間話 竹取物語帝編を語る
ねえ、聞いて!
「竹取物語」ってさ、普通は5人の貴公子が無理ゲーに挑んで自爆するコメディっぽく語られがちだけど……実は帝とのエピソードこそが、超エモいんだよ!
ただ、当時の常識を知らないと読み解けないから、カットされちゃうことが多いんだよね。
もったいない!
まず、5人が脱落した後に、噂を聞いた帝がかぐや姫の様子を調べようとするんだけど、かぐや姫はことごとく拒否。
挙句の果てに「宮仕えしろ」っていう帝の命令に、「そんなの強制されるなら私、消えて死んじゃうから」って言い放つの。
これ、今の感覚だと「気が強いな」くらいだけど、当時はありえないレベルの重罪なのね。
帝の言葉は絶対だし、翁まで連帯責任で処罰されるかもしれないのに……。
当時の女の子が、自分の意志でここまで人生のハンドルを握ろうとするなんて、それだけで衝撃的なの。
あと、当時の恋愛って”通い婚”でしょ。
男の人が夜にこっそり来て、朝には帰るのがマナー。
でも帝は別格で、後宮に女性を住まわすスタイル。
だから最初は、帝もちゃんと部下を使いに出してたんだけど……。
どうしても諦めきれない帝がとった行動が、もう、キュンとするの!
なんと「鷹狩りに行く」って嘘をついて、かぐや姫に会いに行っちゃうの。
これ、マジヤバくない?
帝が嘘までついて、しかも堂々と「昼間」に女性の家に乗り込むなんて、当時の常識を180度無視した、とんでもないスキャンダルなんだよ!
で、生でかぐや姫を見た帝は、ガチで恋決定。
「もう無理、連れて帰る!」って強引に迫るんだけど、その瞬間、かぐや姫の姿がフッと消えちゃう。
焦った帝は、プライドも全部捨てて「わかった、無理強いはしないから、お願いだから元の姿に戻って!」って懇願するの。
強大な権力があって、なんでも自由に命令することができるはずの帝が、自分の欲を捨てて相手のために折れるなんて異例中の異例だよ。
それから、帝は手紙や和歌を送るんだけど……。
最初は頑なだったかぐや姫も、帝の想いに触れて、ちゃんと返事を書くようになるんだよね。
それが、3年も続いたんだよ。
平安貴族で、和歌を贈り合うのは、親しさを示す大きな意味があったのね。
だから、かぐや姫にとっても帝は特別な存在になっていたんだと思うんだよね。
結局、お別れの時が来るんだけど、帝はかぐや姫を月に帰したくなくて、軍隊まで動かして全力で守ろうとする。
結局、月の使者の前では無力なんだけどね。
そういう想いを知ってたからこそ、かぐや姫は最後に、帝が自分がいなくても生きていけるようにって、お手紙と「不死の薬」を贈るの。
手紙の内容はね、
「これまで、宮仕えのお召しにも背き、失礼ばかりを重ねましたこと、どうかお許しください。
狩りを口実にお越しになった折のことも、今となっては懐かしく思い出されます。
こんなに長く、お便りを交わさせていただけたことは、私にとっても忘れ難いことでございました。
今、月より迎えが参り、まもなく羽衣を着せられようとしております。
その衣を身にまとえば、この地でのことも、皆忘れてしまうのだと申します。
返す返す、口惜しいです。
本当ならば、なおこの地に留まりたく思いますが、月の都の定めには逆らえません。
せめて、心の失われぬうちに、この文を残します。
この薬を、お納めください。
──もう、お目にかかることも叶いますまい。」
みたいな感じだったんだ。
で、帝はどうしたと思う?
普通、権力者って最終的には不老不死を願うのがよくある話じゃない?
でも、帝は「かぐや姫がいない世界で、永遠に生きるなんて意味がない」って言って、月に一番近い場所、つまり日本で一番高い山で、その薬を焼かせちゃうんだよ。
その頃の富士山は、ずっと煙がでていたみたいなんだよね。
恋の結末を、自分の決断で締める。
不老の薬も「飲まない」っていう選択で、自分の人生で主語を取り戻すのよ。
帝は、かぐや姫を手に入れられなかった代わりに、物語の終わりを支配するのね。
だから帝編ってさ、恋愛を舞台にした“権力の限界”と“人間の尊厳”の話でもあるのよね。
もう……これ以上ないくらい切ないラブストーリーをベースにした深い話だと思わない?
「竹取物語」って、ただの昔話じゃなくて、届かない相手を想い続ける物語だし、同時に、届かないからこそ純粋であり続けた愛の物語なんだよね。




