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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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014 固有スキルがバレちゃった!? 受付嬢の失態と、もふもふ従魔登録

 荒くれ者たちの「教育」へと出かけていった仲間たちを見送り、レンとリーダー、そして五匹のコボルトたちは冒険者ギルドの窓口へと並んでいた。まもなく順番が回ってくると、リーダーが親しげに受付嬢へと声をかけた。


「さて、やっと俺たちの番になったか」


「あら、フェルダーさん。無事に戻られたのですね? ……って、な、なんですか! その足元にいる可愛い子たちは!?」


 受付嬢はフェルダーの無事を確認するやいなや、その背後に控えるふかふかのコボルトたちに目を丸くし、身を乗り出さんばかりに興奮した声を上げた。


(へぇ、リーダーの名前はフェルダーって言うんだな)

 レンが心の中でまた一つメモを書き加える。


「おう、コイツらの話は後だ。まずは護衛依頼の完了報告と、この坊主の冒険者登録。その後にコイツらの従魔登録をお願いする。ん〜、その後に、道中で討伐した魔物の素材と採取した物の買い取りだな」


 手際よく用件を告げながら、フェルダーは御者から完了のサインを貰った依頼書と、自身の冒険者証を受付嬢の前へと差し出した。


「え、ええ!? ああ、はいはい。分かりました」

 あまりの怒涛の案件数に一瞬混乱しながらも、受付嬢はプロらしくそれらを受け取って内容を確認し、冒険者証をギルドの魔道具へと通した。


「依頼完了の確認が取れました。報酬のお支払いは、素材の買い取りと一緒にしますか?」


「そうだな。計算が一度で済む。買い取りと一緒にしてくれ」


「かしこまりました。それでは、次はそちらの男の子の冒険者登録ですね。この申請書に必要事項を記入してください。……自分で文字は書けますか?」


 受付嬢はレンに向き直ると、優しく微笑みながら一枚の用紙を差し出してきた。


「ああ、大丈夫ですよ。文字の読み書きはできます」

 実家では冷遇されていたものの、最低限の教育は受けていたレンは、羽ペンを滑らせて申請書にスラスラと必要事項を記入していく。


「次は……、この子たちの従魔登録ですけれど、マスターはフェルダーさんですか?」


「いや、俺じゃない。5匹とも主はレンだ」


「えっ? じゃあ、レンくんのスキルはテイマーなのね」


「そうです。テイマーです。はい」

 レンはそう答えながら、書き終えた申請書を受付嬢に提出した。


  ◇◇


 受付嬢は提出された書類を受け取り、何気なくそこに記載された『スキル欄』へと目を落とした。そして――。


「――コボルトテイマー!?」


 文字通り、ギルドの天井が震えるほどの大声を張り上げてしまった。


「おいおいおい、声が大きい! ギルドの職員には守秘義務って言う奴があるだろう。お前、何年受付やってんだ!」

 フェルダーがすかさず身を乗り出し、低い声で鋭く叱責する。


「あ! ご、ごめんなさい……っ。そうすると、この可愛い子たちはあのコボルト……。って、何年やってるって何よ、何も歳に関係するような嫌味を言わなくてもいいじゃないの……」


 ハッと口を押さえた受付嬢は、フェルダーの言葉のトゲに傷ついたのか、段々と声が小さくなっていき、最後は聞き取り難いぐらいの音量でブツブツと呟いていた。


「レン、すまん。申請書に書く時はわざわざ固有スキルまで書かずに、ただの『テイマー』だけで濁して記入していいんだよ。あ〜、俺が先に言っておけば良かったな」

 フェルダーは気まずそうに小声でレンに謝ると、再び受付嬢の方をキロリと睨みつけた。


「おい、これ以上この話を広めるなよ! この件については、後で俺からギルマス(ギルドマスター)にもきつく言っておくからな」

 フェルダーはかなり厳しい口調で念押しをしているのだが、当の本人はといえば――。


「……チッ。こんな些細なことを、わざわざギルマスに言い付けなくてもいいんじゃないの……」


 最初は神妙そうな顔をしていたものの、すぐに顔を伏せた受付嬢は、両頬をぷくーっと膨らませてブツブツと文句を言いながら怒っているようだった。反省の色が少しばかり薄い。


(……フェルダーさんは必死に受付嬢に念を押してくれているけれど、ギルドの中の冒険者たち、全員が完全に聞き耳を立ててたからなぁ)


 レンは周囲の荒くれ者たちが「おい、コボルトだってよ……」「あのモフモフが?」とざわついている様子を肌で感じ、ガッカリと肩を落とした。どうやら隠密生活は早々に破綻したらしい。


  ◇◇


「……従魔の証は5つだ。早く出してくれ」

 フェルダーの催促に、受付嬢は流石に気まずそうな顔をして、今度は無言で5つの小さな首輪をカウンターに置いた。


 レンはそれを受け取ると、足元で大人しく待っていたアインス、ツヴァイ、ドライ、フィア、フンフの首へと順番に丁寧に装着していく。これで正式に、この子たちはレンの合法的な所有物(従魔)として登録された。


「はぁ……。よし、レン。ギルドの規則とか冒険者の心構えの説明は、もう聞かなくてもいいよな?」


「はい。道中に馬車の中で、ダリアさんとエリーさんから嫌というほど聞いているので、特には必要ないですね」


「じゃあ決まりだ。買い取り希望の素材は量が多いし、こんな場所で広げるわけにもいかない。裏の解体所に直接持っていくよ。……おい、ゲイルたちが『教育』から戻ってきたら、俺たちは解体所にいると伝えておいてくれ」


 フェルダーはこれ以上受付嬢と喋るのが心底面倒臭くなったらしく、用件だけを吐き捨てると、レンを振り返った。

「レン、解体所に行くぞ」


「はい!」

 レンと五匹のコボルトたちは、フェルダーの頼もしい背中を追って、窓口を離れギルドの奥へと向かった。


(なるほど、あの無口な槍術士の男の人の名前は『ゲイル』って言うのかぁ)


 そんなことをぼんやりと考えつつも、レンは新しく手に入れた冒険者プレートを握り締め、もふもふ軍団と共にギルドのさらに深部へと足を踏み入れるのだった。

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