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11/25

なんか、おかしくない? 矢沢くんの矛盾、ラグバクハツ。

★前回のお話★


らんと健太は、時間を忘れるほど楽しいひとときを過ごしていた。


注文のためにベルを鳴らした瞬間、直が現れ、らんと激しい口論に発展。

挑発的な態度を崩さない直は、ついには手を上げようとするが、

健太が身を挺して止め、拳は寸前で収まった。


慎司はすぐに駆け寄り、二人の無事を確認したうえで、

店内全体に向けて深く謝罪。

その落ち着いた対応によって場の空気は静かに整えられたものの、

直は反省を見せず、店を出て行ってしまう。


沈んだ空気をどうにかしたいらんは、

慎司を元気づけようと「うさぎごはん、いっぱいください!」と盛大に注文。

店内の視線を一気に集めてしまう。


健太と慎司を呆気にさせつつも、

らんの言葉で場を軽くなり、慎司は「おすすめ一式」を提供すると告げる。

健太は、負担を気にするらんに「友情記念のお祝いにしよう」と優しく受け止めた。


今日の出来事をひとまず忘れるように、

二人は水のグラスを合わせ、静かに「かんぱい」を交わすのだった。


波乱続きの展開劇。

いよいよ“うさぎメニュー”を食べられるのか……

続きの始まりです(⁎˃ᴗ˂⁎)


「お待たせしました。『うさぎ森のかくれんぼ』です」

 テーブルへ、こと。

(わぁぁぁぁ……!)

 目、きららららん。


 ブロッコリーの森、ぴょぴょん。

 にんじんハート、いっこぽとん。

 かくれてかくれてぇ……みつけてハッピー。

 わくわく。

「今日のご縁が長く続きますよう願いを込めて、特別にお作りしました」

 ミカエルさま、むねに手すすす、ぺこっ。

(と、とくちゅう……!)

 ツインテ、ぴゃん。

「あ、ありがとうございますっ」

 ぺこん。

「このあとも順にお持ちしますので、お楽しみください」

 しなりん、ぺこん。

 天使の瞬間移動、すっすっす。

(はわぁん)

 消えちゃった。

「矢沢くん……と、特注って……」

「……うん」

 ふたりして、顔ずいっ。

「い、いくら……なんだろね……」

 ごくり。

「わかんないけど……せっかくだし、楽しもうよ」

 にこっ。

(矢沢くぅぅん)

 なんて、王子さまなのぉ……はぅ。

 私のココロ、ひっくり返っちゃうぅ。

 それに比べて私は……はぁ。

 すぐ値段、気にしちゃう。

 これだから苦学生は……

「お金のことばっか気にして……ごめんね」

 しょぼんぬ。

「そんなの当然だよ。寮暮らしなんだし」

 矢沢くん、ブロッコリーをひょい。

 ぽん。

 ぽんぽん。

 ぽんぽんぽん。

「……はい」

 お皿、すっ。

 にこっ。

 風にのってしゃぼん、ふわん。

(いいにおい……ほふ)

「ありがとぉぉぉ」

 矢沢くん、やさしさレベル天界。

 天使のハネつけた光のつぶって感じ。

「しろふわぽんぽんぴかんだよぅ……」

 ぽつ。

「……素敵な表現だね」

 にこり。

(へ……?)

「わ、私また……」

 わたわたわた。

「うん。しろふわぽんぽんぴかん、って」

(ふぎゃぁぁん)

「もー……すぐ言っちゃう……」

 顔、ポポポ。

「……羨ましいよ、ほんと」

 矢沢くん、ぽそっ。

 ぱくり。

「うん、おいしい」

 むぐむぐエンジェル。


 私、じっ。


「な、なに……?」

 あたふた矢沢くん。

「きれいだなぁって思って」

 私、ぽしょ。

「え、あ、あり、がと」

 テレレ、顔すとん。

 ほんと、テレ屋さん。


(……ていうか)

『うらやましい』って、また言った。

 パッキン悪魔の『才能ない』ビーム、

 かなりグサってるんだな……


 でも、わかんないんだよね。

 そもそも、なんでヤツが、

 矢沢くんのシナリオ読む流れになったんだろ。


『邪魔』

『あんだテメ』


 あの殺意みたいなたいどのまま、

『読ませてぇん。きゅるるん』ってなる……? 

 ぜんっぜん、想像できない。

 ほんと、チンプンカンプン。


『だっせ』


 あのタイミングもハテナすぎるし。

 国家資格級の性格悪さなのは知ってるけど、

 あれはもう無差別バキュンバキュンじゃなかった。


『単調でつまんない』

『才能ない』

『だっせ』


 このフルコンボ、

 どう見ても、矢沢くんにロックオン、パーンなんだよね。

 そこがひっかかる。


 それと、もひとつ、もやもやモード。


『ここ、井上くんのお兄さんの店なんだ』


 これはまあ、ネットでポチればスルスルっと出るけど、

 でも問題は……


『前に店で……会って……』


 これ、どう考えてもへん!

