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【完結版】史上最弱のコボルトテイマーが異世界を征服するらしいっす〜最弱スキルの犬たちは、最強の軍勢になりました〜  作者: ボルトコボルト


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100 猪の丸焼き、解禁! 崩れゆくヒダ王国の前線と、冷徹なるアレスの精鋭軍

「フォレストボアも瞬殺だったな」


「これくらい瞬殺できないと、後がキツいわよ。これからの遠征はもっと過酷なんだから」

 レンの満足げな言葉に、ロジーナが呆れつつも頷く。


 森の中の広場に設営された野営地では、先ほど狩ったばかりのフォレストボアが豪快に切り分けられ、鉄板の上で「ジューッ」と素晴らしい音を立てて焼かれていた。


 食欲旺盛なワイマラナーのコボルト・アハトと、ボルゾイのコボルト・ノインは、鉄板の周りをソワソワと行進している。


「バフバフ……(まだ焼けないのかワン? お肉の香りが鼻をくすぐるワン)」


「ワォンワォン(ノイン、姿勢を正すんだ……俺も我慢だ……だが喉が鳴るワン)」


 アハトは尻尾をプロペラのように回し、ノインは高貴なボルゾイの面影をどこかに置き忘れたような切実な表情で鉄板を見つめる。


 そこへ、錬金術士のジュリア……ではなく、料理担当のダリアが焼き加減をチェックしに来た。


「まだダメよ。猪肉の半生は寄生虫が危険だわ。しっかり火を通さないと」


 ダリアは塩胡椒を魔法のように振りかけ、肉を裏返す。その香ばしい匂いに、アハトとノインの耳が同時にピクリと跳ね上がった。


 一方、元朝焼けの光のゲイルは、串に刺した肉を焚き火でじっくりと燻している。


「周りには今のところ魔物の気配なし。警戒区域は異常なしだ」

 周辺を巡回していたフェルダーとエリーが戻ってくる。


「近くに魔物がいたら、アハトとノインが鼻を鳴らして教えてくれるから安心よ」

 ロジーナは、自身の愛竜の首元を撫でながら、手慣れた手つきで干し芋を口へ運んだ。


 食事が終われば、いよいよ本格的な王都突入へのフェーズだ。


「今頃、ロバート将軍率いる本隊はヒダ王国国境を突破して、侵攻を開始している頃かな」


 レンはアレス王国の方角へ目を向け、静かに呟いた。


悲鳴を上げるヒダ王国

 その頃、ヒダ王国の王城では、信じがたい報告が次々と届いていた。


「陛下! 大変です! アレス王国の兵が国境を完全に突破しました! 予測以上の進軍速度です!」


 知らせを聞いた国王の嫡男ヨリツナは、険しい表情で額を押さえる。


(リリス王女の仲介交渉が不調だったのは分かっていたが……まさか、これほど迅速に動くとは)


 国王は怒りのあまり、愛用の机を「ドン!」と粉砕する。

「軍を出せ! 迎撃してやる。思い上がった小僧レンめが……ヒダ王国の力を思い知らせてやる!」


「陛下、エマ王国の北からの動きも無視できません。ここは私が出撃し、アレス軍を食い止めます」

 ヨリツナが進言する。


「良かろう。兵を1万出せ。若造の軍勢など、我らが精鋭で蹂躙してこい!」


 ヒダ王国の軍は、冒険者ギルドの全面的な支援を受けていた。集められた1,000名の冒険者たちがヨリツナ軍に合流し、出陣の準備は整ったかに見えた。


 しかし、現実は非情だった。


 アレス王国の兵は、農繁期に関係なく訓練を積んだ「常備兵」である。対するヒダ王国の軍は、徴兵の通達を出してからようやく集まり始める「半農半兵」の寄せ集め。国中に命令は届いたが、到着までには数日の開きがある。


 アレス軍は、その兵が集まりきる隙を突き、国境沿いの村々や街を次々と無血に近い状態で陥落させていた。


エマ王国の策謀

 同じ頃、ヒダ王国の北方に位置するエマ王国の国王トキモリの元にも、アレス軍出撃の知らせが届いていた。


「くくく、レンのクソ坊主がまんまと動いたか」


「は! ヨリツナ率いるヒダ王国軍の主力は、南のアレス迎撃に向かったようです!」


「今が千載一遇のチャンスだな。全軍ヒダ王国王都に向かって出撃だああああああ!!」


 エマ王国は、この時を今か今かと待ちわびていた。ヒダ王国の北と南から同時に戦端が開かれ、ヒダ王国は存亡の危機に立たされる。


 国王自らがエマ王国軍を迎撃するために北へ出陣したことで、ヒダ王国の戦力は完全に分断された。


 そんな混乱の渦中、レンたちの精鋭部隊は、焼いたフォレストボアを平らげ、アハトとノインが満足げに腹を撫でる中、静かに王都へのルートを再開しようとしていた。


「よし、お腹も膨れたし準備完了だ。……ヒダ王国、最高のクライマックスに招待してやるよ」


 レンはそう呟くと、アハトの頭をポンと叩いた。アハトは「ワン!」と元気に応え、次の獲物(ヒダ王国の敵兵)を狩る準備万端といった様子で、森の闇の中へと駆け出していくのだった。

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