第93話 暗闇
「ちょっ!!待ちなさぁ?いいん!!置いて行くんじゃないわよぉォンンンヨォオオオオオン……ヨォオオオオォオン……!!」
プリンちゃんの遠吠えが森に木霊する。
ライオンも遠吠えってするんだな。しらんけど。(笑)
反省した?プリンちゃんの背に乗り、俺とカロリーさんはマナと副官の狼をに案内されて、グリフォンが降り立った場所へ移動を開始した。
「こっちです!こっちでさぁ!お頭ぁ!!!」
俺の顔見て言ってるから、お頭って俺の事だよな……。
いつの間にか狼達のお頭になっていた様だ。
グリフォンが降下した場所を目撃した副官の狼の案内で、鬱蒼とした森の中を歩く。
既に陽は落ちて、1歩前の視界も見渡せない程の真っ暗な闇が俺達を包んでいる。
俺とカロリーさんはプリンちゃんの背に乗って移動しているが……本当に何も見えない。
マナやプリンちゃん……見えてるのか?
「マナ……目的地には後、どのくらいで着くのかな?真っ暗で何も見えないんだけど……。」
「なんじゃ主たちは見えておらんのか?我たちは全く問題ないのじゃがのぉ。」
「私も全く問題ないわよぉおおん。今もパンツちゃんのお尻とタマタマの感触を背中に感じて、タマだけにもぅタマンな…」
ブチッ!!
「いたぁぁああぃいん!!!」
股座がクネクネしたかと思うと、前方に座っているカロリーさん側から何か引き千切る音が聞こえたが気にしないでおこう。
まだ鬣残ってたんだ。
マナが率いる狼達とプリンちゃんは夜目が効くらしくこの闇夜にあっても見えているらしい。
そう言えば、ゲイブルさんの工房で魔石に光魔法を付与したカンテラの様なアイテムがあったな。
俺の元の世界にあった指向性を持たせた強力なLEDライト並みの魔石は作れないだろうか……?
軍事用の強力なタクティカルLEDライトは約2km先まで照射出来て、人がその照明を真面に喰らったら目晦ましにも使えるそうな……。
「誰でもいいんだけど、魔石を持ってる人いないかな?」
「どうしたの?パンツ君。いきなり魔石を欲しがるなんて。」
「魔石に光魔法を付与して明かりに出来ないかと思いまして……。」
「あぁ、照輝が付与されてるカンテラかぁ。あれ、便利だよねぇ。でもあれ高いよねぇ。魔石あったかなぁ……。クズ魔石ぐらいはあったよーななかったよーな……」
そう言うと、ごそごそ収納袋に手を突っ込み漁り出すカロリーさん。
「私持ってるわよぉおん!!」
プリンちゃんがそう叫ぶ。
真っ暗でライオン顔は全く伺い知る事は出来ないが、腰のくねらせ具合から察するにこちらを振り返っているのだろう。
「私のお尻にぶら下げてる収納袋を探してみてぇん。」
プリンちゃんのお尻付近には、バイクのサイドバッグの様に左右それぞれに一つの袋がぶら下げられている。
これも収納袋だったのか。
流石、物流会社の支所長。
俺の方が袋に近いので、適当に手を突っ込み、袋の中を弄る。
「いやぁあん!そんな乱暴にしないでぇん!もっとや・さ・し……」
ブち血ィ!!!