 だって私が『ヤツも、ずっと店にいるの?』って聞いたら、

『井上くん? いや、平日は来ないよ』って、

 すぱーんと即答したんだよ。


 パッキンはモデルが本業。

 で、日曜に店に来てる。

 けど、矢沢くんは平日限定リピ。

 パッキンは、日曜スタッフ。

 頭、ぐるぐる。

(ちょっと待って)

 ふたりの時間軸、ラグってんじゃん。


 いつ、シナリオ読んだの? 

 いつ会えたの? 

 いつ?


(……あれ? そういえば)


 矢沢くんって、パッキンのこと

『井上くん』って呼んでるのに、

 あのトラブルのときだけ――


『直っ!』


 ぽろんって、呼び捨てスイッチ、急にオンだった。


 これ、ぜったい裏がある。


(……ううう)

 出会ってまだ二日。

 ふみ込むには早いってわかってるけど。

(でも……知りたいぃ)

 聞いちゃう? 

 うずず。

 ツインテアンテナ、反応求むぅ。

 ぴぴぴぴんっ。


『聞きたい聞きたいぃ』


 ですよねぇ。


 推理スイッチ入っちゃったら、もう止まらんのよ。

 友だちになれたばっかだけど、

 いっぽふみ込んで、もしさけられちゃっても……

 いまなら、まだ浅キズで済む。


(……よしっ)


「藤井さん……? 静かだけど、具合悪い……?」

(矢沢くん……)

 ほんとにやさしいよぉ……

 あなたとバイバイなんて、考えたくない。

 考えたくないけど、でも、でも……行っちゃえぇぇ。

「……ねえ。井上直と、なにかあった?」

 ふみ込み、とんっ。

「……え」

 アクアマリン、ぐらん。

 目が、ふるふるふる。

(あああ)

 イタみ、かくせてないじゃん……!

「やっぱ、なにかあるんだ……」

 ぽとん。

 矢沢くん、びくっ。

 体、ふるふるるる。

「な、なにかって……ど、どういう……意味……」

 目線、あさっての方角へ、逃っ。

 反応、正直すぎて泣ける。

「そのまんまだよ」

 矢沢くん、てん、てん、てん。

 顔、ふい。

 はあ……だんまりスイッチ、カチ。

 こっち……向いてもくんない。

(やっぱダメかぁ……)

 でもね、気になっちゃうんだよ。

 だって――

「……矢沢くん、つらそうなんだもん」

 ぽとん。

 顔、ぱ。

(あ……)

 こっち見た。

 アクア、ゆれゆれ、きらりん。

 いまにもこぼれちゃいそう。

「話、聞くよ?」

 にこ。

 矢沢くん、またまたふいっ。

(あぁぁ……)

 だんまりモード再起動しちゃったよぉ。


 このまま流すこともできるけど……

 キミがこの先も『にこ、ぱぁぁぁ。しょぼん』ってくり返すんだろうなって思ったら、

 ちょっとでもキモチ、ラクにしてあげたいんだよ。

 重たい荷物、半分こしたいんだよぉ。


 ――よし、もうこうなったら、私のテンポでいくから。

(……ごくん)

「私が『井上直、だめだった?』って聞いたときさ……ほんとはなんて言うつもりだったの?」


『いや、そうじゃなくて』


 その先、ファンの『キャーッ!』で吹っとんだまま。

「名前出した瞬間、矢沢くん……しゅんってしてたよ?」


 まゆ、ぴくん。


 うう……横顔、つらそう。

 むね、チクチク。

 でも、しゃべってくれないか……


 ええい、つぎ!


「ファンの声がして、私が様子見に行ったとき……覚えてる?」


『ちょっと見てくる!』

『あ、藤井さん……!』


 直が店にいるってわかってもどったら、矢沢くん。


『おかえり……いた?』って。


 最初から、来るのわかってたみたいに言ったんだ。

「あのとき……列の空気だけで『直がいる』って言ったけど、日曜に来ること、ほんとは知ってたんじゃない?」

 矢沢くん、ぜんぜんこっち見ない。

 肩ぴくぴくぴく。

 動揺、だだもれ祭り。


(……はぁ)

