立場」になるなど誰一人として考えたこともなく、何より周囲を取り囲む漆黒のフルプレートを着た魔物たちの不気味な威圧感の前に、人々はただただ、底知れぬ恐怖に身体を震わせるしかなかった。


「貴方たちの主である公爵が、我が領地を攻め滅ぼそうとしていた。だから、俺は先手を打ってここを攻め、制圧した。良いですか? 俺の指示に従わない人は、誰であろうと容赦なく処分します」


 誰も声を発することはできない。人々は涙を浮かべながら、ただ無言で何度も首を上下に振った。


「はい。しっかりと理解していただけたようですね。……ところで、武器の携帯は一切認めないと、事前に伝えたはずですが。――まだ何人か、隠して武器を所持しているようですね」


 レンの言葉に、ホールに張り詰めた空気がさらに引き締まる。静かに感情を押し殺したレンの視線が、値踏みするように人々を一人ずつチェックしていく。


ゴクリ……。


 誰かの生唾を飲み込む音が微かに響いた。


カタッ、ドカッ……。


 レンの圧倒的なプレッシャーに耐えかね、何人かの男たちが懐やブーツの陰に隠し持っていたナイフや護身用の短剣を、諦めて床へと投げ捨てた。


「……なるほど。では、今捨てなかった『残りの他の人たち』は、あくまで俺に従う気が無いということですね。はぁ、本当に残念です。――殺れ」


 レンが短く息を吐き出し、手を下ろした瞬間。


 鋭い風切り音と共に、複数の矢が一斉に放たれた。ドスッ、ドスッと鈍い音が響き、未だに武器を隠し持っていた数人の男たちの頭部を正確に貫く。男たちは声を上げる暇もなく、血を流して床に倒れ伏した。


「ひっ……!」

「う、くぅ……!」


 目の前で繰り広げられる一撃必殺の惨劇に、女性たちや若い使用人たちは両手で口を必死に塞ぎ、悲鳴を無理やり圧し殺した。泣き叫べば、次の瞬間に自分が殺されると直感したからだ。


「さて、生き残った貴方たちには、これから非常に重要な役目を与えます」


 レンは死体を一瞥すら模せず、生き残った人々へ微笑みかけるような、逆に恐ろしいトーンで告げた。


「今すぐ街へ出て、この大都市にある全ての冒険者ギルド、商業ギルドのマスター、有力な商会、そして傭兵団の長に『一時間後にこの領主館のホールに集まれ』と告げてきてください。もし指定の時間に集まらない組織があれば、その組織は我が軍勢をもって跡形もなく叩き潰します。それから、街の一般住民たちにも『今すぐ家から出るな』『武器を持つな』『街から一歩も出るな』と触れ回ってください。この命令を守れない住民も、見つけ次第処分します」


 レンはそこで一度言葉を切り、一段と低い声で念を押し。


「良いですか? あなた方一人一人の行動如何で、これから死ぬ人間の数が大きく変わりますからね。……用件を伝え終えた後は、必ずここに戻ってくるのですよ?」


「は、はいぃっ……!」


「必ず、必ずお伝えして戻ります……っ!」

 目を涙で滲ませ、何度も何度も激しく頷く人々。


 彼らはレンの恐るべき冷徹さと、背後に控えるもふもふの死神たちの圧力を骨の髄まで理解していた。こうして、10歳の王子による恐怖と圧倒的な規律による「街の完全掌握」が、大都市の住民たちへと急速に伝播していくのだった。

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