「いたぁぁぁあああん!!!!////」
またカロリーさんに毟られたな。
ホント、懲りないね。
と言うか、変な性癖に目覚めてないよな?叫びの中に、若干、歓喜が混じっている様な……。(汗)
そう思いつつ袋を弄っていると丁度手の平に収まる程度の手頃な魔石が俺の手に握られた。
「あらん。まだその魔石あったのねぇん。」
「何の魔石なんだよ。オカマライオン。俺達は真っ暗で視えねぇんだよ。」
「それは私が冒険者時代に手に入れた『ピンポンツリーイミテーション』の魔石よぉん。懐かしいわねぇん。」
「あー!あれかぁ!あれ討伐するの、結構、苦労したよなぁ!おまえ、死にかけてたもんな(笑)」
「人が死にかけた事を笑い話にするんじゃないわよぉん!だぁって、すっごいイケメンに変化するんだもぉん。しょうがないじゃなぁい。」
「あんなのに騙されるのはおめぇだけだよ!」
「あんただってカワイイ幼女に抱き着いてクリティカル喰らって死にかけた癖にぃいん!!」
「うっせぇ!!また毟るぞ!」
「いいわよぉん!!もっとやってぉぉん!!出来ればパンツちゃんにして欲しいぃいん!!////」
駄目だこりゃ。
プリンちゃん……完全にM属性に目覚めらていらっしゃる。
俺の手に握られている魔石は、『ピンポンツリーイミテーション』と言う魔獣?の物らしいな。
「その『ピンポンツリーイミテーション』てどんな魔獣何ですか?」
「簡潔に言うと、対象者の嗜好を読取って、それに擬態する事が出来るモンスターなんだよ。」
「対象者の嗜好を読む……って人の心を読めるって事ですか!?」
手の内を読まれたら討伐するのは確かに難しいかもしれない。
「いや、読むって言ってもその対象者が好きな物?者?しか読み取れないらしいんだ。そしてそれに化けて油断した所を襲って捕食するモンスターなんだよ。」
「あの時は2体同時に現れて大変だったわぁぁん!」
4人パーティでダンジョンを探索中に遭遇してまんまと引っかかったのがこの二人だったらしい。
今更だけど……大丈夫かな?この二人……。
「この魔石、使ってしまっていいんですか?今の話を聞く限り、命を賭して手に入れた魔石みたいですが……。」
「いいよ!じゃんじゃん使っちゃって!!」
「何であんたが許可するのよぉぉぉおん!!」
「別にいいじゃねぇか。どーせ忘れてたんだろ?」
「まぁ、そうなんだけどさぁん……。でも、それを見たら……あの人の事を思い出しちゃったぁん。」
「「あの人?」」
俺とカロリーさんは同時に返す。
口ぶりからするとプリンちゃんと深く関係する人物なのか?
「ピンポンツリーイミテーションが化けた男の子スッゴイ私好みだったのぉよぉおおん!!やだぁぁぁ思い出したら身体が熱く……」
ブチィぃぃい!!
「いったぁぁぁ////……ってあんたどこ毟ってんのよぉん!!」
「え?だっておまえ鬣毟ると何か喜んでそうだったからこっちにした。」
「いやあんた馬鹿なの!?羽は毟っちゃダメだって!!」
「いいじゃん。おまえの羽って高く売れるみたいだし。ウチのギルドで売っといてやるよ。」
「何、人の身体の一部を毟り取って勝手に売ろうとしてるのぉよぉおん!!」
真っ暗闇の中、騒々しい二人だな。
と言う訳で、特に思い入れもない様なので使わせて貰う事にした。
「所でパンツちゃん、何するのぉん?」
「オカマライオン、おまえ聞いてなかったのかよ。だからオカマなんだよ。」
「んまぁぁ!失礼しちゃうう!!オカマハラスメントよぉん!!オカハラぉぉおおおん!!」
オカマだって自覚はあったのね。
「この魔石に光魔法を付与して明るく出来ないかと思いまして。」
「ええ!パンツちゃんてば、光魔法が使えるのぉぉん!?凄いわねぇぇん!!」
「あぁ……そう言えばお前は知らなかったんだな。パンツ君は6属性の魔法全てが使えるんだぜ。」
「うっそぉぉおおおおおおん!!!それすっごぉぉおいいいじゃなぁぁあいいい!!!」
プリンちゃんがそれを聞いて打ち震えているのが跨っている俺の股座を通して分かる。
しかし、俺、カロリーさんにそんな話していないぞ?と言うか、こうやって噂は広がって行くんだな。
悪意は無いにしても個人情報駄々漏れだな。




