えぇ……矢沢くんのキモチころん。あまえちゃってもいいのかな
★前回のお話★
順番が近づき、二人は店内へ。
そこはうさぎをモチーフにした装飾で統一されており、らんはその世界観に目を奪われる。
オーナーの慎司は落ち着いた態度で席へ案内し、
健太とも親しげに言葉を交わす。
らんは、健太がこの店に通う理由が慎司の存在にあると知り、
彼の“好きな場所”に触れたような気持ちになる。
席についた二人はメニューを開き、
うさぎモチーフの料理に心を弾ませながら、
穏やかな時間を取り戻していく……
このまま平穏が続きますように。
お話、スタートです(^^)/
メニュー表、ぱらり。
(おほっ)
うさぎの森プレートぉぉ。
うましょぉぉ……じゅるん。
うさぎのごはん、ちょこんブロッコリー、
どどんハンバーグ、にんじんきらり。
かわいさ三連コンボ、胃袋ノックアウト。
じゅるるんるん。
でも……
千八百円……半分こしても九百円……
(おサイフ……しゅん)
つぎ!
はい来た!
うさぎのはねるパスタ!
はくしゅ!
ぱちぱちぱち。
うさぎ耳にんじん、ぴゅるんっ。
クリームソース沼へダイブ、ぽちょぽちょん。
ふわもこ世界、はい優勝。
じゅるるんるん……食べたい……
(千三百円……)
半分で六百五十円……おサイフには勝てる……!
でも……
ぐぎゅるるる。
パスタ半分は、胃袋が泣く。
「はあ……」
お金、もっと持ってくるべきだったな……
「あのー……藤井さん」
「はい?」
顔、ぱっ。
「……値段、気にしないで食べてほしい……かな」
矢沢くん、にがにがへらり。
「あ、ご、ごめんね。でも……そういうわけにも……」
だって、今日の持ち金、ほぼスカスカなんだもん。
「……気にするといけないと思って、言わなかったんだけど」
矢沢くん、姿勢ぴっ。
私をじっ。
マジ顔スイッチオン……ドキンッ。
「ここは、僕にごちそうさせてください」
ぺこー。
(えええええええええ!)
「な、なな……!」
なんでー?
「い、いやいや、そんなのダメだよ! 理由なんてないし……!」
「……嬉しかったんだ」
(へ?)
「僕を、美人って言ってくれたこととか」
(……あ)
『絵の中の美人さんみたい』
あれのこと、かな。
「だ、だって……ほんとにそう思ったから……」
ほっぺ、あつあつ。
あせあせ。
「それに……僕を、そのまま受け入れてくれたことも」
ビン底メガネ、スウェット、はだしスリッポンのこと?
『ふだんの矢沢くんが見られて、私。なんかうれしくなっちゃった』
それだって、ほんとに思ったんだもん。
「矢沢くんだって、私の『ふつう』いっぱいほめてくれたよ?」
『表現が、すごく鮮やかだよね』
『綺麗だと思う』
『その感性、すごく素敵だと思うんだ』
『そのままの感性を大事にしてほしいな』って。
だから……ね。
お互いさまだよ。
「あ……う……そ、それは……ほんとに……」
(うっく……)
矢沢くんと目、ぱちっ。
かぁぁぁぁ……視線、落下。
どしん。
か、顔……あつ。
「と、とにかく……さ」
声、どん!
私、びくっ。
ちらっ。
(わっ)
矢沢くん、汗すご……
「色々……感謝してるんだ……」
(……ううう)
そんな真剣に言われたら……
ココロの中、ぐるんぐるんだよ……
でも、私なら……うん。
「ありがとう……! お、おことばにあまえちゃい……ます」ぺこん。
まっすぐ受け取ることが、いちばんの返事だって思うかな。
「……うん」
矢沢くん、わらったぁ。
安心してくれたんだぁ。
(えへへ)
うれしいな。
「……あ」
(……ん?)
矢沢くん?
急に目、オロオロ。
どしたの?
(はっ!)
気配、ぞわっ。
うしろ、くるっ。
(ぎゃあああああっ!)
ミ、ミカエルさまぁぁぁ!
トレー持って『にこ固定』!
「お水とおしぼり、お持ちしました」
にこっ。
キラーン。
(ぎゃふぅぅぅ)
いまのぜったい聞こえてたよね?
なのにふれてこないの、逆にはずかしぃぃぃ!
『聞いてませんよー』の完ぺきスマイル、ぼふん!
んでもって、おしぼりと水、テーブルにコトン。
プロすぎて泣く……!
「ご注文はお決まりですか?」
「あ、あの、まだで……すみません」
矢沢くん、メニュー表がばっ。
頭、右へ左へ、ちょろちょろちょろ……!
矢沢くんんん。
それ、よけーに空気がぎこちなくなるからぁぁ。
「お決まりになられましたら、ベルでお呼びください」
きらりん、ぺこん。
しっとりなめらか、すっすっす。
(はわぁ……)
なんど見ても、姿勢よ……ほふぅ。
でも……
精神力がごっそり持ってかれた。
ガクン。
読んでくれて、ありがとうございました✿
後編は、一時間後です(*^▽^*)




