どうしたの? アクアゆらゆら、ココロずどん。
★前回のお話★
遅刻を謝るらんに、健太はシナリオを書くのに夢中で時間に気づかなかったと話す。
らんが興味を示すと、健太はその反応に気づいて画面を隠し、さらに「藤井さんみたいに詩的な比喩が使えたら」とこぼす。
その直後、らんのお腹が鳴り、二人は健太の行きつけのうさぎカフェへ。
会話が弾まない中、らんがメガネ姿の理由を尋ねると、健太は“友達作り”のために見た目を整えてきたと明かすが、らんと友達になれたことで「もう無理はしなくていい」と笑う。
ところが、らんはまだ友達だと思っておらず、
健太は改めて「友達になってほしい」と伝え、二人は正式に友達になれたのだった。
ドキドキはわんな日常ライフ。
スタートです!
てくてくてくっ。
友だちと歩くの、たのしすぎるぅ!
友だちとごはん、友だちとおでかけ……
あああ、あこがれのやつぅぅぅ!
四年間、『めんどくさい』でぜんめつしてたのに……
『ぼ、僕と……友達になってください……』
あの瞬間でぜんぶひっくり返ったよぉぉぉ。
(矢沢くん……神っ)
るんたるんたるん。
「歩かせてごめん。疲れない?」
「ぜーんぜん」
むしろ、もっと歩こうよってキブン。
「よかった」
その『ほっ』
かわいすぎて、うれしさドドドッ。
(えへへ)
私も、ほこほこ。
(……にしても)
「ここ、ほんとにオシャレだねぇ」
左に花屋さん、アオかんばんキラッ。
右に雑貨屋さん、かわいすぎっ。
ショーウィンドウのうさぎさん、こっち見てる。
(かわよ……)
目、へにょん。
気になるもの多すぎて、きょろきょろきょろ。
「矢沢くんの庭、サイコーだよぉ」
「気に入ってもらえて嬉しいな」
(にゃはぁん)
知らない景色につれてきてもらえたの、しあわせすぎてきょろきょろ。
(あ……!)
本屋さんだ。
花音先生の新刊、会えるかなぁ。
「あの、寄ってもいい?」
本屋さん指、ぴこ。うずず。
「もちろん」
矢沢くん、ふわにこ。
(きゃほぉぉぉ)
ツインテ、ぴょぴょん。
「ありがとう!」
タタタッ。
自動ドア、ウィーン。
「ひろっ……!」
「一階がカフェで、二階は参考書とか勉強スペースになってるんだ」
(ほへぇ……)
都会すご……田舎の本屋さん基準で考えてた私、敗北。
(はふぅ……)
本のにおいも最高だよぉ。
「僕も、回って来るよ。終わったら声掛けて」
「うん!」
手、ふりふり。
(さて)
花音先生……!
マンガコーナー直行っ。
入口すぐって神配置。
新刊棚、ガン見。
(えーっと)
これはちがう。
これもちがう……
指ちょんちょん。
花音先生のマンガマンガ……
(あ)
『闇光』だ。
大ヒットしてるマンガだけど……漢字読めぬ。
(やみこう? やみひかり?)
とにかく、重そうなタイトルっていうのだけはわかる。
(ぬーん……)
じー。
ミステリーかなぁ?
でも表紙は、青春ものっぽい。
帯ちらり。
「へぇ……」
この作品、ドラマになるんだ。
主演は、井上直か。
ふむ。
あの脱力フェイス、たしかにはまり役かもねぇ。
と、それはさておきぃ。
せんせーのマンガ、こっちの棚にあるかな?
ないなぁ。
ちがう、ちがう……ここにはなし。
次、あっち。
んー……ない……か。
おっきな本屋さんに、人気マンガ置いてないなんてことある?
てく、てく――ん?
おわっ!
(わわわわわ)
あったぁぁ!
せんせー、お会いしたかったですぅ!
本、ひょいっ。
やった、やったぁ。
表紙、かわいすぎるぅぅ。
これはもう、ぜったい買い!
値段、ちらっ。
ろ、六百円……!
(待って待って)
これ買っちゃったら、ごはん……消える……
矢沢くんに借りるなんてできないし、カフェ中止なんて……ぐぎゅるるる……
ぜったいムリぃ。
(ぬわぅぅ……)
か、返すしか……もどし。
先生……ビンボーファンでごめんなさい。
かならずお迎えにあがりますからぁぁ――ぐすん。
(帰ろ)
トボトボ。
矢沢くん……どこかな。
トボトボ、きょろきょろ。
シナリオ書く人だし、映画とか参考書のほうかな……
『二階は参考書とか勉強スペースになってるんだ』
って言ってたし、レッツごー。
てくてくてく。
階段、トトトト……ラスいち、トンッ。
(わはぁぁ)
二階も、ひろ……
まん中に、長い机ドーン。
左の棚、雑誌ずららら。
ファッション誌、井上直まつり。
さすが、トレンドモデル。
いや、俳優か。
(……うぅっ)
目つき、こわ……
なんか、あちこちからにらまれてるキブン。
目、そらそ。
ふいん。
左は文芸本や参考書ずらずらぁ。
視線すすすー……ぴた。
(おっ)
矢沢くん!
