↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50代召喚(前世の記憶の亡霊が生きた道)  作者: くまじ
2章 フリーランサー
34/86

29. お茶を一服

 朝になり川に体を拭きに行った奈津希がキャンプ地に戻ってきた。


「川の様子が変わってたわ、昨日より川幅が少し広がってたわよ」

「そうなの?」


「ええ、上流の山の上に黒っぽい雲があったから雨雲じゃないかしら?」

「数分で変わる鉄砲水じゃないなら、体を拭きながら見てみるよ」


 水辺に来ると奈津希が言ったように、川幅が昨日までより少し広くなっていた。上流を見て川の流れに注意して体を拭きながら、川上の山の頂上にかかる雨雲を見る。昨日より肌に湿気を感じる、風はこちらに流れているんだろうか。まだまだ遠くだが雲がどう流されるか分からない、無理に留まる必要もないかと撤収を考える。


 奈津希と話し合いここから撤収することにする。この場所は今後も魔法の練習やキャンプ地に使いそうなので、整地した場所はこのままにしておく。次回来たとき魔物に荒らされていたら、また整地すれはいい。土魔法で竈門や作業台を崩しテントを空間収納に格納して、忘れ物がないか確認し撤収作業を終え王都に向かう。1時間程森を歩いて街道に出る、あと20分ほど歩けば北東門に到着する。


 街に入り、虫除け薬を買い。鍋や食器は数軒を回って色々と買った。金物屋や食器店などそれぞれ複数の店を回ったのは一軒の店で買い占めて在庫切れにさせないためだ。奈津希はそのくらい鍋や皿、食器類を大量に買った。そのあと茶葉を買いに行った店でコーヒーを見付けた。今まで見たことがなかったのでコーヒーを見つけたことは嬉しい誤算で、勿論茶葉と両方買うことに迷いはない。


 紅茶の茶葉は香りの強かったスターレイ葉のオレンジペコと、店員さんに味わいが豊かと勧められたセロール葉のオレンジペコを買い。カウンターの奥に粉のようになった茶葉を見つけ、聞いてみると葉の選別の時に出る廃棄品と言われたので、是非にとすべてのダストの茶葉を買った、廃棄品ということで格安で売ってもらえた。店員さんに燻(いぶかし)がられたがチャイはこの国では知られていないらしい。


 それとコーヒー豆とミルやサイフォン、メッシュフィルターや回転式の手動ロースターなど一通り買い、全部で68レラ(銀貨6枚白銅貨8枚)になった。


「茶葉に比べればコーヒー豆は随分安いね、道具込みで合計の半分以上茶葉代だし」

「ホントね、値段的にコーヒーが庶民の飲み物そうね」


「ギルドで当たり前の様に紅茶が出てたから、こんな高級品だと思わなかったよ」

「そうよね、本当に意識してなかったわ。こういう所にも異世界の常識の落とし穴があるのね」


 ダストの茶葉も手に入ったし、是非ミルクを手に入れないといけない、できれば香辛料も。王都の南東部の商店街を歩き、ミルクを売っている店を見つけひと口味見させてもらい、濃厚な味わいでミルクキャスクごと売って貰った。店にはチーズやバターの乳製品も売ってあり、それらも買った。ヨーグルトはないようだった。ミルクキャスクも買った事でお値段は全部で12レラだった、結構買ったと思ったが乳製品は安いみたいだ。買ったあとに味は濃厚な牛乳だと思ったが、奈津希に異世界なんだからミルクであって牛乳とは限らないのはラノベの常識と言われた、納得せざるを得ない。


 香辛料の店はミルクを売っている店の近くにあった、唐辛子や黒胡椒に白胡椒、シナモンスティックもあった、それなりの量を色々買ったが92レラ、金貨1枚(100レラ)でお釣りがくるぐらいで済んだ。


「胡椒の値段は思ったほど高くなかったね」

「金と同等ってやつ? 地球の歴史ではそうだったけど、それでも十分庶民には高いと思うわ」


「高いって言っても、奈津希だって香辛料を同じ量買ったくせに」

「そりゃ、必要なら買うわよ。それよりアタシもワインとワインビネガーが欲しいわね。店は確か、この通りの向こう側にあった筈よ」


 奈津希が指差す方向に歩みを進めながら、子供相手に酒屋さんにワインを売って貰えるかなと心配したが当たり前のように売って貰えた。日本だって平成初期くらいまでは酒屋さんの店先に酒が自販機で売ってあったし、そんなもんか? ああ、フラっと立ち寄った酒屋の角打ちでサバ缶をアテに冷えた1杯を飲んだ記憶が蘇ってきた、20歳と少しで1〜2杯飲んだらサッと店を出るとか粋がってる坊主の頃だったな。


