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50代召喚(前世の記憶の亡霊が生きた道)  作者: くまじ
2章 フリーランサー
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32. バーチャルエリア

 ドアを開けると日本の家にありがちな玄関だった、天井にはLED照明があり、靴を脱いで上がった床はフローリングで、通路の正面と左右にドアがあった、左のドアの向こうは通路になっていて一旦ドアを閉め、右のドアを開くとリビングだった、30畳くらいの広さと二階まで吹き抜けのリビングには二階へ上がる螺旋階段、ソファとローテーブルがある一角と、食事に使いそうな広めのテーブルと8脚の椅子があった。二階へ上がると、階段と直角にリビングの壁に沿った吹き抜けの通路になっていて、通路には三つのドア、二階通路の下は壁と一部はカウンターがありカウンターの横は開口部になっていて向こうはキッチンだった。


 二階に上がり、ドアを開けると執務室のような部屋でその部屋の両側に内ドアがあり、片方はウォークインクローゼットでもう片方は寝室だった、寝室にはダブルベッドがあった、二つ目のドアは執務室からの部屋の位置を、ひとつ目の部屋と左右逆した同じ構造で、共有の寝室を中心にした左右対称構造だった、最後のドアはトイレ、風呂、物干し場、リネンなどを置く棚のようなものがある倉庫だった、日本のセンサー類で水量や温度を設定して自動で調整する風呂と洗浄機付きトイレに歓喜した。


 二人は一旦この空間を出て、詳しく調べるのは後日にしようと決めた。


 玄関のドアを開けようとしたとき違和を感じたが、そのままドアを開けようとしたが開かなかった、閉じ込められた? と思ったが違和感に従ってテントを思いながらドアを開くとテントの中だったので、まさかと思い、一旦ドアを閉めてエノー橋の下を思いながらドアを開くと橋の下がドアの外に広がっていた。


「このドアはヤバい。頭で行きたい場所を思いながらドアを開くとそこに繋がる」

「ええっ? それ例の有名なドアじゃない」


「取り敢えずテントに……いや、奈津希テントの中を思い出しながらドアを開けてみて」

「やってみるわ」


 奈津希も無事にドアを開ける事ができた。


「色々調べたいけど、今は寝て明日調べよう」

「そうよね、あの空間の時間が止まってるのか、こっちと同じなのかも分からないしね」


「それもあるか、あのドア奈津希も出せるか試してみて、バーチャルエリアって魔法」


「あ〜、うん」(バーチャルエリア)


 ドアが出現した、構造物はなくドアだけだった、消えるようイメージしたらドアは消えた、色々気になるが今は一旦寝る事にした。


 翌朝、作った竈門を消去して、テントなど野営準備を撤収しドアを出現させ、干城だけこの中に入り、入った後ドアがどうなるか確認した。


 干城はバーチャルエリアから戻ってきて奈津希に確認した。


「どうだった?」

「干城がドアを閉めたらドアは消えたわ」


「それじゃ、ドアが残りっ放しな訳じゃないんだ」

「そういう事ね、取り敢えず中で朝食作りましょうか、あのキッチン使ってみたいわ」


「そうしよう、出る時は場所を選べるから帰りは時短出来そうだし、ゆっくり調べよう」


 二人はバーチャルエリアに消える。


 入って正面のドアはキッチンだった。


「早速朝食を作るわ……これ日本のやつと同じだわ」


 干城はリビングからキッチンを見ると壁に掛かっている時計を見つけた。


「時計あったんだ、しかもデジタル表示、今は午前6時5分で5月29日の聖? 並び的には聖が日曜で闇、火、水、風、土、光か? 火曜と水曜はそのまま読めそうだけど、月曜が闇なのがなんとも」


