表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/157

148 驚愕の送還術と狂騒の王都行進! 謁見の間に集うモフモフの信奉者たち

 北オミラン王国の将軍イヴォンは、王都の巨大な正門前で、引きつった笑みを浮かべながらアレス王国国王レンを出迎えた。


「レン陛下、お初にお目にかかります。オミラン王国将軍のイヴォンと申します。これより王城までご案内いたしますが……。さすがに、その桁違いの軍勢のまま王都へ入っていただくわけにはまいりません。勝手ながら、残りの兵は王都前で待機させてはいただけないでしょうか」


「ん、分かったよ。それじゃあ、何匹までなら王都に入っても大丈夫だい?」


「は、できれば百人……いえ、百匹程度に抑えていただけますと助かります」


「了解。――『送還』!」

 レンが短くスキルを唱えた瞬間。


「えっ!?」

「き、消えた……!」


「な、なんだこれは、幻影だったのか……!?」


 さっきまで大地を埋め尽くしていたはずの、重武装のコボルト騎士9千9百匹が、光の粒子となって一瞬で文字通り掻き消えたのだ。オミランの騎士たちが驚天動地の騒ぎでざわめき立つ中、正門前には厳選された百匹の精鋭コボルト兵だけが毅然と残されていた。


「す、素晴らしい……。失礼ながら陛下、陛下は一体どれほどの数の兵を瞬時に召喚・送還できるのですか……?」

 イヴォンが冷や汗を流しながら、恐る恐るレンに尋ねる。だが――


「イヴォン将軍。それは我がアレス王国の重大な『軍事機密』にございます。他国の王に対し、手の内を晒せと要求する行為がどれほど無礼に当たるか、承知の上でのご発言ですか?」


 すかさず軍師サンディが横から冷徹な声で割り込み、鋭い視線でイヴォンを射抜いた。


「あ、いや! 滅相もない! 申し訳ありません……余りにも見事な神業でしたので、つい……!」


 イヴォンは真っ青になって頭を下げた。


 その後、案内の騎士たちに導かれ、レンたちと百匹の精鋭コボルト兵は王城へと向けて行進を開始した。


 北オミランの騎士たちとは文字通り雲泥の差である、一糸乱れぬ鉄の規律を保ったコボルト兵たちの行進。


 それは、沿道を埋め尽くした王都の民たちの目に強烈に焼き付いた。そして、その凛々しさと圧倒的な可愛らしさは、瞬く間に民たちの心を鷲掴みにした。


「まぁ! あのぬいぐるみみたいに可愛い兵隊さんは何かしら!?」


「あ、ルル様がこっちにお輿入れされた時に連れていた種族と一緒だわ!」


「アレス王国には、あんなに可愛い子がたくさんいるのかしら!?」


「きゃあ! こっち向いてー! 可愛い!」


「小さくてモフモフなのに、歩き方がすっごく凛々しいわ!」


「素敵! 抱きしめたい!」


 コボルト兵たちの愛らしさに、王都の女性たちや子供たちは黄色い悲鳴を上げて大熱狂。


 さらに、注目の的となったのはコボルトだけではなかった。アレス王国の国王レンの横を、静かに、しかし圧倒的な覇気をまとって歩く銀髪の麗人――大将軍ヴァイシュラもまた、すべての視線を吸い寄せていた。


「ルル様も息をのむほど美しかったが、ヴァイシュラ様はまた次元の違う美しさだな……」


「綺麗だ……なんて気高くて美しい立ち姿なんだ……」


「女神様が地上に降りてこられたのか……?」


「ああ……(天を仰ぐ)」

 男の騎士も民たちも、軍神ヴァイシュラのあまりの美しさに魂を奪われ、言葉を失って見惚れるばかり。


 その狂騒の中を、百匹のコボルト兵たちは一切動じることなく無言で、完璧に揃った足音だけを響かせながら、威風堂々と王城の門をくぐり抜けた。


「ようこそ、我がオミラン王国の王城へ! アレス王国国王、レン陛下。オミラン王国王子のウォルターです」


 きらびやかな玄関ホールで、若き王子ウォルターが丁重に出迎えた。


「レン陛下! ご無沙汰しております!」

「わんわん!」(マスター♪ 会いたかったワン!)

