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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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055 ノイン、はじめてのクリーン! そして、最下層ボス部屋の「秒殺」ワンワン無双!

 ネズミの従魔が器用に開けた宝箱。その中味を見た瞬間、レンはパッと顔を輝かせた。


「スクロール(魔導書)だ!」

「あら、本当にスクロールね」


 ヘレナが宝箱の中から古びた羊皮紙の巻物を取り出し、しげしげと鑑定する。


「……『クリーン』のスクロールだわ」


「おお、そうか! ノイン、でかしたぞ! お前が見つけたんだから、そのスクロールはノインが使っていいぞ」


「あら、優しいのね。これ、街で売ればそこそこのお値段になるのに」


 ヘレナは呆れつつも、嬉しそうにお耳をパタパタさせているボルゾイ風コボルトのノインに向けて、スクロールを発動させてあげた。


 スクロールが眩い光を放ち、その光の粒子がノインの綺麗な毛並みへと吸い込まれていく。直後、巻物はサラサラと光の塵になって消えた。


「よし、これでノインも外でのパトロール中に、自分で『クリーン』が使えるようになったな」


「ウォーン! ウォンウォン(やったワン! マスター、本当にありがとうワン!)」


 ノインは歓喜の遠吠えを上げ、さっそく自分の体にクリーンをかけてフカフカ度をアップさせている。


 それを見たゴールデンレトリーバー風のツヴァイと、フラットコーテッド風のフィアは、羨ましそうに指をくわえて……いや、お口を開けてレンを見つめてきた。


「ワンワン(俺も別のスクロールが欲しいワン……)」

「ワォンワォン(私も欲しい欲しいワン! マスター!)」


「ん〜、そうだな。じゃあ、先に行って新しく宝箱を探してきてもいいぞ。中身によっては自分たちで使ってもいいからな。あ、でも使う前にちゃんと俺に報告するんだぞ?」


 すかさずヘレナが横から人差し指を立てて注意を促す。


「ちょっと、宝箱にはさっきみたいに罠があるかもしれないから、見つけても勝手に開けちゃダメよ! 私が現場に行って、このネズミちゃんを召喚しないと開けられないんだからね?」


「ワンワン!(分かったワン!)」

「ワオーン!(今すぐ次の宝箱を見つけてくるワン!)」


 ツヴァイ、フィア、そして味を占めたノインは喜び勇んで、風のように通路の奥へと駆けていった。


「気を付けてね〜!」

「無理するなよー!」


 ヘレナとレンは、凄まじい勢いで遠ざかっていくもふもふたちの後ろ姿に苦笑しながら声を掛けた。


「……それにしても、やっぱりここは天然の『ダンジョン』で確定ね」

 ヘレナが周囲の壁を見渡す。


「うん、宝箱があったからね。これで、かつてこの村が廃墟になるほどのゴブリン襲撃があった原因の予想がついたよ。恐らく、定期的に間引きされなかったこのダンジョンで『スタンピード(魔物の大量氾濫)』が起こったんだな」


「多分そうね。ギルマスたちがろくに調査もせず放置していたツケが、あの廃村だったのね……」


「これからは俺たちの領地だし、定期的にコボルトたちを派遣して間引かないとダメだな」


「そうね、良い稼ぎ場にもなりそうだし」


「まあ、管理のことは後からヘレナやイアンたちと考えることにして、俺たちもどんどん進むか!」


 レンとヘレナ、そして「マスターの絶対防衛」として付き従うドーベルマン風のドライは、ダンジョンの奥へと進んでいく。


 道中、先行していたフィア、ツヴァイ、そしてアハト(ワイマラナー風)のチームも順調に宝箱を発見。ヘレナのネズミ従魔の活躍で安全に罠を解除し、生活魔法のスクロールや実用的な武器をゲットしながら、危なげなく下の階層へと進んで行った。


   ◇◇


「――ここがボス部屋だな」


 地下5階まで降りたところで、行く手を阻むように頑丈な金属製の大きな扉が現れた。


 先行していたツヴァイ、アハト、フィア、ノインも扉の前に集結。レン、ヘレナ、ドライを含めた突入メンバー全員が揃ったことを確認し、いよいよボス部屋に入ることにした。


「じゃあ、入るぞ。みんな、油断するなよ」

 レンがずっしりと重い扉を押し開け、全員で一歩中へと踏み込む。


 ボス部屋の奥にいたのは――通常の3倍はあろうかという巨体を誇る【ゴブリンジェネラル】。さらに、後衛に控える【ゴブリンアーチャー】と【ゴブリンメイジ】。その周囲を肉壁のように固める、普通のゴブリン10匹。


「おお、さすがにボス部屋だ、随分と数が多いな……!」


 レンがオリハルコンのショートソードを構えようとした、その時。


「ガウガウ(こんな雑魚ども、俺たちにかかれば楽勝だワン)」


 ドライがマチェットを片手に、獰猛な笑みを浮かべて一歩前に出た。……いや、ドライが動くよりも早く、後衛組の「早撃ち競争」はすでに始まっていたのだ。


「ワンワン(後衛のアーチャーは俺が貰ったワン)」

 ツヴァイがそう宣言するより早く、強弓から放たれた一矢が空を裂いた。


――ドスッ!


 凄まじい精度で放たれた矢は、叫ぶ暇さえ与えずゴブリンアーチャーの額を正確に貫いていた。


「ワォンワォン(じゃあ、メイジは私が倒すワン!)」

 負けじとフィアの肉球から、紫色の激しい雷撃が放たれる。バリバリバリッ!と轟音が響き、呪文を唱えようとしていたゴブリンメイジは一撃で消し飛んだ。


「ウォン!(前衛の雑魚は任せろワン!)」

「ガフガフ(一瞬で片付けて、マスターに褒めてもらうワン!)」


 ノインとアハトは、早くレンに良いところを見せたくてたまらないといった様子で、マチェットを煌めかせながら10匹の一般ゴブリンの群れへと一陣の風のごとく突撃していった。


「ガウ!?(おい待てお前ら! 抜け駆けはずるいワン! ……ジェネラルは俺の獲物だ、任せろ!!)」


 周りの仲間たちが一瞬で敵を減らしていく様子に大慌てしたドライも、主人の前で一番かっこいいところを見せるべく、マチェットを逆手に握り直してゴブリンジェネラルへと猛然と走り出すのだった。


 ――こうして、人生初のダンジョンボス戦は、レンが剣を振るう暇さえ一切与えられない、過保護なもふもふナンバーズたちによる「超スピード瞬殺ワンワン無双」の幕が切って落とされた。

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