表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

150/157

150 血風吹き荒れる領主の館! 忍びの術を嘲笑う軍神の一閃と、影に溶けゆく内通者

 南オミランの鬱蒼とした領地を、レンたち一行は騎竜で駆け抜けていた。


 北オミラン軍も後方から追走しているが、その行軍速度には決定的な差がある。アレス王国軍は予定通り、敵地深部へと単独で先行していた。


 狙うは、アレスの金銭と謀略に屈しなかった「強硬派」十家の領地。

 そのうちの一角、六大侯爵家が一つを治める領都まで、あとわずかという地点でサンディが手綱を引いた。

「レン様、ここで同行しているコボルトたちは一旦送還しましょう。コボルトの軍勢を連れて正面から門を叩けば、真っ先に疑われますから」


「そうだね、分かったよ」

 レンが短く唱えると、アハトやドライツェンをはじめとする八匹の精鋭たちが、光の粒子となって瞬時に消え去った。


 その直後、街道脇の木陰から一人の男がスッと現れた。

「……待っておりました」


「誰だ?」

 レンが警戒を露わにするが、サンディが落ち着いた様子で答える。


「彼はザグレウス。我々が手懐けた内通者です。領都制圧後、この領地の統治を任せる予定の男ですよ」


 フェルダーがザグレウスを値踏みするように見る。サンディはレンに視線を送り、レンも頷いた。


「今回の作戦指揮はサンディに一任しているからね。任せるよ」


 ザグレウスは、レンの影のように控えるロジーナを一瞬だけギョッとした表情で見つめたが、すぐに視線を外し、無言で領都へと歩き出した。一行はその後を追う。


 侯爵の領都といえど、その規模はアレスやミノスの街程度。門番もいなければ門もない、実に開放的な街だった。


 通りかかると、野菜を売っていた一人の老婆が商売の手を止めて声を掛けてくる。

「おや、あんたたち、見慣れない顔だねぇ」


「……この人たちは俺の知り合いだよ」

 ザグレウスがぶっきらぼうに答える。


「そうかい。どんな用事でこの街に来たのかねぇ?」


「俺の客だ」


「ほほう、そうかい。……なら、気を付けていきなされよ」

 老婆の言葉を背に通り過ぎた瞬間、ザグレウスがレンの耳元に囁いた。


「レン様、今のお婆さんはこの街の『防犯装置』です。敵の侵入を感知し、どこかで警報を流す役目の者でございますよ」


「なるほど、街全体が監視網か」

 ザグレウスの案内で、街の中心に建つ、周囲の屋敷より一回り大きな館に到着した。


「ここの領主は、六大侯爵の一角、『闇のプルトン』です。手強いとは思いますが、お手並みを拝見させていただきますね。では、私はこれで……」


 ザグレウスがそう言い残し、煙のようにその場から姿を消した。


「今のが忍術か……!」


「いいえ。ただの気配遮断よ。隠れているだけ」

 ロジーナが何気なく、すぐ近くの塀の上に視線を向けた。


「行きましょう」

 サンディが館の入り口に近づくと、ようやく異変に気づいた門番が飛び出してきた。


「ここは領主の館だ! よそ者のようだが、どんな用だ? 今日は来客の予定など──」

 門番の言葉は、最後まで続かなかった。


 ――ズバァン!


 ヴァイシュラが抜刀一閃。門番の首が宙を舞う。


「……この男からは、殺気とは違う『毒気』を感じた」


 冷徹に言い放つと、ヴァイシュラはそのまま流星刀を上段から振り下ろし、頑丈な門そのものを真っ二つに斬り伏せた。崩れ落ちた門の下からは、気配を隠して潜んでいたもう一人の忍びが、真っ二つに両断されて転がっていた。

「さぁ、行くわよ!」

 ヴァイシュラが踏み込む。フェルダー、エリー、ダリア、ゲイルも続いた。

「レン様、今です!」

 サンディの合図とともに、レンが門の内側へ空間を歪める。

 門が崩れる轟音で館の奥から飛び出してきた忍びたちが、侵入者を囲もうとしたその瞬間。

「召喚!」

 百匹の精鋭コボルト兵が館の敷地内に一斉に出現した。

「私は逃げ道を押さえるわ」

 ロジーナがそう言い捨てると、次の瞬間には影に溶け込み、姿を消した。


(ロジーナまで……忍者顔負けじゃないか)


 館の前では、飛び出してきた忍者たちと、フェルダー、そして召喚されたコボルト精鋭部隊が激突。硬質な金属音と獣の咆哮が、静かな領都の夜を切り裂いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