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50代召喚(前世の記憶の亡霊が生きた道)  作者: くまじ
2章 フリーランサー
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58. 遂にラデスが炊けました

 久し振りにアネリアの森にあるキャンプ場にきた。Cランク依頼は報酬額が金貨に足らないまでも、指定素材以外は買い取りに出せるので、その分の上乗せがあれば合計として120レラ(金貨1枚銀貨2枚)とかの収入になったりするので実入りは良い。今日は休みにしてインベントリに溜まってる未解体の品々を捌こうとやってきた。


 だが頭の中に浮かぶインベントリのアイコンは山ほどあり全然数が減らない。


「仕込みは終わってるとは言え、どれだけ溜まってるんだよ、インベントリのアイコンが全然減らない」

「干城、口動かしてないで手を動かしなさいよ」


「ここなら、解体の匂いに釣られて襲ってきても大したのは居ないから、どんどん済ますか」

「兎に角進めないと終わらないけど、それにしても今日中には終わりそうにないわね」


「いっそギルドの解体に売り払っちゃう?」

「でも今持ってるのお肉が美味しいのばっかりよ? 売値より食欲で残したのばっかりだから」


 あまりグズグズ言っても奈津希の正論パンチに打ちのめされるので、それから黙々と二人で解体を続けた、解体の腕も更に上がった、効率よく解体してる筈だが全然終わりが見えない、やはりランクCフリーランサーは魔物を討伐するよりも、後始末の方が大変なランクだ。


 解体が終わった肉は、残留魔力の様子を見て空間収納にしまった、こちらなら時間経過するので熟成を進められる、熟成が終わったら時間停止のインベントリに移し替える。


 解体も三日目になると殺伐としてきた、ひたすら肉に解体するのだ仕方ない、だがその甲斐あって解体は終了した、夏休みの宿題の詰めよりキツかった、次からはもう少しコツコツ捌こう。


 奈津希と散歩ついでに食材探しに川のせせらぎを聞きながら川沿いを歩く、川に小さな段差がある付近の岩場にショウニ苔とその苔に寄生しているエウロ茸を見つけた、エウロは上級ポーションを作る素材のひとつで、ヌメリはあるが見た目はえのき茸っぽい、根を残せばまた生えてくるので、川の水はすっかり冷たかったが干城と奈津希は見つけた半分程を目処に採取に勤しんだ。


「いきなりこんな素材が見つかるなんてツイてるね」

「なんか宝くじに当たった気分ってこんな感じなのかしら」


「分からん、俺宝くじで高額当選した事ないから」

「アタシもないわ、というかそういう話? アンタ友達居なかったんじゃないの?」


「友達? 居たよ、10年以上会ってない、スマホに電話番号は登録してあったけど、通話もした事ない友達」

「それって人付き合いは職場の同僚ってだけで、定年したら年賀状も来なくなるやつじゃない」


「あの、虫歯の治療みたいに、心をゴリゴリ抉るの止めて貰えます」

「何チワワみたいにうるうるした目をしてるのよ?」


 取り敢えず採取は終わった、川の水の冷たさが心に染みた。


 その後茸類や野草、下級ポーションの薬草などを採取した。


 折角キャンプ場に来たからと、干城と奈津希は次は料理を始めた、ステータスのライフワークを調理師に変える事も忘れない。特に干城は今度こそ白ラデスをマトモに炊くと意気込んでいた。白ラデス5と赤ラデス1を混ぜて軽く水洗いして、教えて貰った炊き方は湯取り方のようで、鍋にたっぷりのお湯を沸かし時々混ぜながら中火で7〜8分ほど茹でる。ザルにあげてしっかりお湯を切る。ラデスを鍋に戻し、弱火でじっくりと水分を飛ばす。火を止め、蓋をして10分蒸らす。


 炊きあがったラデスはまるで別物だった、ふっくらと艶があり、赤ラデスも色が抜けて白くなっていた。一口食べてみたら美味しさに感動した、前世食べ慣れたジャポニカ種のブランド米と比べれば落ちるが、それでもご飯と言えるできだった。


「奈津希、ご飯炊けたよ、食べてみて」

「とうとう、できたのね……美味しい、十分ご飯よ」


「赤ラデスがこんな使い方だったとはなぁ」

「でも、嘘は言ってなかったわよね、赤ラデスだけでは美味しくないけど、白ラデスと混ぜると美味しいって」


「うん、赤ラデスじゃなくて赤米と思った事が、勘違いとドツボの始まりだったね」

「これだけ美味しいんだったら、私もラデス買おうかしら」


 干城はその後もラデスを炊き、お握り、焼き飯、チキンライスなどを作ってはインベントリに仕舞っていた。


 奈津希は八つの竈門を使って煮物や焼き物、それとブイヨンを大量に作っていた、久し振りに料理やスープのストックを増やしていた。


 キャンプ場周辺はいい匂いが漂っていた、肉をや野菜を焼く匂い、魚を焼く、魚を煮る、香ばしい香りに甘さのある香り、ラデスとトマトソース、肉と卵が焼ける甘さと酸味を感じる匂い……色々な料理の香りが風に乗って流れる。その匂いは魔物の知るところとなり、キャンプ場に押し寄せようとしたが、その前で足が止まっていた。干城が魔力を放出して威嚇していた。


 二人は夕方頃まで料理を作り、料理が終わったら作った竈門などを撤収し、バーチャルエリアに入った。


 夕食や入浴を済ませたあと、錬金部屋に行き今日採取した薬草下級ポーションを作ろうとした時の、ポーションを作ってもポーションを入れる容器がない事に気付いた。


 奈津希と二人で今までポーション瓶がないのは分かってるのに、今まで気付けなかった自分にガッカリした。ポーション部屋にこの機械なんだろう? と思っていたらポーション瓶を作る炉であるようで、材料を入れたら瓶を作ってくれるようだ。


 グローブスフィアで調べると珪砂も石灰石も割と近くで取れそうだ、明日採取してポーション瓶を作ろう。


 夜も明けきれぬ翌朝、奈津希と二人で採取ポイントに行き、大量に採取した珪砂と石灰石を炉の材料投入口に放り込み、1時間もするとポーション瓶が出来上がっていた。


「ねぇ、奈津希、ポーション瓶って硝子の材料にソーダ灰が足りないと思うんだけど、それに時間も……」

「諦めなさい、科学を放り投げないとこの空間では生きていけないわよ」


「アイアイマム」


 どうやら科学を放り投げて、便利だからいっかという思考停止をするしかないらしい。事実としてポーション瓶は出来上がっているし、お陰で中級と下級のポーションが作れそうだ。


 ミレアの実を使わずに中級ポーションを200個、下級ポーションを500個ほど作った、多分奈津希も似たような数は作っているだろう。きっと……








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