18.おまけ ミューリとライアネル
話し合いの日から2か月たったある日、聖女ミューリは友人のライアネル・ハーブデットを茶会に誘っていた。
「本当に久しぶりねライア。私も聖女としての仕事や結婚に関してのあれこれがあって手紙もろくに送れなくて申し訳ないわ。」
「いえ、ミューリ様がお忙しいのはわかっていますから気にしないでください。こうやって久しぶりにお茶会に誘っていただいてそれで満足ですから。」
二人は微笑ましく紅茶を飲む。
「それでねライア、あなた確かブライダ伯爵家…今は男爵に降格したんだったわね。そこと親戚だったわよね。」
ミューリの言葉にライアネルの手が止まる。
「え…えぇ。お話したことありましたっけ?」
「いえ、ちょっと王家が調べたらかなり遠いけど遠縁だっていうのがわかったから。それに業務提携もしていたみたいだし。」
ライアネルの手が震える。
「あ、別にあなたの家がブライダ家の商会と一緒に詐欺をしていたって疑っているわけじゃないの。調べたら関わってないのはわかったから安心して。」
「は、はい…それならよかったです…」
ライアネルは震えながらカップを降ろす。
「でね、この間隣国の貴族を招いた夜会があったじゃない。」
「え、ええ。私も参加させていただきました。」
「その時ハロルド・インドラットと仲良くしていたそうじゃない。彼が私の妹と婚約しているのを知っているはずなのに随分とはしたないわね。」
ハロルドの名前を出され動揺してしまう。
「あ、あの…その時はハロルド様が婚約破棄を言い渡されていたから…」
「まだあの時は婚約破棄をしていなかったわ。それなのにしたことが確定しているかのようにダンスに誘うなんて…ヴィッジマーラと何を企んだのかしら?」
ライアネルはヴィッジマーラの名前を聞いてミューリがすべてわかっているのだと理解した。
「ご、ごめんなさい…マーラとは幼いころからの仲で…私がハロルド様に好意を持っていると言ったから…」
それを聞いてミューリはため息をつく。
「なるほど、あなたがきっかけだったのかもしれないわね。でも、私はあなたを責める気にはならないわ。たとえその人が他の誰かに好意を寄せていてもその人を好きになることもあるでしょうから。」
「ミューリ様…」
「実際、今回の騒動であなたは何も関わらなかった。ただ傷心したハロルドとダンスを踊っただけ。それであなたを責めるのはお門違いもいいところだわ。」
「は、はい…ありがとうございます…」
ライアネルは深く頭を下げた。
「それでねライア、少しお願いしたいことがあるの。」
「は、はい!何でも言ってください!」
ミューリが不敵な笑みを見せる。
「まだヴィッジマーラと連絡とってるでしょ?貴族の資格をはく奪して平民になったけど、まともに行くところなんてないでしょうからあなたのところにいるんじゃない?」
もちろんミューリはヴィッジマーラが王家によって監視されているためどこにいるのかわかっている。
「は、はい。今うちの商会で働いています。でもやっぱり貴族のプライドがあるのかふてくされ気味で…」
「ふふふ、平民落ちした貴族なんてそんなものよ。それでね、彼にこっそりある情報を伝えてほしいの。」
「情報…ですか?」
「ええ。妹が学園を卒業したのち早々に結婚式を上げる予定なの。その日取りを伝えてほしいわ。もちろん私が話していたっていうのも伝えていいわ。」
それを聞いてライアネルは目を見開く。
「そ、そんなことをすればマーラなら襲撃とかするかもしれない…」
「いいの、むしろ来てほしいのよ。妹の幸せのためにはっきり言って彼は邪魔でしかないわ。今回の騒動で国外追放くらいはされるかなって思っていたのに見立てが甘かった。だから確実に私たちの目の前から消えてほしいの。」
はっきりと言うミューリに背筋が凍る。
「幼いころからの知り合いなら情もあるでしょうけど、私のお願い聞いてくれるかしら?別にあなたは私とした話をヴィッジマーラに言うだけでいいの。ただの雑談よ。あなたは何も悪くないわ。」
「わ、わかりました。はっきり言ってまともに仕事もできないお荷物なのでいなくなってくれたほうが私もすっきりします。…それで具体的にいつ頃なんです?」
「それはまだ確定してないわ。お母様がいい日取りにしないとって占いとかいろいろやって調べているところなの。だからライア、またお茶会を開きましょう。今度はみんなも誘って。」
ミューリの言うみんなとは学生時代の友人の事だ。ライアネルもまた久しく会っていない友人だ。こういう時しか会う機会もないだろう。
「ええ。そうですね。楽しみにしています。」
かくしてライアネルからの情報でヴィッジマーラはハロルドとリアテムの結婚式の日取りを入手していた。また、ミューリからの情報でヴィッジマーラが結婚式の日に何かしでかすかもしれないと王家に伝えられた。トライスはそれを聞いて騎士を警備に配置し、そしてミューリの目論見通りヴィッジマーラは捕らえられた。
ヴィッジマーラは捕らえられたのち人里離れた地へ追放されたとミューリは人伝に聞いていた。
