すごいすごい! 矢沢くんのシュミにビックリこーふん、ぐぎゅるるる。
★前回のお話★
健太に「明日もここで話せたら」と言われ、服選びに夢中になるらん。
健太のオシャレなセンスを思い出しながらクローゼットを開けるものの、
並ぶ服たちの“オシャレ不足”に、思わずがっかりしてしまう。
夜も更け、眠りにつくらんは、過去のトラウマと健太との出会いが混ざった悪夢にうなされ、飛び起きる。
時計を見ると、健太との約束の時間はすでに過ぎていて、
らんは猛ダッシュで公園へ向かう。
そこで目にしたのは、昨日とはまったく違う健太の姿だった。
あせあせあわわ大慌てな後編。
スタートです★
「あーあ。私も、もっとラフにしてくればよかったな」
ベンチに、とさっ。
「いや、十分ラフだと思うよ?」
矢沢くん、くすっ。
「そっか」
目ぱち。ふたりで、あはは。
(……ふぅ)
「一時間もちこくして、ごめんね」
頭、ぺこん。
「え? わっ、もうこんな時間」
腕時計ちら、ぽとん。
「気づいてなかったの?」
ツインテ、ぴゅん。
「あはは……書くのに夢中だったから」
パソコン、ぱたり。
(え、え?)
「書く……?」
首ちょこん。
矢沢くん、なんでかテレテレ。
「じ、実は、シナリオ……書いてて、さ」
「えええええええっ!」
ツインテ、ぎゅぎゅん!
「すごぉぉぉい!」
目、きらきらきら。
「し、趣味だよ……そんな大したものじゃ……」
「ううん、すごいよ! へぇぇ、そうなんだ」
テンション、ぐいんだよぉ。
ゲームとか買い物とかはよく聞くけど、シナリオ書くのがシュミって人……
レアすぎて大こーふんだってぇ!
「どんなの書いてるの?」
わくわく、ずいっ。
「えっと……シリアスとか、ミステリー……かな」
(わわわぁ)
読みたいオーラ、びかーっ。
「う……へ、下手だし……ほんと、読めたもんじゃ……ないけど……ね」
(はぅぅ……)
昨日今日会ったばっかで、しかもゴイバグ女にシナリオ公開なんて、
そりゃあ、ムリゲーってもんですよねー……
ツインテ、しゅるん。
「あ、えと……藤井さんみたいにさ。詩的な比喩を扱えたら……もっと表現が広がるのにって思うんだけど……ね」
(えっ、やっ、わわっ)
「そ、そんな、私なんて……!」
矢沢くん、ふるふる。
「いや、ほんとにいいもの持ってるよ」
メガネ越しの『にこっ』がバキューン。
ほめられるたび、自分のことばがちゃんと価値のあるものなんだって、
そう思わせられるよ。
「あ、ありが……」
ぐきゅるるるるる。
「あ……」
視線、私のおなかにダブルロックオン。
「ご、ごめっ」
は、はずかし……!
「……お昼、近いしね」
(うくっ)
また気ぃつかわせてるぅ……!
ぐううううううう。
はらぁぁ!
空気読んで、消えてっ。
(わぁぁん)
朝ごはんぬいてきちゃうからだよねぇ……
目覚ましセットし忘れて寝るなんて……
うぅぅ、私のバカーッ!
「あのさ、うさぎ……好きなの?」
(へ……? めそめそ)
矢沢くん、こんどはポシェットにロックオン。
指、ぴっ。
「すき……」
サイフもハンカチも、うさぎ祭りだし。
「じゃあ、うさぎいっぱいのカフェ行かない? きっと気に入ると思うんだ」
(なぬ……!)
うさぎいっぱい……?
そんな天国あるの……!
「行きたい!」
ツインテ、ぴょここん。
目、きららららん。
(あ、ま、待って!)
「そこ、高い……?」
おサイフ、そろぉ……
「土日はどうだろ……でも、平日ランチは千五百円くらいだったから……二千円あれば、なんとか……」
に、にせんえん……!
がま口、ぱちん。
小銭、ジャララ。
千円札が、一枚……うん。
百円玉、いーっぱい。
ひい、ふう、みい……
(ぎりぎり……)
でも……足りる! セーフ!
「なんか……ごめん」
矢沢くん、またまたへの字まゆ。
(ぎゃん)
「ぜ、ぜんぜんだよ! こっちのほうがごめんんん」
せっかくさそってくれたのに、目の前で小銭ジャラジャラとか……
空気読めない選手権、優勝……しょぼぼん。
「……じゃあ、一皿頼んで……半分こ、しない?」
矢沢くんにこっ、心がぱぁぁぁ!
それ、めちゃくちゃありがたい……!
「うん!」
「決まりだね。じゃあ、行こう」
パソコン片手にすくっ。
私もすくっ。
ならんで、てくてくてく。
えへへ。
こんなふうにだれかとランチ……夢みたい。
うれしいなぁ、るんるん。
となり、ちらっ。
(背、高い……)
「身長いくつ?」
「百七十」
(おおお……)
十六センチ差……!
「へー」
てくてくてく。
(つ、つぎ……!)
「この辺に住んでるの?」
「うん、ずっと」
「へー」
てくてくてく。
(うぅ……)
話題が……消えた……
矢沢くん、しーん。
(そりゃそう……)
ぼっち同士、こういうの得意じゃないよね……
横顔、しとり……じー……
(あ、そういえば)
「メガネ……だね」
ぽそ。
「え? い、今さら……?」
こっちに顔くるんっ。
「昨日、コンタクトだったの?」
「ああ……うん」
(……あれ?)
急に、カゲすとん。
「僕、友達いないって言ったでしょ」
「……うん」
矢沢くん、メガネのふちピクク。
指先、そわそわ。
「普段は……こうだからさ。たまにちゃんとした格好してれば……誰かに会ったとき、少しくらい……印象が変わるかなって……」
(ああ、それで……)
昨日は王子スタイルだったんだ。
私が『ふつう』を練習してたとき、
矢沢くんは『見た目』で、友だち作りがんばってたんだね。
「そっか……」
「うん……」
ふわり、しゃぼんの香り。
ココロ、さらわれそう……
「でも……もう無理しなくていいんだ」
アクア……きらきら。
「え?」
「藤井さんに出会えて……友達になれたから」
にこん。
トクン……
友だち……
「友だちって呼んでくれるの……?」
「え? あ、あれ? ち、違った……?」
矢沢くん、あせあせ。
「だって――」
『迷惑じゃなかったら、明日もここで……話せたらいいなって』
あのとき、そう言われただけだもん。
「あ、そ、そっか……ちゃんと伝えてなかったんだね」
汗ぽたぽた、頭ぽりぽり。
「あの……じゃあ、改めて……藤井さん」
「は、はい」
ドキドキドキ。
「ぼ、僕と……友達になってください……」
ドキ……ン。
「……は、はいっ」
かぁぁぁぁ……
「ありがとう……」
ふたりして下向き、しーん。
ちらり。
(わ……)
矢沢くん、りんごみたいにまっかっか。
(……あはっ)
やっぱりかわいい。
「こちらこそ……ありがと」
春きらら。
ふたりの名前、なかよくならんで……えへへ。
ぴったりこ、だね。
読んでくれて、ありがとうございました(*>ω<)
次回更新は、今夜19時20分です✿