「朝ごはん出来たわよ、どうしたのよ?」

「デジタルの時計があったんだけど、それで曜日がね……」


 干城は曜日について分かった事を説明した。


「月曜が闇なのは、気持ちは分かるとしか……」


「そうなんだけど、そもそもこの国は聖が休日なんだかも判らないし、労働基準法なんてないだろうし」

「確かに!」


「それで朝ご飯は?」

「ふふん、今持ってくるわ、見て驚きなさい」


「?……ええ? 白米と味噌汁? なんで?」

「それが、キッチンの棚や米櫃に有ったのよ、しかも使った後に元の位置にしまったら使った分が元に戻ってたわ」


「ご都合主義すぎんか?」

「それはアタシもそう思う、でも事実で現実なのよ受け入れるか、思考放棄するしかないでしょ?」


「じゃあ、米とか味噌とか持っていけるって事かな?」

「それは試してみんと判らないわ、当分は検証つづきね」

「それしかないか」


 そう言って二人は食事を始め、風呂があるんだしと風呂に入ったあとで、昨日保留していた玄関から入って左側のドアの奥を調べる事にした。干城は使い慣れたシャンプー、リンス、ボディソープもあり大満足だったが、シャンプーで泡が出るまで髪を3回洗い直した、結構汚れてたんだなぁとしみじみ思った。


 干城が先風呂で入り、その後奈津希が風呂に入る。風呂から上がった奈津希が言うには、洗濯機があったので洗濯物を入れ、洗剤は自動投入型の洗濯機だった。洗濯している間に風呂に入り、風呂上がりに洗濯物を物干し場に干してリビングに戻ってきたということだった。今まで手洗いだった洗濯が楽になると喜んでいた。


 リビングのソファで緑茶を飲みながら一休みして探索を始めた。


「このドアの向こうって通路だったわよね?」

「通路だったけど左右対称にドアもあった」


「次は何があるんでしょうね」


 入った部屋は見るからに鍛冶工房だった、排煙の煙突はあるが煙突の先がどうなっているかは怖くて見に行かなかった、向かいのドアも鍛冶工房だった。


 もうひとつの部屋に入るとソファとテーブルの他に作業台と大きな窯がある部屋だが、内ドアは4つあった、ドアの先は工房のようだが、干城はそのドアの内のひとつの部屋に、なぜフラスコやビーカーなどがある理科の実験室があるんだ? と思っていると奈津希が話だした。


「ここ錬金工房じゃないかしら?」

「錬金術? ラノベも作品によって多彩だからこれっていうのが掴みにくいけど」

「うん、兎に角全部のドアの先を見てみましょうか」


 一通り部屋を見て回った結果、奈津希は見解を話した。


「こっちの鍛冶工房と繋がってる部屋はよく分からなかったけど、他の三つは予想がついたわ」

「こんなのが分かるの?」


「ラノベ的な見解だけどね」

「こっちはポーション類を作る工房」

「こっちはアイテム類を作る工房」

「こっちは道具を作る工房だと思う」


「それ、全部アイテムじゃないの?」

「そうなんだけど、言ったらアイテムの細分類よね」


「細分類?」

「そう、ポーションにしても、例えば魔法が込められたアイテムにしても、魔道具にしても全部錬金術師の仕事なんだけど、求められる錬金術の使い方が違うって事だと思うのよ」


「でね、この部屋なんだけど、錬金術師の基本の物質を分解したり分離したり、結合したりするのをやるのが、その作業台と錬金釜だと思うのよね。つまり、この部屋で素材にしてから、それぞれの部屋で作業するんじゃないのかしら?」

「よくそんな当たりがつくね、というかこの空間の取説が欲しいよ」

「取説ねぇ、ホントそうよね、ん? 取説?」


「どうかした?」

「ちょっと待って、もしかしたら」


 奈津希は鑑定を行使し、鑑定で色々な説明を見る事ができた、奈津希は床に崩れ落ちてひと言いった。


「なんで気付かなかったのよ……」


 干城も合点がいった


「ああ、そうか鑑定か!」

「んんん〜……」


 奈津希は床に崩れ落ちたまま、片手の拳を握りしめ悔しそうだった。


 鑑定の結果、奈津希の予想は正解で、不明の部屋は付与部屋だった。


 その後あちこちで鑑定を使い、重大な事がひとつ解った、外からこの空間に持ち込んだものは、外に持ち出す事ができるが、元々この空間にあるものは外に持ち出せない。


 つまり、この空間にあるもので作ったご飯や味噌汁は外に持ち出せない、持ち込んだ食材でも、この空間にある調味料を使った料理は持ち出せない、鍛冶や錬金の道具も持ち出せない、インベントリで物質の時間を固定していても外に出ればインベントリから消失し、この空間に戻れば復活する。


 素材を持ち込んでその素材を工房で加工しても、この空間の物が混ざってなければ持ち出せる。


 そういえはバーチャルエリアだったと思い直した二人だった。



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