第92話 新たなパーティ
「主どのの力を得た今なら、人族の街など一瞬で滅ぼす事も容易いじゃろう。どれ、腕試しでちょこっと滅ぼしてくるかのぉ?」
何やら物騒な事を仰るマナ様。
そう言うと幼女姿のままどこぞに走り出そうとするマナを俺は必至に引き留める。
「そんな事したら尚更連れて行かないぞ!!無闇やたらに力を使っちゃダメだって!!」
するとしょんぼりする幼女姿のマナさん。
ふふ……カワイイ……。って、躾はしっかりやらないと。
……マナの方が年上の筈なんだけどなぁ。
あれ?そう言えば、すっかり忘れてたけど、プリンちゃんはどこ行った?今の会話にも入ってこなかったし……。
カロリーさんの可愛がり(折檻)を受けていた筈だが……。
俺は周囲を見回すと、少し離れた所に自慢のサラサラヘアー?だった鬣をカロリーさんに引き千切られて、まだら模様となり涙を流して横たわるプリンちゃんがいた。
「ちょ!ちょっと!カロリーさん!やり過ぎなんじゃないんですか!?プリンちゃん!!大丈夫!?」
俺はプリンちゃんの元へ駆け寄りデカい頭を支えて抱き起こす。
「シクシク……パンツちゃぁあん……私……もぅ……ダメみたぁいん……シクシク……。もうお嫁にいけなぁあいい。最後のお願い……聞いてほしいのぉん……。」
「な、何ですか!?」
「キスして……………」
「は?(怒)」
そう言って口を窄めるオカマグリフォン。
何言ってんだこのオカマライオン。
「接吻を所望……するのじゃぁ……ん~……」
顔赤らめながら瞳を閉じてマナの口調を真似するオカマグリフォン。
オカマライオンと濃厚なキス………。
想像するだけで……ぐふぅ……気分が悪くなってきた……。
オカマグリフォンなのかオカマライオンなのかもう訳が分からなくなってきた。
どっちでもいいけど。
俺は介助していた頭から無言で手を離す。
ゴツん!
「いたぁぁあああいいぃいいん!!!んもぉおお~ん何よぉおお~ん!チューぐらいいじゃなぁあいぃ!!減るもんじゃなしぃい!!!」
「それだけ元気なら大丈夫そうですね。」
オカマグリフォンとのキスなんて俺の精神がすり減るから無理!
元の世界で、犬猫に顔や口元ベロベロさせてる人いたけど……猫の口めっちゃ臭いし、犬は飼い主のしらぬ間に食糞してたりするんだよなぁ……。
俺はとてもじゃないが無理!!
と言うか……何なんだこの騒々しいパーティは……。
子供に過剰な嗜好を寄せるロリコンで忍ばない忍と、自由奔放で何かと俺の貞操を狙って来るライオン頭のオカマグリフォン。そして新たに仲間……と言うか、俺がテイムしちゃった神獣のマナ。
……真面な人間がいねぇ。
と言うか、4人パーティの内、半分は人間じゃないねぇ……。
慣れって怖い。
ライオン顔のグリフォンやら巨大な狼が喋っても驚かなくなってるし……。
何で俺、こんな事になってるんだっけ?
あぁ……そうだ。
オカマグリフォンのプリンちゃんの部下(普通のグリフォン)が行方不明になったから捜索しに来たんだった。。
色々あり過ぎて、本来の目的を見失う所だ。
取り合えず、先程、狼の副官が言っていたグリフォンが降り立った場所へ行ってみるか。
そんな事を思っていると、先程までマナに涎を垂らしながら頬ずりしていた筈のカロリーさんが佇まいを正して話し出す。
「パンツ君。さっきマナちゃんの部下の狼が見たって言う、グリフォンが降りた場所へ行こう。何か手がかりがあるかもしれないし。」
何だよ急に「キリッ!」とかしちゃって。
さっきまで涎垂らしながらマナに頬ずりしていた癖に。
んもぅ!調子狂っちゃう!!
