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謀略の犠牲者

 ロボットを記憶を頼りに動かして発煙筒を探り当て、収納する。それから、送風機で煙を次元の向こうへ送るようにする。やらないよりまし程度かもしれないが、他に手はない。

 やっと視界がどうにかなり始めると、紗希には出て来るなと言って、篁文達は外に出た。

「アクシルの方は柵があるから大丈夫だな。後でもいいだろう」

「問題は向こうであるな」

「片付けながら向かうしか無いわね」

 篁文とドルメとパセは、敵性生物を切り、撃ちながら、トンネルの出口を目指した。

 しかし、警察官が必死で盾を使ってトンネルを封鎖していたおかげで、敵性生物が日本に出て行く事は避けられていた。

 だが、無残な「元人間」という感じの遺体が転がっており、犠牲者が出た事を示していた。

「片付けるぞ」

 苦い物を感じながら、片付けてまわる。

 盾にベッタリと付いていた赤い血が、紫色の血と肉片に塗り直され、ようやく敵性生物が姿を消した。

「何があったんですか」

 硬い表情の警察官に訊くと、警察官は、拘束されて、座り込んだり泣いたり吐いたりしている抗議団体の人達を見た。

「サイレンの後、中に催涙弾みたいなものを撃ち込んで、柵を爆発物で爆破したんですよ。その後、いくら言っても外に出ないで、引きずり出そうとしても抵抗して、愛があれば分かり合えるとか言ってて、殺されたんです。

 外に出さないためには、止むを得ないとは言え……」

 訳して聞かせると、ドルメもパセも溜め息をついた。

「仕方ないのである」

「本人は納得してるでしょ」

 それを警察官に訳して聞かせ、

「被害を広げないで済んだのは、あなた達のおかげです」

と、篁文は付け加えた。

「それにしても、そんな物、どこで手に入れたんだろう」

「監視カメラでその人物も他の全員も録画してありますから、出所を吐かせますよ」

 警察官はそう言って、護送車に乗せられていく彼らを鋭い目で見ていた。


 この事件は海外でも報じられ、ネットでは、彼らの行動が非難を浴び、被害が広がっていたらどう責任を取るつもりだったのかと憤る声がほとんどだった。

 また、ニュースではこの時の映像が流され、「無謀で勝手な行い」と抗議団体を非難し、盾でトンネルを塞いで耐えた警察官を称えた。

 同盟国などは「危険に備えて共同で警備を」「わが軍の精鋭を派遣したい」などという提案を日本にして来たらしいが、アクシルが断り、「では万が一それが外に溢れ出たらどうするつもりか」と言われたので、もう一方の同盟国であるデルザが技術提供し、より強固な柵を出口に設置してしまった。

 そして保険として、トンネル内部の特殊次元庁とつながるプラットホームを綾瀬家に設置してしまったのだ。

 篁文は、

「仕事場まで一瞬だな。楽でいい」

と喜んだ。

 このプラットホームは1人しか運べず、また、登録してある使用者以外は承認がいるので、人質を取ろうが何をしようがまあ安心だとセレエは胸を張った。

「これでいくらかは落ち着くでしょう」

「それと例の団体に武器を流したやつだが、どうも、1枚噛みたい同盟国が仕組んだ事らしい。危ないから共同で対処しましょう、と持って行くか、外に出て来たドサクサで、お前らを襲って武器を奪うつもりだったようだな」

 ヨウゼと沢松がそう言うのに、ドルメが驚く。

「よく、吐いたであるな。拷問であるか?」

「まあ、方法は色々あるんですよ。色々。

 現物という証拠もあるし、四の五の言えんでしょう」

 聞かない方がいいものらしいと、皆は悟った。

「これで、トンネルのこっちは異次元、切り離された世界だ」

 篁文はそう言って、

「元通りだが、家に帰れるだけ進歩したな」

と笑う。

「そうね。スイーツバイキングも行けるし!」

 紗希が言うのに、篁文が顔色を変え、皆は同時に噴き出した。






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