あんたにゃ負けぬ! ダダダ、デデデ、はくねつバトル。
★前回のお話★
店を出ると行列はなくなっており、らんと健太は直を探すため、ひと息ついた慎司に行き先の心当たりを尋ねる。
しかし慎司は何も知らず、弟をきちんと見られなかった過去を悔いて俯く。
健太はその気持ちを否定し、直は帰国を喜んでいたはずだと伝えて慎司を安心させる。
その後、二人は公園へ向かうため急ぐ。
健太が走るのが苦手だと知らず、らんは先に走り出してしまい、途中で猛スピードで横切る“何か”を目にする。
気になりつつも直を優先し、らんは公園へ向かって走り続けた。
猪突猛進で公園へ向かうらん。
目的の場所に直はいるのか。
幼なじみ編⑥、始まります( •⌄• )◞
どるるるるんびゅびゅんっ――キキキッ、ストーップ。
「とーちゃーくっ!」
(はぁぁ……はぁぁ……)
深呼吸、すーっ、はーっ。
(ふぅぅぅ……)
芝生広場、どどーん。
トコトコ。
(やっぱり、しん……)
だぁれもいないや。
って、まあ、夕方だしね。
ぺろ。
『僕らの『心の隠れ家』なんだ』
この街に来てまだ短いけど、ここが『ココロのよりどころ』になるの、なんとなくわかる。
『らんちゃんって、へんなの』
『めんどくさい人』
こんなにしんっ、ふわんなんだもん。
ひとりぼっちの、しゅん。
ここに来れば、キモチ落ち着けそうだし。
矢沢くんと直だってさ。
『よりどころ』にしたくなっちゃうよね。
ざぁぁぁ……
風、きもちいい。
「空がくれた、見えないプレゼント」
ぽそ。
まぶた、ぱたん。
昨日受けた風……しゃぼんのあまひら、胸にとろん……
くるんってしたら、アクアマリンが目の中びゅん。
(きれーだったなぁ)
ふわん……
(ほわふぅ……)
今日もなんかいい香り。
オレンジ?
レモン?
くんくん。
うしろ、くるん。
(びくっ)
まっくろフード。
すっぽりかぶって、ボールぽんぽん。
さっきまで、だれもいなかったのに……
ポーン、ポーン。
しーんの中に、ぽんぽん音。
ちょいこわ……
でも見ちゃう。
じーっ。
つま先ポーン。
太ももポン。
あたまにポンポンポン。
(……すごっ)
ぜんぜん落ちないじゃん。
『直、サッカーめちゃくちゃ上手くてさ』
『ボールが、生きてるみたいに動くんだ』
(これって……直?)
ポーン、ポーン。
内側ふわっ、ポーン。
足の甲で、ボンッ!
高ぁっ!
『インサイドで軽く蹴って、インステップで強く返す』
ヒュルン。
落ちてきたボール、むねでぽふっ。
ポンポン、つま先ころりんちょん。
ちょんちょん、ぽんぽん、かかとでぽーん。
体くるりん。
(おおおお)
かーっくいー!
私の目、きららぁん。
『ヒールキックで蹴り上げて、トーキックで突くんだ』
『みんなに『神童』って呼ばれてた』
ほんとすごっ。
ツインテ、ぴゃんぴゃか。
はたっ。
フードマン、じろぉり。
(……うくっ)
しーん……
「あ、あのぉ……」
汗だらら。
フードマン、こっちへ体、くるり。
いっぽ、にぃほ、さんぽ、あとずさりぃ……ぴた。
ボール、芝にちょこん。
(な、なに……?)
――バシュンッ!
(ぎゃあああああ)
なんでけんのぉぉぉ!
しゃがみっ。
ひゅぅぅぅぅん……
目、そろぉ。
(ボール……消えた?)
遠くを、じーーーー。
ベルガモット、ふわんっ。
(ほふん)
「おい」
低音、どん!
くるん。
(ぎゃん!)
ちょろハネぴかりん。
あんにゅいお顔、バン。
ギロギロん。
「直ー!」
ツインテ、空へびゅーーーーん。
「あ? 勝手に呼び捨てしてんじゃねぇよ」
ずいっ。
(うぎゃほぅ)
美顔近づけないで!
