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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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119 次征への布陣と、錚々たる「モフモフの盾」! 覇王の元に集いし重臣たちの円卓会議

今回のお話は、「作戦会議」という名を借りたキャラクター紹介回となります!

ありがたいことに最近登場人物(と可愛い毛玉たち)がかなり増えてまいりましたので、ここで一度スッキリと整理させていただきました。

少々説明が長くなっておりますが、次なる西征への布陣として、どうぞ温かい目でご容赦いただけますと幸いです!

 ここは、アレス王国王城の地下に設けられた大ホール。


 中央には巨大なロの字型の円卓テーブルが鎮座し、その周囲にはすでにアレス王国の中枢を担う重臣たちの殆どが席を埋めていた。


「ワフワフ!」(アンナ様、こっちだワン!)

「ワフワフー!」(急いで急いでーワン!)


「はい、はい。もう、分かったから引っ張らないの!」


 ホールの扉が開き、秋田犬風コボルト・アインスの小さなジュニアたちに手を引かれ、後ろからお尻をピコピコと押されながら入室してきたのはアンナだ。


 彼女は旧ヒダ王国薬剤師ギルドの元ギルドマスターであり、現在はアレス王国の医療・薬科の最高責任者である。そのすぐ後ろを、彼女の夫であり旧大工ギルドの元ギルドマスター・バークが、苦笑いを浮かべながら頼もしい足取りでついていく。


 そして、最後にホールへ足を踏み入れたのはロバートだった。


 かつて片足を失い義足となった元Aランク冒険者であり、引退後はギルドの凄腕解体士として、若き日のフェルダーたちを育て上げた男。「とっつぁん」の愛称で広く慕われる古強者だ。


「わんわん」(足元に気をつけて、こっちだワン)

「わんわん……」(エル、あんまり急がせるなよワン)


 土佐犬風コボルト・エルのジュニアがロバートの手を引いて案内するが、後ろから歩く父親のエルに「急がせて転ばせるな」とたしなめられている。その後ろからは、ずんぐりとしたイングリッシュブルドッグ風のコボルト・ブルが、重厚な足取りで静かに随伴していた。


 レンはロバートが着席したのを見届けると、ゆっくりと席を立ち、居並ぶ重臣たちを見渡した。


「――よし、全員集まったな。それではオミラン王国攻略に関する、作戦会議を開始する。今回みんなに集まってもらったのは、次の西征における各自の役割発表と、情報共有を行うためだ」


 レンのすぐ隣では、先月正式に正妻となったヘレナが凛とした表情で誇らしげに頷いている。彼女の前のテーブルの上では、ヘレナの眷属である八咫烏ヤタガラスのヤタが、羽を休めて大人しく戦況を凝視していた。


 レンの斜め後ろには、絶対の護衛であるワイマラナーのアハトとボルゾイのノインが直立不動で気配を消している。……が、レンの真後ろに目をやると、小さな机と椅子が置かれていた。


「ウォンウォン……」(書き書き……ワン)


 なんと、そこではノインのジュニアが小さな前足でペンを握り、真剣な顔で書記を務めていたのだ。


 ちらりと我が子の様子に目をやりつつも、すぐに鋭い視線で周囲の警戒に戻るノイン。


(……っていうか、ノインはいつの間に子供を作ってたんだ? しかも、誰がいつの間に読み書きを教えたんだよ!?)


 レンは内心で激しく突っ込んだが、ジュニアは知らないうちに城内で正式な事務職の席を勝ち取っていたらしい。コボルトの進化スピード恐るべしである。


「まず始めに、基本方針だ。今回もオミランに最初から大軍で攻め込むことはしない。僕とコボルト部隊が中心となり、いつものように少数で現地へ潜入し、要所で一気に軍勢を『召喚』する形式をとる」


「……でしょうね。最初から何万もの大軍を大移動させれば兵站ロジステクスのリスクが跳ね上がるし、何より進軍に時間がかかりすぎるもの」


 小声でそう呟いたのはダリアだ。元Bランク冒険者パーティ『朝焼けの光』の優秀な魔法使いであり、現在はアレス王国魔法師団・第三騎士団の団長を務める才女である。


 彼女の膝の上には、フラットコーテッドレトリバー風のコボルト・フィアの子供が、お行儀よくお座りしていた。


「ワォン?」(父ちゃん、俺もあっちに行く?)

