ミカエルさまのため。さあ、はけ! 矢沢くん。
★前回のお話★
慎司が運んできた特別な一皿に、らんと健太は驚きながらも、その温かな心遣いを受け取っていく。
値段を気にしてしまうらんに、健太は「楽しもう」と穏やかに声をかけ、二人は料理を分け合いながら、静かな喜びを重ねていく。
嬉しさのあまり、らんは思わず“変語”をぽろり。
健太に褒められ温かくなる一方で、彼の口からこぼれた「羨ましい」というひと言に、直から浴びた心ない言葉がまだ健太の中に残っていることを感じ取る。
さらに、直の態度や言葉のタイミングに違和感を覚えたらんは、二人の関係に何かあるのではと推理を始める。
矛盾点をひとつずつ拾い上げ、胸の中に疑問を積もらせながら、丁寧に健太へ問いかけていくが……健太は答えられず、沈黙だけが続いた。
そんな折、慎司が運んできた「誓いプレート」に込められた象徴によって、健太と直が幼なじみであることが明かされる。
らんは健太の荷物を「半分持つ」とまっすぐに伝え、涙をこぼす彼の横顔を見つめながら、その痛みに寄り添いたいと強く思うのだった。
健太の口から、直との因果が語られるのか。
幼なじみ編①、いよいよ開幕です(^u^)
ブロッコリー、ぱくっ。
しょっぱうまっ。
もういっこ、ぱく。
うんまっ。
ちらりん。
(はうぅぅ)
あのプレート……ぜったいおいしいやつ……
食べたい……食べたい……ぐるるるるる。
でも……
矢沢くん、ちらっ。
目、うさぎしょぼん。
(食べづらい……)
「お待たせしました。『ころろんしっぽ』です」
ミカエルさま、ふわっとご降臨。
(きゃはぁん)
うさぎん、きたー!
まっしろソースに、ころころコロッケ。
しっぽ、きゃっわ。
(はふぅん……)
ジューシーのゆーわく、じゅるっ。
「お二人の時間が、あたたかく続きますように」
ミカエルスマイル、きゅぴーん。
ほら矢沢くん!
ミカエルさま、来てくれたよー。
ほこほこタイムだよっ。
ちろんっ。
(あうぅ……)
だめだ……
まだどよよん顔……長期戦……
じゃあほらっ、料理!
しあわせぽこんだよぉぉ?
みてみてぇぇ。
「まだまだご用意しております。少々お待ちください」
しなり、ぺこん。
(え!)
ま、まだ来るの……?
ちょ、ちょ、ちょ……!
「ああああのぉっ!」
ツインテいっしょに、ばさばさあわわっ。
「はい?」
きらんっ。
光、バシュッ。
「お料理、とってもとってもステキで……はい」
「ありがとうございます」
やわん、にこり。
(はうわぁ)
言いだしにくい……
「ス、ステキなんですけど……」
「……どうかなさいましたか?」
ミカエルまゆ、しゅーん。
(あああ)
もう言うしかないっ!
「メニューにないお料理ばっかなんで、あの、その、お、お値段が……ですね」
ぼしょーん。
顔、ずどん。
スカート、ぎゅぎゅぎゅぎゅ。
ああああ私、バカすぎるぅぅ!
『う、うさぎごはん、いっぱいください!』
なんで『いっぱい』なんて言ったの私ぃぃ。
そりゃ店側は『いっぱい』持ってくるよね……
しかも特注オンパレード……!
時価なんて、聞いてないよぉぉぉぉ。
「これはこれは……! 説明が行き届かず、申し訳ございません」
ミカエルさま、あせあせペコペコ。
えっ……えっ……どゆこと?
「お料理はすべてサービスです。どうぞ遠慮なくお召し上がりください」
きらぴか、にっこーん。
(どえええええええええっ!)
ツインテびっくり、びゅびゅびゅーん!
目、くわわっ!
「し、慎司さん……! だ、だめですよ、そんな」
矢沢くん、あわわわわびっくり、手パタタタタ。
ほんそれ。
『タダだぜぇ?』なんて言われちゃったら、
次ここ来られなくなっちゃうよぉ。
でもミカエルさま、ゆっくり首ふるふる。
「店としての誠意と、兄としてのけじめをつけさせてほしいんだ」
ミ、ミカエルさまぁぁ。
直のことで、いちばんつらいのはミカエルさまなのに。
それなのに、特注ずらりに、あったかいことばまで……
こんなやさしい人にまで、こんな思いさせるなんて。
あのパッキンンンン!
(くっそぉぉぉぉぉ)
「矢沢くん! オーナーさんのこと、だいすきなんでしょ」
こうなったら、なにがなんでも、話聞き出したるっ。
「どうなの?」
「え! あ、わ、や、わ」
あせせ、わたた。
あわわわ矢沢くん。
「あたふた、しないっ!」
ピシャン。
「は、はい! す、好きです」
背筋、ぴんっ。
耳、かぁぁぁぁ。
「じゃあさ、直となにがあったのか、ちゃんと教えてよ。そうじゃないと、前に進めないんだからっ」
ごはんも食べられないじゃん。
ぎゅるるるる。
顔、きりり。
「お客様……」
ミカエルさま、そのスマイル……!
私がぜーったい、かんぜんきららんにしてみせるからねっ。
手、ぐぐぐっ。ぬんっ。
「ありがとうございます。お料理、すぐにお持ちしますね」
しゃなり、ぺこん。
すっ、すっ、すっ。
席はずし、感謝でありますっ。
ツインテ、ぺっこん。
「矢沢くん……聞かせて」
私、顔きりっ、じっ。
矢沢くん、たじたじオロロ。
(さあ、はけ!)
「ふ……藤井さんが、井上くん……な、直の話をしたとき……」
『井上直、だめだった?』
『いや、そうじゃなくて』
あの、しょん……のやつ。
「昔のこと……思い出してたんだ」
昔のこと……誓いプレート。
ちらっ。
サッカーボールに、ノート、えんぴつ。
「……これが、関係してるの?」
私、ぽそり。
矢沢くん、しんっ……こくん。
「直、サッカーめちゃくちゃ上手くてさ。『プロになる!』っていつも言ってた」
アクアマリン、きらきらきら。
「足さばきが滑らかで……ボールが、生きてるみたいに動くんだ」
「へえぇぇ」
モデルの才能に、サッカーの才能まで?
神さまぁ、配分ミスってません?
「足元で転がして、インサイドで軽く蹴って、インステップで強く返す」
サッカー用語はよくわかんないけど、たぶんスゲーやつ。
「それでさ、ヒールキックで蹴り上げて、トーキックで突くんだ」
(えーっと)
「ヒールキック……トーキック……?」
首、くりん。
「あ、ヒールはかかと、トーはつま先ね」
なるほど!
かかとぽーん、つま先つつんね。
てか矢沢くん。
めちゃめちゃ大こーふんじゃん。
直のサッカー、ほんとにすごかったんだろうなぁ。
「……みんなに『神童』って呼ばれてたんだ。本当にすごくて……僕も、直ならプロになれるって信じてた」
アクアが、きらきら、ゆらゆら。
キモチぴょん。
矢沢くんの想い、あふれて止まんない。
「直の夢を応援しながら……僕も脚本家を目指して、『いっしょに世界一になろう』って、ずっと話してたんだ」
直はサッカー。
矢沢くんは脚本。
サッカーボールとノート、えんぴつ。
あれは……ふたりの未来を重ねた『誓い』だったんだね。
読んでくれて、ありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ
続きはこのあと1時間後に更新予定ですヾ(≧∇≦*)/