「わんわん!」(お久しぶりですワン!)


 王子の後ろから、リリスの妹であるルルが嬉しそうに駆け寄ってきた。さらに彼女の護衛としてオミランに赴いていたヨークシャーテリアのコボルトと、シェットランドシープドッグのコボルトが、レンの姿を見るなり尻尾をちぎれんばかりに振って足元へ甘えてくる。


「よしよし、2匹とも元気そうで良かった。ルルちゃんをしっかり守ってくれてありがとうな」


 レンは目尻を下げて、2匹の頭を優しく何度も撫で回した。


 その後、役目を終えた百匹の精鋭コボルトたちを一度送還し、一行は場所をオミラン王国王城の厳かな『謁見の間』へと移して、本題の面会を行うこととなった。


 用意された円卓の間で対面したのは、北オミラン王国の国王と王妃、王子ウォルターとその正妻となったルル、そして国政を預かる宰相。さらには、国王のすぐ横で「いやぁ……」とバツ悪そうに赤面しながら頭を掻いている将軍イヴォンである。


「いやはや、先程は門前で大変お恥ずかしいところをお見せしてしまいました。不覚にも、ヴァイシュラ様があまりにもお美しく、思わず見惚れて呆然としておりました。改めて、オミラン王国将軍のイヴォンです」


 イヴォンが身の引き締まる思いで、改めて丁寧に挨拶をする。


「しかし、先ほどのコボルト兵の皆様の練度は本当に素晴らしいですね。それに、あの凄まじい人気ぶり!」


 ウォルター王子も、コボルトたちが王都を行進した際の民たちの熱狂ぶりを、興奮冷めやらぬ様子で語る。


「私も城の窓からずっと見ておりましたのよ! ルルが連れて帰ってきたあの愛くるしいモフモフたちが、アレス王国にはあんなにたくさんいらっしゃるなんて……本当に羨ましゅうて堪りませんわ!」


 王妃までもが目を輝かせ、レンたちの背後に控えるツヴァイやフィア、ノイン、フンフたちを、今すぐ抱きしめたいと言わんばかりの羨ましそうな目で見つめていた。


 対するアレス王国側は、国王レンを中心に、大将軍ヴァイシュラ、軍師サンディ、そして前線指揮を執るフェルダー、エリー、ダリア、ゲイルが円卓の席に腰を下ろしている。


 そして彼らの後ろでは、護衛を務めるロジーナと、最高峰の練度を誇る8匹のナンバーズたちが、無言のままピシッと背筋を伸ばし、周囲への警戒を完全に怠ることなく控えていた。


 ツヴァイ(ゴールデンレトリーバー)

 ドライ(ドーベルマン)

 フィア(フラットコーテッドレトリバー)

 フンフ(シベリアンハスキー)

 アハト(ワイマラナー)

 ドライツェン(ジャーマンシェパードドッグ)

 ノイン(ボルゾイ)

 ツヴェルフ(セントバーナード)


 モフモフたちへの羨望とヴァイシュラへの賛美という、和やかな雑談と一通りの挨拶が一段落したところで――軍師サンディがコホンと一つ小さく咳払いをして、知的な瞳をスッと引き締めた。


「――さて、ご挨拶はこのくらいにいたしましょうか。オミラン国王陛下、これより我がアレス王国軍と北オミラン王国による、本格的な『南オミラン攻略』の軍事作戦について、具体的なお話を詰めさせていただきたく存じます」


 サンディの放った鋭い一言に、謁見の間の空気は一瞬にして、大陸の覇権を揺るがす「戦争の会議」へと切り替わるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