「ワォンワォン」(お前がもっと強くなったらな、ワン)


 ジュニアは、ダリアの後ろで控える父親のフィアと、静かに犬語で男の約束を交わしているようだ。


「そうね。隠密性と機動力を重視するなら、今回も私たちの部隊が主軸になるわね」


 ダリアの隣で微笑むエリーも、同じく元『朝焼けの光』の一員だ。現在は、その神速の腕を活かして弓術隊兼斥候を担う第四騎士団の団長を務めている。


 彼女の背後にはゴールデンレトリーバー風のコボルト・ツヴァイが大きな体を預けて座っており、その真横の席では、ツヴァイの子供たちが並んで必死に書記作業を行っていた。


「ワォンワォン!」(漏らさず書き書き、ワン!)


「――陛下。懸念が1点あります。王女リリス様と婚約したとはいえ、まだ正式な同盟条約を結んでいないミノス王国の領土を通過して進軍するのは、あまりにリスクが高くありませんか?」


 鋭い声で疑問を投げかけたのは、大剣を背負った男――フェルダーだ。


 元『朝焼けの光』の頼れるリーダーであり、現在はアレス王国将軍兼第一騎士団長として軍の筆頭に立つ男である。彼の隣では、ドーベルマン風コボルト・ドライが低く唸りながら同意の意思を示した。


「ガウガウ」(確かに、まだ後ろから撃たれる危険があるワン)


「その点については問題ない。同盟は遠征前に早急に締結する。それに……今回は、リリスも西征に『同行』することが決まっているからね」


「ええっ!?」

 その瞬間、リリスのすぐ隣に座っていた美女から、素っ頓狂な驚きの手のひらが上がった。


「お姉様、戦場に行くなんていくら何でも無茶ですわ! 貴女、まともに武器を握って戦ったことなど一度もありませんでしょう!?」

 声を荒げたのは、リリスの実の妹であるルルだ。


 彼女はレンの腹違いの兄・ヨリツナの正妻だった女性だが、レンにとっては「義理の姉」であり、リリスの妹でもあるため「義理の妹」にもなるという、少々複雑な立場の蛇の獣人である。


 絶世の美女だが、彼女も重度のモフモフ狂信者であるため、ヨリツナ亡き後もミノスに帰国せずアレス王国の後宮(というかコボルトの園)に居座り続けている。


「ふふふ、ルル。これは愛する旦那様の野望のため、そして我がミノス王国の誠意の証明として必要なことなのです。私の身の安全については、ツヴェルフと、同志ロジーナが命に代えても守ってくれますから問題ありませんわ」


「わんわん!」(不届き者はこの巨体で踏み潰すワン!)

 リリスの背後から、超大型のセントバーナード風コボルト・ツヴェルフが、頼もしすぎる重低音の咆哮で応じる。


「そうよルルちゃん! 同志リリスの身の安全は、この私が完璧に保障するよー!」

 ルルの隣で拳を突き上げたのはロジーナだ。


 かつてレンを暗殺すべく送り込まれた元Aランク冒険者の超凄腕暗殺者スカウトだったのだが、領地に来た瞬間にコボルトのモフモフの虜となり、速攻でレンの配下に鞍替えした経歴を持つ。


 実はヘレナの幼馴染であり、天涯孤独の身となった後はランドルフに引き取られて育てられた過去を持つため、実質ヘレナの姉妹のような存在でもある。


 そのロジーナの向かい側では、槍術隊兼第二騎士団長であるゲイルが、立派な体躯で両腕を組み、無言で深くフムフムと頷いていた。その隣では、シベリアンハスキー風のコボルト・フンフも、全く同じポーズで「うむ」とばかりに首を縦に振っている。


 ゲイルも元『朝焼けの光』の主要メンバーであり、現在はフンフの「槍の師匠」として、共に無敵の近接部隊を率いる相棒同士だ。


 アレス王国を支えるかつての仲間たち、そして数々の有能なコボルト幹部ナンバーズと、その未来を担う優秀なジュニアたち。


 オミラン王国攻略という新たな大遠征に向け、レンの掲げる旗の下に集った異色の重臣たちは、それぞれの絆とモフモフへの愛を胸に、静かに戦意を研ぎ澄ましていくのだった。

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