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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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101 二国挟撃の業火と、王都強襲! 精鋭コボルト千匹が駆ける城内蹂躙劇

 ヒダ王国とエマ王国の戦いは、緒戦から凄惨な激戦を極めていた。


 元々は互角の実力を持ち、長年に渡って覇を争ってきた宿敵同士。


 これまでは常に一進一退の攻防を繰り返してきた両国だったが、今回のエマ王国の本気度はこれまでの比ではなかった。


 この千載一遇の好機を何が何でもモノにするため、エマ王国は国力をもぎ取るような全勢力をもって進軍してきたのだ。


 武力に長けたヒダ王国国王軍が北方の前線に急行した時には、既にいくつかの村や主要な街がエマ軍によって瞬く間に制圧されていた。


 いくら国王自身の武威と気迫があるとはいえ、完全に後手に回った国王軍は圧倒的な数の暴力の前にジリジリと防戦一方に追い込まれていく。


 一方、南の戦場でも、練度・戦術ともに遥かに勝るロバート将軍率いるアレス王国軍が、終始優位に戦闘を繰り広げ、ヒダ王国の迎撃部隊を容赦なくすり潰していた。


空っぽの王都、欺瞞の門

 そんな二大戦場が血に染まっている最中、レンたちの電撃隠密部隊は、すでにヒダ王国の王都の目と鼻の先に到着していた。


 並走していたワイマラナーのコボルト・アハトと、ボルゾイのコボルト・ノインは、無用な混乱を避けるため王都に近づく前に一度影へと送還。


 レンたちは、巨大な騎竜に跨る「6人の旅の冒険者」という偽装を施し、堂々と王都の正門へと乗り込んだ。


「いやぁ、腕の立つ冒険者たちはみんな戦場(前線)に行っちまってな! あんたたちみたいな強そうなのがこの時期に来てくれると本当に助かるよ!」


 レンたちが提示した偽造冒険者証は「Cランク」。そこそこの修羅場をくぐってきた実力者という、怪しまれず、かつ頼りにされる絶妙なラインだ。留守を預かる門番は、6人のCランク冒険者の来訪を完全に歓迎し、疑いもせず満面の笑みで門を通した。


「……案外、簡単に通れたな」

 騎竜の背の上から、ガランとした王都の街並みを見下ろし、フェルダーがレンに声をかける。


「ああ、後は一気に制圧するのみだ。作戦通り、ここで二手に分かれよう。俺たちはこのまま王城を直接叩く。フェルダーとロジーナは冒険者ギルドを制圧してくれ。アレスの恐ろしさを教えるために、派手に頼むよ」


「分かったわ。あの嘘つきで性根の腐ったハゲのギルマス、きっちり生け捕りにして王城まで引きずり回してあげる!」

 ロジーナが好戦的な笑みを浮かべて答える。


「――往くぞ。召喚!」

 レンが短く唱えると、レンの影から黒く引き締まった体躯を持つドーベルマン風のコボルト・ドライ(3)を筆頭に、ギラギラとした目を光らせる千匹のコボルト突撃兵が、一瞬にして路地裏を埋め尽くした。


「ガウガウ!(マスター、仰せのままにワン! 暴れるワン!)」


「ドライ、フェルダーとロジーナとともに冒険者ギルドを制圧してこい!」


「ガウガウ(承知だワン! 一匹も逃がさないワン!)」

 突如として街中に現れたコボルトの軍勢に、王都の住民や残っていたわずかな衛兵たちは一瞬でパニックに陥る。


「おい大人しくしろ! 抵抗する者は容赦なく切り伏せるが、武器を捨てて抵抗しない者には手出しはしない! 命が惜しい者は今すぐ家に閉じこもり、絶対に街に出るな!」


 フェルダーが自慢の大剣を抜き放ち、鼓膜を震わせる大声で警告を発する。


「じゃ、行ってくるわね」

 ロジーナがレンに軽快に手を振り、コボルトの群れを率いて地響きを立てながら冒険者ギルドへと突撃していった。


城門圧砕、神速の蹂躙

「よし、俺たちも行くぞ!」


 レン、エリー、ダリア、ゲイルの4人は騎竜の腹を蹴り、パニックを起こして逃げ惑う人々の隙間を縫うようにして、王都の中央にそびえ立つ王城へと全速力で爆走する。


 途中、異変を察知して冒険者ギルドの方へ向かおうとする衛兵の集団とすれ違ったが、レンたちは目もくれず無視。そのまま城の堅牢な総門を目がけ、騎竜の速度を落とさずに突っ込んでいく。


「侵入者だ! 門を閉じ――」

 叫ぼうとした門番の喉笛を、エリーが騎竜の上から放った寸分の狂いもない神速の矢が射抜いた。


「そこをどきなさい――『火炎球ファイアボール』!」

 間髪入れず、ダリアが不敵な笑みを浮かべて杖を振り払う。放たれた巨大な火球が、閉じようとしていた城門に直撃し、爆発した。


 ドォォォォン!! と凄まじい轟音が響き渡り、木端微塵に崩れ落ちる門の残骸。その煙を割って騎竜のまま敷地内へと侵入したレンは、再び右手を天に掲げた。


「我が精鋭たちよ、出番だ! ――召喚!!」

 空間がグニャリと歪み、レンの身内とも言える最高峰のナンバーズ、そして城内制圧用の追加の千匹のコボルトが解き放たれる。


アハト(ワイマラナー風):

「ガフガフ!(マスター、やるぜワン! 肉祭りだワン!)」


ノイン(ボルゾイ風):

「ウォン(僕の美しき演武、お見せするワン! 任せてワン!)」


ツヴァイ(ゴールデンレトリーバー風):

「ワンワン!(一番乗りだワン! 行くぞワン!)」


フィア(フラットコーテッドレトリバー風):

「ワォン(邪魔する奴は、みんな燃やすワン!)」


フンフ(シベリアンハスキー風):

「バウバウ!(マスター、お久しぶりワン! 暴れるワン!)」


 召喚された極上のモフモフ精鋭部隊は、凄まじい歓喜の雄叫びを上げながら城内を縦横無尽に駆け回った。


 フサフサの尻尾をなびかせながらも、その牙と爪は一級品。立ち向かってくる城の衛兵や騎士たちを、圧倒的な身体能力で文字通り次々と蹂躙していく。


「――この城はアレス王国が貰ったぁぁぁ!! 大人しく武器を捨てて明け渡せぇぇぇ!! 抵抗する者には、一切の容赦をしない!!」


 燃え盛る城門の炎を背に、レンの威風堂々たる叫び声が、パニックに陥るヒダ王城の隅々にまで冷酷に響き渡るのだった。

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