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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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031 好事魔多し! 掃除機魔獣ノズチとの遭遇と、村で再会する旧知の二人

 大工のバーク、薬師のアンナ、錬金術師のジュリアを連れ、レンたちは竜車を駆って再び辺境の開拓村を目指していた。


 風を切り、大地を蹴って快調に進む竜車。村のシルエットが遠くに見え始め、このまま何事もなく到着するかと思われた――が、現実は甘くなかった。好事魔多し、である。


 その時の御者はシベリアンハスキー風のフンフだった。


「バウッ!!!!」(マスター! 前方にヤバイ奴がいる! 今まで嗅いだことのない、得体の知れない臭いだワン!)


 フンフの鋭い警告と同時に、竜車の中にいた秋田犬風のアインスと、チベタンマスティフ風のツェンも同時に叫んだ。


「ワフーッ!!」(知らない魔物だ、危険だワン!)

「バフウウウ!!」(強烈な、殺意の臭いだワン!)


「君子危うきに近寄らず……だけど、村に近い場所だ。このまま放置したら村に被害が出るかもしれない。遠目からでもどんな魔物か確認だけでもしておこう」

 レンは御者台のフンフに聞こえるように窓を開け、大声で指示を出した。


「バウバウ!(了解だワン! 速度を落として旋回するワン!)」

「フンフ、少しスピードを落として、安全な距離から見える位置を探してくれ」


 横で見ていたジュリアが心配そうに覗き込む。

「どうしたの? 何かあったの?」


「この先に、アインスたちが嗅いだことのないような魔物がいるらしいんだ」

「なるほど……そういうことね」


 竜車は本道から逸れ、茂みを縫って慎重に迂回する。


 すると、遠くから「ブオオオオオオオオオ!!」という地響きのような物凄い吸い込み音が聞こえてきた。その正体を見たレンたちは、思わず息を呑んだ。


 それは巨大な「毛むくじゃらのワーム」だった。


 手も足もなく、目も鼻も存在しない。先端にある巨大な口だけが、周囲の岩や木々を掃除機のように凄まじい勢いで吸い込んでいる。


「……ノズチ……」

 隣でジュリアが青ざめた顔で呟いた。


「ノズチ?」

「そう、ノズチよ。何でも胃袋に吸い込み、異次元の胃袋を持つと言われる魔物。……あんなもの、普通の冒険者が勝てる相手じゃないわ」


「やっぱり強そうだね」

「強いなんてもんじゃないわ。**『Aランク』**の魔物よ。Aランクの冒険者が、命を懸けてようやく倒せるかどうかのクラスよ! ……でも……!」


「でも?」

「……あの魔物の胃袋は、最高級の『マジックバッグ』の素材になるのよ。あの大きさなら、超特大クラスの無限収納バッグが作れるわ……!」

 ジュリアの目が、恐怖と好奇心で激しく輝き始めた。


「いやいや、Aランクなんだろ!? このメンバーで勝てるわけないって!」


(『朝焼けの光』の皆がいれば応援を頼みたいところだけど、遠出するって言っていたし、今は街にいないからな……)


「う〜ん、またとないチャンスなんだけどなぁ」

「村に近い場所だから、放っておけばいずれ村が吸い込まれるわ。まずは村に戻って、ヘレナさんたちとも相談して対策を考えよう」


「そうね……でも……!」

 ジュリアは諦めきれない顔で、異次元の胃袋を持つ魔物をじっと見つめ続けていた。


 そんな緊迫したやり取りを経て、レンたちは村へと帰還した。


 村の入口では、留守番を任せていたヘレナを先頭に、ドライ、ツヴァイ、フィアの3リーダーが整列して出迎えてくれていた。


「ガウ!(おかえりワン!)」

「ワンー♪(マスター、待ってたワン♪)」

「ワォンワォン!(マスターおかえりワン!)」

 その後ろには、ゼクス、ズィベン、アハト、ノインといった二期生たちも尻尾をブンブンと振って待機している。


「アフアフ(マスターが来たワン!)」

「ウワンウワン(帰って来たワン!)」

 村の入り口で竜車を止めると、レン、アインス、ツェンが降り、続いてバーク、アンナ、ジュリアが車から降り立つ。


「みんな、出迎えご苦労さん!」

 レンが手を振って笑うと、ヘレナがニッコリと微笑んで歩み寄ってきた。


「お帰りなさい、レンくん。……お疲れ様。あ、後で話があるわよ」

「ああ、紹介する――」


「……ジュリアさん!?」

「ヘレナ。あなた、こんな辺境の村で何やってんのよ? テイマーズギルドの仕事はどうしたの?」


 二人の思わぬ邂逅に、周囲がどよめく。どうやらジュリアとヘレナは、テイマー界隈で深く繋がりのある旧知の仲だったらしい。


「まあまあ、詳しい話は村の中に入ってからにしよう! ジュリアさんとヘレナが知り合いなら、話は早いね」

 レンは切り替えると、アンナとバークをヘレナに紹介した。


「こちらはヘレナ。テイマーズギルドから派遣されて、この村の防衛と発展のために来てくれた凄腕だよ」


 そしてヘレナには。

「こちらは薬師のアンナさんと、建築職人のバークさんだ」


「ヘレナよ。初めまして、よろしくお願いしますね」

 ヘレナがアンナに手を差し出し、二人は穏やかに握手を交わした。


「アンナです。この村に住む事にしたの、これからよろしくお願いしますね」

「バークだ。このボロ村を立て直しに来た」


 人間同士の挨拶を済ませると、レンはジュリアにツヴァイたちを、そしてヘレナにゼクスら四人の大型新人を改めて紹介した。


 もふもふ軍団と、強力な助っ人たちが合流した開拓村。

 だが、その裏では「Aランク魔獣ノズチ」という強大な影が、着々と村を飲み込もうと迫っていた――。

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