 これ、もう尋問だよね……って自分でも思う。

 でもここまで来たら、もう行くしかないや。


「矢沢くんは平日だけ、直は日曜。なのに……どうして会えたの?」

 しーん……

 はい、だんまり継続中。

 じゃ、つぎ。

「あの人が、どうして矢沢くんのシナリオを読みたがったの?」

 アクアマリン、ついにぱたん。

 ひざの上の手、ぐぐぐっ。

 口、貝モード。

 私もしゅん……

 つぎ。

「なんで矢沢くんが、あの人のこーげきターゲットなの?」


『……単調でつまんないって』

『才能ないからやめろ、って……』

『だっせ』

 どうして――

『直っ!』


「あだ名……で呼んだの?」

「う……くっ」

(矢沢くん……)


「健太くん」

 矢沢くん、顔ぱ。

 ミカエルさま……

「少しずつでいいから、前を向けたらいい」

「慎司さん……」

 次の料理、テーブルへそろっ。

 ことん。

(……えっ)

 うさぎじゃない……?

 サッカーボール……?

 それに、ノートとえんぴつ? 


「……これ……」

 矢沢くん、目ぱちくり。

(え……なに?)

「さっき料理を届けに来たとき、君たちの話し声が耳に入ってね。急いで作り直して、これを持って来たんだ」

 私へ、にこり。

 どきっ。

「健太くん。彼女には……話してみるべきだと思うよ」

「……う……く……」

 アクア、ゆらゆら、ふるるん。

「あの……このお料理って……?」

 ミカエルさまへ、ぽつ。

「こちらは、健太くんと直の象徴……『誓いプレート』です」

 しょーちょー……?

 ツインテ、くりん。

「お料理のご説明をさせていただきますね」

「は……はい」

 おず。

「左から、ライスボール、ミニサンド、ポテトでございます」


 おにぎり、つぶつぶ。

 のり、ぺたぺた。

 まんまるフォルム、ころんころん。

 サッカーボール、きゃるんるん。


 ミニサンドはノート型、シャラリン。

 ページ、ぺらん。

 線、きらりん。

 “けんたアンドなお”

 ふたりの名前、静かにきゅっ。

 ココロにぽとん。

 ちょっぴり、じーん。


 えんぴつポテト、食べるのもったいないよぉ。

 黄色いボディ、つやっつや。

 先っぽちょん。

 ピンク消しゴム、ぷにんぷにん。

『ころん』って、ころがりにげそう。

 かわよすぎっ!

 んでもっておなか……ぐぅぅぅ。


「どれも、幼い頃の二人を形にしてみました」

 幼いころの……ふたり?

「えっ、幼なじみ……なんですか?」

 ツインテ、ぼぉぉぉん!

 ミカエルさま、ふわっと、こくり。


(そ、そうだったんだぁ……)


 だからシナリオ読む流れとか、

『直』って呼び方とか、いろいろつながるんだ。

(なるほどぉ……)


「お客様」

 ミカエルさま、すとんとひざつき。

「は、はいっ」

 ツインテ、ぴょぴょ。

 背筋、ぴししっ。

「弟の失礼は、私が責任をもって正します。そのうえで……どうか、健太くんと直の話を聞いてあげてください」

 ゆるり、ぺこん。

「あ、や、えと……は、はい」

 あたふた、あせあせ。

「ありがとうございます」

 顔ぱっ。

 ミカエルフラッシュ、きららら。

(ぎゃふぅ!)

 目がぁぁ……がく。


「健太くん……もうひとりで抱え込まなくていいんだよ」

「う……くっ……」

 ミカエルさま、矢沢くんへ手をそっ。

「そうだよ矢沢くん! 私、いつでも話聞くって言ったじゃん」

「藤井さん……」

(わほっ)

 矢沢くん、やっと目が合ったぁ。

 元気、もりりっ。

「荷物、私も持つ! むしろ持たせて!」

 もっと頼ってよね。

「重いのは、ババっとポイ! キモチふわん! そんでもって、ごはん、おいしくぱくっ! ねっ!」

 ツインテスマイル、ぴっかーん。

「ふふ……本当にその通りだよ、健太くん」

 ミカエルスマイル、ころろん。

「う……ううっ。ずっ……は、はい……」


 ひとりで荷物、重かったね。

 もう大丈夫だよ。

 私も、ちゃんと支えるから。


 ポシェット、ごそそ。

「これ……使って?」

 うさぎハンカチ、すっ。

 とっておきのさいきょーアイテム、頼んだよ。

「ずっ……藤井さん……あ、ありがとう……」


 アクアマリン、きららら。

 涙の海で、うさぎぷかぷか、水あそび。

 ぴょんぴょん、ぴちゃん。ぴょん、ぴちゃん。

(えへへ)

 矢沢くん。

 泣き顔も、とってもとってもきれいだよ。






読んでくれて、ありがとうございました(´,,•ω•,,`)◝

次回更新は、今夜19時20分です✿

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