 ワインは赤と白を5本ずつ買った。ワインビネガーを買おうとしたら向かいのワインビネガー屋で売っていると教えられたので、そちらで5本買って店をあとにする。


「ワインビネガーってワイン商人じゃなくて専門店なんだね」

「中世ヨーロッパでも14世紀くらいには、ワイン商人から分離したんじゃなかったかしら?」


「そうなの?」

「雑学大好きっ子が意外ね、だって酢って保存食作ったり消毒に使ったりするじゃない。冷蔵庫がない時代だからこそ酢は重宝なのよ」


 言われてみると納得した、それで酢を使った料理は昔からあるのか。奈津希はこれで調味料や胡椒が手に入ったので、結果的にはキャンプ地で作れなくて良かったのかもと考え直せたと言っていた。買い忘れはないかを空間収納の収納物一覧で確認して、大丈夫そうなのでギルドに向かい、受付けにソフィアさんを見付けた。


「タテキさんにナツキさん、四日振りくらいですか?」

「ソフィアさんお疲れさまです。そうですね、色々片付いたし、アネリアの森で休暇がてらキャンプと魔法の練習をしてました」


 ソフィアさんはキョトンとして、何のことか分からないといった感じだった。


「キャンプ? ですか」

「ちょっと干城、ソフィアさんキャンプって野営の意味なんですよ、昇級したので野営の練習も兼ねて」


「ああ、そうなんですね、今日はお仕事を?」


 時間は昼前だ、今仕事受けて遠征もアリではある。だが目的はそうじゃない。


「いえ、実は給湯室を使わせて貰えないでしょうか。茶葉を買ったので、皆さんにチャイを飲んで貰おうかと思いまして」

「チャイ、ですか?」


「ええ、私達の元の国とは別の国のお茶の淹れ方なんですが、紅茶とミルクを使ったお茶です」

「それは、美味しそうですね。ええ、ご案内します」


 給湯室に案内して貰い、材料を出して準備を始める。


 それなりの人数分なら鍋は4つくらい使うだろうか? いや、一遍に作らなくても数回に分けて作れば良いかと考え直す。だが、ティーポットは数が欲しいので、ソフィアさんに言って四つ用意してもらう。


 シナモンスティックとカルダモンのどちらを使うか考えたが、シナモンスティックにして砕く。


 ミルクは先ほど味見したら濃厚だったので茶葉を多めに入れた方が良いかな? と思ったが、試しに少し淹れて飲んでみたら、こちらも茶葉が色々混ざってるのか濃厚な味と香りだった。


 砕いたシナモンスティックを鍋で煮出して味と香りを引き出す、茶葉を入れてお湯を沸騰させないように茶葉を煮出して、温めたミルクと砂糖を入れ少し混ぜながら沸騰寸前まで温まったら火を止めて2分程蒸らす。


 茶葉を漉してティーポットに移し、これを繰り返してティーポット4本分のチャイを作った。


「ソフィアさんできました、どうぞ」


「はい、頂きます……これは美味しいですね、こんな淹れ方があるんですね、紅茶もミルクも濃厚なのに、纏まってますね、この不思議な味と香りは何でしょうか?」


「それはシナモンスティック、こちらではガランダと言ってましたね」

「ガランダ、香辛料ですか!」


「はい、そうです」

「お茶に香辛料を贅沢なんですね」


 ソフィアさんは、お茶の味と香りを確かめるように目を細めた。首を傾げ、記憶にある茶葉を探っているようだが、正解にはたどり着けないらしい。


「これ程濃い茶葉って何でしょう?」

「茶葉は選別で出た廃棄待ちの茶葉なんです。私達の元の世界ではダストと呼んでいました。色んな茶葉が混ざって粉の様に小さいから早く味も引き出せるし、濃厚な味わいになるんですよ。ミルクも茶葉に負けない濃い味わいですね」


「廃棄待ちの茶葉なんですか? それでこの味が?」

「廃棄待ちと言っても茶葉には変わりませんからね、ガランダは1本12リギルでしたが、1本で2〜4杯分はあります。茶葉は格安で買えましたよ、なにせ廃棄待ちですから、勿体ないことですね」


「そうなんですか、あの、淹れ方を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

「勿論かまいませんよ、ですがその前に、皆さんにもお茶を配りましょう」

 

「ふふっそうですね、ありがとうございます。タテキさん、ナツキさん」


 配ったお茶は好評だった、砂糖を少し多めにして甘さも立てたので、一息入れるには良かったみたいだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。