おわぁ! ケンカ売っちゃった……矢沢くぅん、それってほんとにだいじょうぶ……?
★前回のお話★
先に公園へ着いたらんは、静かな景色を見て、ここが幼馴染二人にとって“心の隠れ家”になっていた理由を理解する。
そのとき、黒いフード姿の直が現れ、見事なボールさばきを披露する。
その動きは鮮やかで、らんは健太から聞いていた“サッカーの天才だった頃の直”を思い起こすほどだった。
らんに気付いた直は挑発的な態度を見せ、二人は再び言い争いになる。
直の刺々しい言葉に対し、らんは強い姿勢で向き合い、健太が直をどれほど想っているかを伝える。
前途多難な修復の道。
直と健太の溝は埋まるのか。
幼なじみ編⑦、開幕です( ˆoˆ )
「……テメーに命令される筋合いなんざ、これっぽっちもねえわ」
(ピキッ)
こんの……っ、まだ言うか、その口……!
ほんっと、クソひねくれパッキンがぁぁぁぁっ!
「わたしゃなぁ! あんたのこと、お兄さんに『お願いします』って、頭下げられてんだよっ! あんたのために!」
びししっ!
「……ちっ。あいつ、余計なこと言いやがって」
足、ぱたた。
イライライラ。
「あんたが心配かけるからでしょ」
ミカエルさまに文句言うな。
「はあ……んっと、めんどくせぇなぁもう」
頭、ガリガリガリ。
こっちのセリフだわ、バカパッキン!
「な、なおぉぉぉぉ……」
(あっ)
このへろりん声、矢沢くんだぁ!
くるっ。
ふらふらぁ。
へろへろぉ。
(あああ……)
こんなになるまで……
ここまでよくがんばったねぇ……ほろっ。
トテ、トテ、トテ……ぜぇ、ぜぇ。
ふらふらふらぁ……どしん。
「はー、はー……はぁぁ……」
「矢沢くんっ!」
タタタ、すとんっ。
「おつかれさま」
背中、なでなで。
「う、うん……」
ぜぇぜぇ、こくん。
走るの苦手なのに、あんた追ってここまで来たんだ!
「なんか言ってあげなよっ!」
直へ、キッ!
(って)
ちょ、なにその足ふみ!
ムッカムカムカ!
しんっじらんない……すくっ!
「にげる気!」
しーん……
はい、返事なし。
「ボールまで放り出すんだ」
ぷいーん。
しーん。
ほんっと、どこまでも、ひねくれはんぱパッキン。
「なんとか言ったらど……」
「黙れ」
やっと反応したな。
「めーれーしないで」
んべ。
「……てめぇ。二度と口きけねぇようにしてやる」
手ぽきぽき、目ギロリン。
私、ギロ。
「手、出すつもり?」
歯、ギリギリギリ。
「はっ、さあな」
口元ニヤリ。
一歩、また一歩。
こっちへ、じりじり。
「あんたの人生、おしまいだね」
じろろ。
「言いてぇこたぁ、それだけか?」
じりじりじり。
「な……直……」
矢沢くん。
こいつたぶん、ぜんりょくで来るよ。
(巻き込まれる前に逃げて!)
私、目ちらっちらっ合図。
腕、バッ。
矢沢くんをガード!
ダッ!
(来た!)
ダダダダ!
目ぎゅっ、歯ぐぐっ。
「矢沢くん! にげ――」
「し、勝負しよう!」
矢沢くん、センセンフコク。
ドーン!
(……え?)
私、目ぱちくり。
「……あ?」
直、つんのめっ。
「矢沢くん、『勝負』って……」
うしろ、ちらり。
(おわぁ!)
目、真剣っ。
体力ゲージゼロ寸前の人が、
そんなでっかいこと言っちゃって……
(だいじょーぶかなぁ……)
汗つ。
「おめぇみてえなへなちょこが、俺と勝負? 笑わせんな」
矢沢くんへ、ギロリ。
(むむむっ)
矢沢くん、私のとなりに、すっ。
「……僕が勝ったら、ちゃんと話したい」
まゆ、きりっ。
直を、じっ。
(矢沢くん……)
直を、ちらり。
片手、腰にドンッ。
矢沢くんをじー。
(ゴクリ……)
「藤井さん」
矢沢くん、ぽつ。
「は、はいっ」
ツインテ、ぴゃん。
「さっき『ボールまで放り出すんだ』って、直に言ってたよね」
「う、うん……直くん、私めがけてボール飛ばしてきて……そしたらピューンって、どこかへ消えちゃって……」
人さし指、ぴっ。
くるんとカーブ、すいー。
「そういうことか……なるほど。教えてくれて、ありがとう」
にこ。
また直へ、くるり。
「じゃあ、そのボール見つけたほうが勝ちでどう?」
直へ、きりり。
(どええええええ)
「おもしれぇ……乗ってやんよ」
てくてく、矢沢くんのほうへ。
私、両手バッ。
手なんて出させないんだからっ!
ぎりり。
「藤井さん。ありがとう。……大丈夫だよ」
しんっ声、とろん。
しゃぼん、ふわん。
(矢沢くぅぅん……)
ムリしないでぇ……きゅるん。
直に、キッ。
「はっ。弱っちいくせに、見栄だきゃぁ、ご立派なこったな」
じろニヤリ。
(くはぁぁぁ)
こいつまた、矢沢くんをわらいやがったぁぁ!
ムッキィィィィィ!
ボール見つけて秒で勝って、矢沢くんに土下座させて!
それからそれから……ブツブツ。
「俺が勝ったら……」
矢沢くんに、ずいっ。
(あ、ちょっ……!)
両手、バッ。
キッ。
「二度とその面見せんな」
「……わかった」
矢沢くんの声、ぜんぜんひるんでないや。
本気でぶつかってるんだ……
それなら、私だって!
「矢沢くん。私も、キョーリョクするよ」
両手ぐぐっ。
ツインテ、ぴゃかん。
「……ありがとう」
(うん!)
「へっ。増えたところで俺が勝つけどな」
バチバチバチバチ。
スタートラインに、三人横並びピシッ。
「……『よーい、どん』で始めよう」
矢沢くん、まゆきゅ。
私、こくん。
直、すんっ。
勝負は一回ぽっきり。
すー……はー……
(よしっ)
「俺にケンカ売ったこと、後悔させてやんよ」
(言ってろ)
後悔すんのは、あんたのほうだし。
ふたりの運命かかった大勝負。
よーい……
「どんっ!」
ぜったい先に見つけるんだからっ!
読んでくれて、ありがとうございました★
次回更新は、明日朝6時40です☀