圧かけないでぇっ!
たじたじ。
「おまえ……さっきのやつじゃねえか。つけて来たのかよ。ストーカー気質とかマジうざ」
ギロギロ、はあ……
(すっ……!)
んなわけあるかー!
「あんたなんて推しどころか視界のはしっこレベルだし! ただのぐーぜんだし! 勝手に決めつけんなー!」
ムキー!
「ちっ……っと、口が減らねえな。今すぐ塞いでやろうか? あぁ?」
ぬわにおぉぉぉ!
あんたのが、よっぽどヘラズグチでしょーよ!
「やってみたら?」
口ちゅーん。
おらおらぁ、いますぐふさいでみろってのぉ。
ぐいーっ。
「なっ……てめぇぇぇ!」
バチバチバチ。
「……直っ!」
(矢沢くんだぁ!)
やっと来たよぉ。
「はぁっ、はぁっ、うっ、ゲホゲホッ」
(あわわ)
全力で追ってきてくれたんだ。
汗ぽたぽた。
お顔ぽぽぽぽ。
なんか、ご、ごめんねぇぇぇ。
「ちっ……」
(うぉぉぉぉい)
直!
いや、直くん。
舌打ち止めぃ。
「はあ……はあ……サッカー……はあ……飽きたって……はあ……」
(あ、そうだよ)
矢沢くん言ってたよね、
『小四のとき。直は急にサッカーを辞めたんだ』
『聞いても『飽きたから』って……』
でも、いまめっちゃポンポンしてたよね?
あきた人の動きじゃなかったよ?
しかも、服。
しゃかしゃか上着に、短パンに、
その下ぴたぴたクロズボン?
イヤホンまでして……どう見ても
『スポーツしてます』の人じゃん。
私と矢沢くん、そろって返事待ち。
じーーーー。
直、スマホすっ……すっ……とん。
タッタッタ。
行っちゃった。
(って、待てぇぇぇい!)
矢沢くんの質問、スルーかい!
矢沢くんを、ちらっ。
しゅーんしてるかと思ったら、きりりっ!
ビックリしちゃって、ツインテばびゅん。
「直、待って!」
テッテッテ。
しかも追いかけたー!
目だま、ぼほぉぉん。
(……でも)
足、おそいー!
そのスピードじゃ直どんどん行っちゃうってぇ。
(しかたない)
こうなったら、私がっ。
「待てぇぇぇっ!」
地面、ザッ。
ばびゅん!
逃がすかぁぁぁぁ!
ダダダダダダダ。
(おっ)
キンキラあたま、みっけ!
もうちょいっ、ダダダダッ。
ぴゅんっと並走ゲットぉ。
(うくくくっ)
直のヤツ、私の速さに目んたまひらいてる。
「サッカー、上手だねぇ」
ぽい。
はい、ムシ。
イヤホンの音、ジャンジャカだもんな。
聞こえるわけないね。
直、急にスピードアップ!
タタタタ。
(ありゃりゃ)
キョリ、ひらいちゃった。
なら、私も本気でたいこーモード――ぽちっ。
フルスピード、しゅばばばばーっ!
「よっ」
手、ひょこ。
直、ムッ。
デデデデデッ。
(おおおっ)
負けないんだからっ。
私、ダダダダダーッ!
直、デデデデデーーッ!
追いかけっこ、もはや戦争。
ダダダダダーッ!
デデデデデーーッ!
デッドヒート、おらおらぁ!
ダダダダ。
デデデデ。
ダダダ、デデデ。
ダダ……
デデ……
たたた。
ててて。
ふらふら、へろへろぉ……
ふたり芝生に、バタァン。
キュー。
「はあ、はあ、なんだおまえ……」
イヤホンぽしゅん。
「はあ、はあ、や、矢沢くんの友だち……はあ、はあ」
「んなこと……聞いてねえ……はあ、はあ」
はあ、はあ、はあ。
はー……
空ぽかん。
ふぅぅ……
アカがクロに……スルン。
「あかとろしずん……」
「……は? なんだそれ」
直、ぽとん。
「……なにが?」
私、きょとん。
「あ? 今のだよ今の!」
(えーっと)
首、きゅ。
「私、なんか言った?」
でへへ。
「はあ?」
あきれ顔からの『ちっ』。
(ムッ)
それきらーい。
地味に刺さるんだもん。
「……私、無意識にしゃべっちゃうから、言ったことなんて、覚えてないんだよ」
ぽそん。
しーーーーん。
いや返事しないんかい!