話し合いの日から2か月たったある日、聖女ミューリは友人のライアネル・ハーブデットを茶会に誘っていた。
「本当に久しぶりねライア。私も聖女としての仕事や結婚に関してのあれこれがあって手紙もろくに送れなくて申し訳ないわ。」
「いえ、ミューリ様がお忙しいのはわかっていますから気にしないでください。こうやって久しぶりにお茶会に誘っていただいてそれで満足ですから。」
二人は微笑ましく紅茶を飲む。
「それでねライア、あなた確かブライダ伯爵家…今は男爵に降格したんだったわね。そこと親戚だったわよね。」
ミューリの言葉にライアネルの手が止まる。
「え…えぇ。お話したことありましたっけ?」
「いえ、ちょっと王家が調べたらかなり遠いけど遠縁だっていうのがわかったから。それに業務提携もしていたみたいだし。」
ライアネルの手が震える。
「あ、別にあなたの家がブライダ家の商会と一緒に詐欺をしていたって疑っているわけじゃないの。調べたら関わってないのはわかったから安心して。」
「は、はい…それならよかったです…」
ライアネルは震えながらカップを降ろす。
「でね、この間隣国の貴族を招いた夜会があったじゃない。」
「え、ええ。私も参加させていただきました。」
「その時ハロルド・インドラットと仲良くしていたそうじゃない。彼が私の妹と婚約しているのを知っているはずなのに随分とはしたないわね。」
ハロルドの名前を出され動揺してしまう。
「あ、あの…その時はハロルド様が婚約破棄を言い渡されていたから…」
「まだあの時は婚約破棄をしていなかったわ。それなのにしたことが確定しているかのようにダンスに誘うなんて…ヴィッジマーラと何を企んだのかしら?」
ライアネルはヴィッジマーラの名前を聞いてミューリがすべてわかっているのだと理解した。
「ご、ごめんなさい…マーラとは幼いころからの仲で…私がハロルド様に好意を持っていると言ったから…」
それを聞いてミューリはため息をつく。
「なるほど、あなたがきっかけだったのかもしれないわね。でも、私はあなたを責める気にはならないわ。たとえその人が他の誰かに好意を寄せていてもその人を好きになることもあるでしょうから。」
「ミューリ様…」
「実際、今回の騒動であなたは何も関わらなかった。ただ傷心したハロルドとダンスを踊っただけ。それであなたを責めるのはお門違いもいいところだわ。」
「は、はい…ありがとうございます…」
ライアネルは深く頭を下げた。
「それでねライア、少しお願いしたいことがあるの。」
「は、はい!何でも言ってください!」
ミューリが不敵な笑みを見せる。
「まだヴィッジマーラと連絡とってるでしょ?貴族の資格をはく奪して平民になったけど、まともに行くところなんてないでしょうからあなたのところにいるんじゃない?」
もちろんミューリはヴィッジマーラが王家によって監視されているためどこにいるのかわかっている。
「は、はい。今うちの商会で働いています。でもやっぱり貴族のプライドがあるのかふてくされ気味で…」
「ふふふ、平民落ちした貴族なんてそんなものよ。それでね、彼にこっそりある情報を伝えてほしいの。」
「情報…ですか?」
「ええ。妹が学園を卒業したのち早々に結婚式を上げる予定なの。その日取りを伝えてほしいわ。もちろん私が話していたっていうのも伝えていいわ。」
それを聞いてライアネルは目を見開く。
「そ、そんなことをすればマーラなら襲撃とかするかもしれない…」
「いいの、むしろ来てほしいのよ。妹の幸せのためにはっきり言って彼は邪魔でしかないわ。今回の騒動で国外追放くらいはされるかなって思っていたのに見立てが甘かった。だから確実に私たちの目の前から消えてほしいの。」
はっきりと言うミューリに背筋が凍る。
「幼いころからの知り合いなら情もあるでしょうけど、私のお願い聞いてくれるかしら?別にあなたは私とした話をヴィッジマーラに言うだけでいいの。ただの雑談よ。あなたは何も悪くないわ。」
「わ、わかりました。はっきり言ってまともに仕事もできないお荷物なのでいなくなってくれたほうが私もすっきりします。…それで具体的にいつ頃なんです?」
「それはまだ確定してないわ。お母様がいい日取りにしないとって占いとかいろいろやって調べているところなの。だからライア、またお茶会を開きましょう。今度はみんなも誘って。」
ミューリの言うみんなとは学生時代の友人の事だ。ライアネルもまた久しく会っていない友人だ。こういう時しか会う機会もないだろう。
「ええ。そうですね。楽しみにしています。」
かくしてライアネルからの情報でヴィッジマーラはハロルドとリアテムの結婚式の日取りを入手していた。また、ミューリからの情報でヴィッジマーラが結婚式の日に何かしでかすかもしれないと王家に伝えられた。トライスはそれを聞いて騎士を警備に配置し、そしてミューリの目論見通りヴィッジマーラは捕らえられた。
ヴィッジマーラは捕らえられたのち人里離れた地へ追放されたとミューリは人伝に聞いていた。