あ、いかん……俺までオカマ口調になりそうだ……。
「そ、そうですね。じゃぁマナ。その副官の狼さんがグリフォンを見た場所まで案内して貰える?」
「うむ。分かったのじゃ。ヨシ。おまえ達、行くぞ。」
「「「「「ガウゥッ!」」」
マナは幼女姿のまま副官を呼び寄せると、その背中にヒラリと軽やかに跨る。
何か、あれだな……。
狼に跨る絵画はまるで、ジ○リアニメの『もののけ○』に出てきそう。
しかし……
「マナ達の群れは皆、人の言葉を喋れるのかな?」
「うむ。我が加護する事により、知力も力も向上しておるのじゃ。そこらの魔獣どもよりかは遥かに賢く強くなっておる筈じゃ。」
成る程。
神獣の力の一部が他の狼達にも宿ると言う事か。
と、言う事は……。
「俺がテイムしたマナはもっと賢くなったって事か!?」
「ん?確かに力や魔力については向上したが……知力については特に何も感じなかったぞ?」
……………
……あーそうですか……。
どーせ俺の知力なんて大した事ないですよねー。
力も魔力も女神様のお力によるモノだし……。
俺が勝手にしょんぼりしていると、プリンちゃんが俺の傍らに寄って来た。
「パンツちゃあん。良かったら私に乗る?」
「え?良いんですか?」
「イイも何も街を出てから私に乗って旅してたじゃなぁい。勿論、夜に乗ってもいいのよぉおん?ん?んふぅ~ん?」
ぷスゥー……スピィー……ムスゥー……
デカいライオン顔が眼前に迫り鼻息が俺の頬を擽る。
ひぃいい……!!
ボッコーン!
正に俺の顔にプリンちゃんの顔が触れようかと言う寸前で、プリンちゃんの顔が歪み吹っ飛んでいくプリンちゃん。
まるでボクサーがKOされる際のスローモーションを見ている様だ。
「主どのの番は我に決まっておるのじゃ…………殺すぞ。」
………。
………………。
今の一撃で死んだんじゃないですかね‥…。
目がハートマーク状態で俺に寄りかかって来ていたプリンちゃんを、幼女姿のマナがワンパンした。
「有難う御座います。マナ様。(伝話)」
「うむ。主の貞操は我が守るので安心するがよい。我と繋がるその時までな……ポッ///(伝話)」
「あ、はい。」
流れで”はい”と言ってしまったが、当然、幼女を嫁にするつもり何てないぞ俺は。
年齢的には幼女じゃなくとも、身体的には完全にNGだ。
「せめてもう少し色んな所も大きくなってからにして欲しいもんだな。うんうん(ニチャァ)」
「パンツ君……独り言で突然何を言ってるんだぃ?何か凄い気持ち悪い笑みを浮かべてるぞ?」
俺の爽やかな笑顔を見てカロリーさんが引いている。
「マナちゃんは渡さないから。(ニチャア)」
「え?」
カロリーさんは俺に勝るとも劣らない眩しい変態的な笑みを浮かべ、マナに抱きついてまた頬ずりをし始めた。
「マナちゃんはお姉さんと一緒に暮らすんだもんね??ね?ねぇ~??」
「何じゃこやつ!!また訳の分からん事を言いおって!!離せぇ!!我は主と番になるのじゃぁあああ!!」
カロリーさんにきつく抱締められて身動きが取れないマナに鼻に指フックされてブサイク顔になっているカロリーさんだが、全く動じない。
カワイイ子供の事となると途轍もない力を発揮するんだな。
そしてひとしきりマナとの戯れに満足したのか、先ほどマナに殴られて白目を剥いて倒れているプリンちゃんを見やる。
「しかし………『何がお嫁に行けない!』だよ。相変わらず気持ちわりぃオカマライオンだなぁ。こいつ、このままにしといて先を急ごう。」
プリンちゃんの声色の真似をして侮蔑的な目で見ながらそんな事を仰いますが……
あなたも十分気持ちわりぃですから……。
しかし、俺もカロリーさんに意見には同意だな。
よし。置いて行こう。俺達も放置されたし。
やられた事はやり返しておかないと後々、禍根を残す事になる。うん。
そうして俺達は、力尽きたプリンちゃんの亡骸をそのままにして、再び歩を進めるのだった……。
「ちょっ!!待ちなさぁ?いいん!!置いて行くんじゃないわよぉォンンンヨォオオオオオン……ヨォオオオオォオン……yoyoyoooo!!」
※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!
またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!
更新が遅れて申し訳ありません。
凸凹パーティで捜索続行…。
はたして目的は達成出来るのか……。