自分から聞いたんでしょーがっ。
(もういい! 話す)
「ずっと『へん』って言われてきてさ。ぼっちで、でも、ここに来て……変わりたくて。友だちがほしくて、『ふつうことば』練習したんだ」
桜は『さいてる』、タンポポは『きれい』。
ほんとのキモチ、かくすみたいにさ。
「でもね、矢沢くんが言ってくれたんだ」
『表現が、すごく鮮やかだよね』
『藤井さんの宝物だと思う』って。
そんなふうに言われたの、はじめてで……
うるってしちゃったよね。
「オーナーさんも『すてき』って、ほめてくれたんだよね」
『素敵な表現ですね』
(くふふぅん)
天使の美声、脳内エコー……とろん。
「はん、あいつの社交辞令で浮かれてんの、見てて痛ぇわ」
(カッチーン)
おのれ、パッキン悪魔がぁぁ。
たとえそうだとしても、キモチよかったんだからそれでいいでしょーがぁぁ!
「へーんだ。兄弟でも、お兄さんのが、もてなし力満点だよね」
ツインテ、ぶんっ。
「あぁ? 人褒めて何の得あんだよ。無駄な労力だろ」
直、シャーッ。
「あんた……やっぱさ、モデルやる気ないでしょ。ファンほしい人の言い方じゃないよ、それ」
私、ガルルッ。
「はっ。テメーに関係あっかよ」
ツーン、すくっ。
イヤホン、スチャ。
スマホ、すっすっ。
(……やばい)
このまま帰られたら、会話終了エンドじゃん!
ミュージック、シャカシャカ前にっ!
(すー……)
「こっの――中途はんぱひねくれクズパッキンヤローがぁぁぁ!」
でっかい声、ぼっかぁぁん。
広場、ぱぁぁん。
空気、しん……
「……あんだと?」
(くひひ)
つれたつれた。
「ふーんだ。ほんとのことでしょー」
つーん。
「プロになるって言ったんだって? それが、はん。『あきた』? わらわせんなっつの」
「てめ……」
まゆ、ぎゅぎゅん。
目、ギロリン。
はーんだ。
そんなのこわくもなんともないね。
「今日もそうだよねぇ? 私とトラブって、お兄さん困らせてさ。手伝いなのかジャマなのかもわかんないし、最後バックレるし!」
片目ちらっ。
直、ぷるぷるぷるぷる。
顔、カカカカカ。
おーおー、おこってるおこってる。
んじゃ……いっちばん言いたかったやつ、
トドメにぶっ放す!
「矢沢くんに『声かけんな』って言っといて、自分はベタベタからみに行くとか、ばっかじゃない」
どぉぉぉん!
「っだと!」
「矢沢くんはね、あんたの言いつけ、ずぅぅぅっと守ってたんだよ」
『友達みたいな顔されると迷惑』って、
『もう声、かけんな』って、
ほんとは、昔みたいにわらって話したいって思ってたはずなんだ。
でも――
『井上くん』
他人みたいに名前呼んで、
目が合っても声かけないようにして、
そんなの、つらくないわけないじゃん。
「それでも、悪口ぜんぜん言わなくて。『サッカーめちゃくちゃうまい』って、ほめてたんだから!」
『ボールが、生きてるみたいに動くんだ』
『直ならプロになれるって信じてた』
「そんな人に『ダサい』って言ったこと、あやまれーっ!」
ツインテ、ぴぃぃぃん!
指、びしぃっ。
むんっ。
ギロギロ、バチバチ、ギロバチチ。
にらんでばっかいないでさ。
言い返して見ろってんでぃ!
ふんっ。
読んでくれて、ありがとうございました★
後編は、一時間後です(灬˘╰╯˘灬)




