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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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115 執務室はモフモフの園! 王の決断と、チワを懸けたロジーナの超速出陣

「ヒダ王国とエマ王国は、形の上では大勢が決したとはいえ、まだ全ての領地を完全に臣従させたわけじゃないからね。残りの領地もしっかりと制圧して、臣従させる必要があるんだ」

 レンが今後の課題を口にすると、


「うんうん、そうね」

 とヘレナが深く頷き、


「まだ一波乱、時間がかかりそうですわね」

 とリリスが息を吐く。


「……というわけで、その問題が綺麗に解決したら、け、結婚と、婚約をする……ってことで良いかな?」

 少し照れくさそうに尋ねるレンに、二人の美女はそれぞれの笑みを浮かべた。


「勿論、良いわよ。早く全部解決できるように、さっそく確実な計画を立てなきゃね」


「うふふ、いっそのこと、不服従の領地は我が軍で一気に踏み潰して差し上げましょうか?」


「いや、そこまでしなくても、人選の目星はなんとなくついているから大丈夫だろう。それより、結婚の準備や内政調整なんかは二人に任せるよ」


「分かったわ」

「承知いたしました」


 こうして、戦後の処理がすべて終わった段階で、正式にヘレナとの結婚、リリスとの婚約を執り行うことが決定した。


広大なる「モフモフ執務室」

 アレス王国の新たな王城となったこの場所の国王執務室は、多くの側仕えや護衛を同時に留め置く必要があるため、非常に広い。


 レンの立派な執務机はもちろん、来客用の豪華なソファーセットが置かれてもなお余りあるその空間に、なんとヘレナの執務机とリリスの執務机もまとめて運び込まれた。


 レンの背後には、不動の護衛であるワイマラナーのアハトとボルゾイのノイン。


 リリスの椅子の横には、超大型のセントバーナード・ツヴェルフが静かに控える。


 さらに部屋には、メイド服に身を包んだトイプードルのトイ、チワワのチワ、ポメラニアンのポメという3匹の小型コボルトメイドがパタパタと小気味よく出入りしていた。


 この可愛いメイド3匹を溺愛して止まないオリビア、ロジーナ、プリシラの3人も、人間にしかできない複雑な用事や伝令があれば、呼ばれてすぐに動けるよう別室に控えている。


 そして、外部への伝言や雑用をこなす連絡係として、柴犬のシバとミニチュアダックスフンドのダックがお行儀よくお座りをして待機していた。


 まさに、アレス王国の中枢でありながら、最高密度の「モフモフの聖域」と化している。


「ロジーナ!」

 レンが声をかけると、待機室から弾むような足取りで本人が現れた。


「はいは〜い! 呼ばれて飛び出て、じゃじゃじゃじゃ〜ん! 陛下、ロジーナちゃんがやって参りましたよ〜!」


「相変わらずだな……。早速だけど、エマからついてきたあの精鋭騎士たちは、本当に信頼しても大丈夫なのか?」


「精鋭達? ……あ、な〜んだ、『モフモフ守り人部隊』のことね」


「また勝手に変な名前をつけたな……」


「あはは! でも彼女たちは絶対に信頼できるわよ。あのモフモフの至高の魅力を知って、コボルトちゃんたちを裏切るような子は一人もいないって、私が断言しちゃう!」


「それなら好都合だ。エマの残りの領地を迅速に臣従させて、そのまま現地のエマの防衛を彼女たちに任せたいと思ってる。具体的な人選はロジーナに任せるよ」


「え〜っ!? そんなの、コボルトちゃんたちと離れ離れになっちゃうから、彼女たち絶対に寂しがるわよ〜? ねぇ、リリス同志?」


 ロジーナが隣の机のリリスに同意を求めると、リリスもペンを置いて深く頷いた。


「そうですわねぇ。モフモフ(コボルト)への愛のために働く健気な子たちですものね。……でもレン様、当然、そのエマの防衛にはコボルトちゃんたちも同行させるのでしょう?」


「おう。制圧と今後の防衛、治安維持のために、コボルト軍勢を『5千匹』派遣するつもりだ」


「おお! 大判振る舞いね!」

 ロジーナが目を輝かせる。


「ああ。ただし、周辺の完全な制圧が完了して落ち着いたら、2千匹はこっちに戻ってきてもらうけどね」

「なるほどね。じゃあ、コボルト側の頼れる隊長格も派遣してくれるんでしょ? 彼女たち人間だけじゃ、いざって時にモフモフたちを統制しきれないわよ」


「コボルトの現地の総指揮は、ドライツェン(13)に行ってもらう」


 ドライツェンは、ジャーマンシェパード風のコボルトだ。ブラウンの毛並みにブラックタンが綺麗に入ったオーソドックスなスタイル。体毛は目の詰まったダブルコートの短毛で、その精悍な顔立ちの通り、きわめて忠誠心と規律が高い有能な指揮官だ。


「ええええ! ナンバーズ(幹部格)じゃない! 随分と力を入れてるわね!」


「そうだ。だから、残りの領地の制圧が完了するまでは、ロジーナ、お前にも現地に行ってもらう。お前なら前回の夜襲も含めて制圧の手順が分かっているだろ。前と同じように進めてくれればいいから」


「え? いやぁ、陛下直々の命令とあれば行きますけどぉ……。でも私、今さっき帰ってきたばっかりじゃん! まだ心の中のモフモフ成分を絶賛充填中というか何というか……」


 渋るロジーナに、レンはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、とっておきの切り札を出した。


「――もしチワが了承するなら、お供として連れて行っても良いぞ」


「マジっすか!? チワちゃんが一緒!? ……よし、チワちゃんには指一本、傷一つ付けさせません! そこまで言ってくれるなら、このロジーナ、喜んで世界の果てまで行くっす!」


 現金なものである。ロジーナは一瞬でやる気を爆発させた。


「で、もう一つ。現地が完全に制圧された後の話なんだけど。誰かエマの統治を代理で任せられるような、まともな人材はいないかな?」


「ん〜、そうねぇ……。あ、モフモフ守り人部隊の中に、エマの有力な侯爵家のご令嬢がいたわよ。その実家の侯爵が使えそうなら、まるっと統治を任せられるんじゃないかしら? もしその侯爵が駄目でも、他にも貴族の娘がいっぱい混ざってるから、私に一任してくれるなら現地でじっくり面談して、適当で優秀な人を適当に見繕ってくるよ!」


「おお、それは助かる。分かった、エマの件は全面的にロジーナに任せるよ」


「ラジャ! それじゃ、行ってきまーす!」

 ロジーナはパッとふざけた敬礼をしてみせると、弾丸のような速さで執務室を飛び出していった。廊下からはすぐに、大きな声が響いてくる。


「チワちゃーーーん!! 一緒に楽しい旅行に行こうぜーーー!!」


(……旅行気分かい!)

 レンは思わず心の中でツッコミを入れた。


 その様子を、ヘレナとリリスはなんとも微笑ましそうな表情で見送っていた。


 ヘレナにとってロジーナは気心の知れた幼馴染みであり、リリスにとっては崇高な「モフモフの同志」である。そのため、例え国王の前であっても、いつも通りにお調子者な口調を崩さないロジーナの態度に対して、二人が不快感を抱くことは全くないのだった。

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