トトト……肩とん。
「わっ」
(はわわ)
びっくりさせちゃった。
「ご、ごめん。あの、お待たせ」
おずおず、ぺこっ。
「こっちこそ。いいのあった?」
(はぅぅ……)
「あったんだけど……高くて……」
しゅん。
「そっか……」
矢沢くんもしゅん。
(って)
また気ぃつかわせちゃったよ……
私、ほんとバカ。
「あるのわかったし、明日リベンジするよ」
おサイフ強化して出陣だぁ。
「じゃあ、一緒に……」
(……え)
目、まんまるきょとん。
「矢沢くんも、本リベンジ?」
「あ、や……まあ……そんなとこ」
なんかモゴモゴしてる……?
(あっ、そういうことか)
友だちとお出かけいっぱいしたいんだ!
わかる!
めちゃめちゃたのしいもんね。
「じゃあ、明日の放課後もいっしょに来よう」
心の中で、ぴょんぴょん。
「う、うん」
(えへへぇ)
矢沢くんの分まで、ぴょんぴょんだ。
ぴょぴょん……ぐうぅぅぅ。
「おなか……すいたぁ」
へにょん。
「行こうか」
「うん」
矢沢くんと下へ、トントントン。
花音先生、また明日。
脳内で手ふりり。
自動ドア、ウィーン。
春風……ふわん。
「ぽかぽか、手まねき……」
「え……?」
(え?)
顔見合わせぱっぱっ、目ぱちくり。
「今の……また自然に出たの?」
「い、いまの……?」
私また、なんか言ったの?
口、ひくひく。
「はぁ……ほんとにすごいな……羨ましいよ」
(矢沢くん……?)
なんか、しょんぼりしてる。
「あの……」
オロオロ。
「ああ、ごめん。藤井さんの言葉……才能だよ」
(ええ!)
「さささささっ……!」
「胸張っていいと思う」
さみしい『にこ』が、ちょっと……ちく。
「なにか……あった?」
顔、そろぉ……ちらり。
「……愚痴になるけど、聞いてもらえる?」
「もちろん!」
友だちだもん!
どんとこいだよ。ふんす。
「ありがとう」
おうよ!
「……実は、前に一度だけ……シナリオを読んでもらったことがあるんだ」
(マジですかっ)
うはぁ……その人、特等席じゃん。
うらやましすぎてころげそう。
「でも……『単調でつまんない』って……」
(あらー……)
「『才能ないから止めたほうがいい』。そう……言われてさ」
矢沢くんのアクアマリン、どよん……
(そっか)
『へ、下手だし……ほんと、読めたもんじゃ……』
『藤井さんみたいに、詩的な比喩を扱えたら……』
だからあんなふうに言ってたんだ。
大事に書いてきたものを否定されたら、
だれだって自信なくすよ。
「で、でも。矢沢くん、書くの続けてるじゃん」
ほんとに才能ない人は、きっと折れちゃう。
「まあ……僕には、これしか楽しみがないからね」
パソコンさわわ、ふわり切ない。
(う……)
はげましたいのに……こういうときにかぎって、ことばが迷子。
「あ、も、もちろん今は! 藤井さんと友達になれたし! た、楽しみはこれから増やす予定で……!」
わたわたわた。
「矢沢くん……」
こんなにやさしい人が書くもの、つまんないわけないよ。
ただ、その人の心に届かなかっただけなんだ。
それでも、もし……自信なくしちゃうときがあったら、
そのときは――
「ヒユでも詩でも……私でよければ、力になるから言ってね」
「……藤井さん」
(あ……!)
「読ませてほしいって意味じゃなくてね。『ここ単調かなぁ』って思うところがあったら、いっしょに考えよってだけで……えへへ」
おでこ、ぽりぽり。
「……ありがとう」
(わはっ)
矢沢くん、にこーっ。
ふんわり笑顔、かんぜんふっかつー!
よかったぁぁ。
「……話、聞いてくれてありがとう」
「いつでも聞くよぉ」
ツインテ、ぴょこぴょこ。
「僕も、聞くよ」
「うん!」
ふたりでにっこり。
ほこほこ、てくてく。
友だちって、さいきょーだぁ。
読んでくれて、ありがとうございました(つ´ω`*)
後編は、1時間後です。




