27. 野営の練習は休暇になった 2
寝ていたら、夜中に4体のゴブリンが来た。魔力探知ではなく、気配で目が覚めたので、魔力探知とテルモグラフを併用して先制攻撃で制圧した、森の中でテルモグラフも使っているので火魔法は禁じ手かなと土魔法のバレットを使った、奈津希は放った魔法をリフレクトで反射させて、木に隠れているゴブリンを仕留めている。リフレクトの反射光がなかったら暗くてさっぱり分からなかっただろう。結局戦闘は3分程で終わった。
戦いはすぐ終わるが、後処理は面倒臭い、金にならなくても魔石の抜き取りはしないといけない。手元が見えないがライトでは眩しすぎるので、しばし考えて魔法なら色を変えられんかなと思い、赤い常夜灯をイメージしたら出来た。色の波長が長い赤い光の方が、作業後に目が暗順応しやすいと思ってそうした。
土魔法で作った穴にゴブリンを埋めて、後片付けも終わり再度寝ようとした。
「意外と気配で目が覚めるもんだね」
「そうね、本能的に気配を隠すのが上手い魔物がいなきゃいいけど」
「この辺りには居ないだろうけど、そんなのが居ないとは言えないか」
「今居ないものの心配をしてもしょうがないわ、今は寝ましょう」
朝目が覚めてテントの中を見ると、結構虫が居た、何か被害があった訳じゃないが、虫除け薬って確か売ってあったなと思い出した。街に戻ったら買いに行こう、こういうのも検証だ。
「おはよう、テントの中に結構虫が居たわね」
「虫除け薬が売ってあったよね、戻ったら買いに行こう」
「そうね、こういうのって、実際やってみないと解らない事ってあるわね」
「でも良いんじゃない、そういうノウハウや道具の過不足を知るのが、今回の目的なんだし」
「それもそうね、朝食の準備にしましょう」
「そうしよう、休暇なんだし、ゆっくりやろう」
目玉焼きが焼ける音を立て、ソーセージがふっくらと蒸し上がる。奈津希が手際よくブイヨンを使ってスープを作り、スープの香りが立ち昇る。インベントリから黒パンを取り出せば、贅沢な朝食の完成だ。
パリッと弾けた皮から、溶けたチーズがあふれ出す。野菜たっぷりのスープに入ったボア肉の旨味が、寝起きの身体にしみ渡るようだった。
「うん、美味いキャンプ飯としては上等でしょ」
「まぁ、ラノベの黒パンと干し肉の野営食よりはマシね」
「失敗した、茶葉を買っておけばよかったなぁ」
「アタシもそれ思ったわ」
「やっぱり実際やってみないと分からないもんだね」
「そうね、一度やってみて全体を終わらせるのって大事ね」
食事と片付けも終わり、茶葉がないので白湯で一息つく、このあとどうするか考えを巡らす。
「今日は魔法の練習にする?」
「それも良いと思うけど、何か案があるのかしら?」
「案と言うほどのものじゃないけど、森を川上側に歩いて薪になりそうな枯れ木を集めようと思って」
「ああ、そうね、そういうのも必要よね。枯れ木は空間収納に仕舞えば荷物にはならないし。分かったわアタシは川下に向かって歩いてみるわ」
「じゃあ、昼頃に集合で良いかな」
「それでいきましょう」
その後しばらくして、二人は川上と川下側に分かれて、森の中の散策に歩き出す。
干城は枯れ木を拾いながら森の中を散策した。木が枝を伸ばし日が差さずに下草があまり生えてない所があった、川から時折吹く風が湿気を運んでいるのか、茸が群生して生えていた、見た目はマッシュルームっぽいが茸類は毒が怖い。しかもここは地球の常識が通じるとは限らない異世界だ、うしろ髪を引かれる気持ちで干城は諦めようとした。
「いや、待てよ、以前植物本も見たよな」
もう一度茸をよく見て、この茸の事を思い出した、エドララグス(エドラ茸)食用の茸だ、干城は生えている半分程の量を収穫した。センマイ、サミの葉、カブト草などの中級ポーションの素材になる薬草も採取し、種類別に十本を湿った麻布に包んで一束にした。他にも椎茸のようなラドラグス、ポーションの素材になる赤傘茸の様なレマウラグスなど色々な採取物があり、リグクラというアスパラガスのような野草も見付けた、時折薪用の枯れ木も拾い集めた。
木々を抜けて草地に出た、平らじゃなく起伏のある草地に何か白いものが動いた。注意しながら近付くとホーンラビットが3羽いた。
「ホーンラビットを初めて見たなぁ、あれがそうか」
地球の兎よりふた回り程大きく、頭に角を持つ兎。
気付かれる前に、奈津希が使っているリフレクト技を真似てホーンラビットの意識外の角度から反射させたアイスバレットを当てて3羽とも仕留めた、直ぐに河原に行き、魔石を取りワタを出して、川の水に晒して血抜きをした。
血抜きも終わった様で解体して空間収納に仕舞い、そろそろ戻ろうと野営地に向けて歩き出す。
◇◇
奈津希は枯れ木を拾いつつ森を散策し、茸の群生地を見付けた。人の手が入っていない森は間伐がされず、茸の群生地は至る所にあった。
奈津希は植物本を読んだ事を直ぐに思い出し、エドララグス、ラドラグス、エトララグス、レマウラグスや薬草類を採取していき、蕾のようなダクラの芽や紫蘇の葉の様なルグドなどを採取していき、先を進んでいると木が余り生えていない日当たりのいい場所の、地面を掘って何かを食べているボアに遭遇した。
奈津希に気付いたボアは、直ぐに奈津希に向かって突進した。真っ直ぐ突っ込んでくるボアは奈津希にとってはいい的でしかなく、アイスバレットをボアの眉間に突き刺してボアは絶命した。ボアは一旦空間収納に仕舞い、ボアが掘っていた穴が気になった奈津希は、その穴を見に行った。どうやらボアは芋を食べてた様だが、食べかけの芋の身は蛍光色のようなピンク色をしていて、これ食べられるのかしら? と芋を眺めていたら鑑定が発現した。
【デギラポルト(デギラ芋)
たんぱく質を含むが、味は苦味があり人には中和できない毒がある】
食べられないと知った奈津希はがっかりしたが、それより鑑定が発現した事が嬉しかった。
「来たわぁ〜〜、転生三種の神器、チートキターー」
テンション爆上がりで快哉を叫ぶ奈津希は足取りも軽く、ボアの解体に河原に向かった。
河原の水際に土魔法でボアを吊るす鉄棒のような台を作り、魔石を抜いたボアを逆さに吊るして血抜きをする。その間に採取した素材を整理する。薬草は査定係りに教えて貰ったとおり、十本を湿った麻布で包み一束にする。野草も川上側で洗ってその後水切りをする。
血も大分抜けた様なので、ワタを取ってボアを川の水に晒す、ワタは食べられないかしら? と思いたってワタを見てみた。
「これは無理ね、寄生虫がいるわ、正しい処理方法を知らないと危険ね、残念だけど諦めるて埋めるしかないわね」
後で干城と採取品比べをしよう、鑑定が発現した事を話そう、奈津希はニコニコと楽しそうだった。




