第91話 マナの過去
マナに巨大な銀狼を連れて人の街中には行けない事を話すと、ヤレヤレと言った風に首を振るマナ。
すると突如としてマナの周囲に霞がかかり、凡そ5m以上はあろうかと言う巨躯の身体を覆い始めた。
そして約10秒程すると、徐々に霞が晴れて行く。
「おぉ!?あれ!?マナが消えた!!」
霞が晴れると、先ほどまで目の前に居た筈のマナの姿が消えていた。
俺はマナの姿を探してキョロキョロと中空を彷徨わせるがやはり姿は見えない。
そこで、ステータスを開きマナの居場所を確かめ様としたその時……。
「消えてはおらぬぞ。主よ。」
幼さが残る声で呼ぶ声が聞こえる。
「え?マナなのか?俺の目の前にはいないぞ!?あれか!神獣だけに精神だけの存在、所謂、妖精みたいな感じで存在出来たりするのか!?」
「いやいや、何を訳の分からん事を言うておるのじゃ。こっちじゃこっち。」
するとその声と同じくして、俺の腕の裾が引っ張られる。
そこには獣耳とふんわり尻尾をブンブン振っている銀髪セミロングで紫と白色のコントラストの色鮮やかな花魁の様な肩だしの浴衣と洋服が混在している和洋折衷の様なミニスカート姿の小学生ほどの女の子が俺を見上げていた。
…………
……………………
「…………あれ?もしかして……マナさん……ですか?」
するとその銀髪獣耳尻尾ブンブン小学生が無言でコクコクと頷いた。
「わぁおお!!!!人に化ける事が出来るんだ!!妖怪じゃぁあぁあああ妖怪の仕業なのじゃぁぁぁああ!!」
「主よ。落ち着け。」
「うひゃっぁぁぁぁああ!!祟りじゃぁああ!!!山神様がお怒りになったのじゃぁぁぁ!!」
「だから落ち着けと言うに……。」
「うわぁぁ…………!!(ボコッ!!!)」
パンツが取り乱している所に、マナの拳がパンツの顔面を捉えた。
「いたたたた………何か久しぶりにツッコミを受けた様な気がするなぁ。しかし……凄いな!人にも変化出来るなんて!!」
「我ならこの程度の事、容易い事なのじゃ。」
「でも……何でこんな姿(幼女)に?」
「先程も言ったであろう?我の肉体は人で言うと10代前半ぐらいなのじゃ。年相応に変化しただけなのじゃ。」
「な、成る程……。」
これは……完全に見た目だけならソフィちゃんと同年代だ。
カワイイ。幼女なのにどことなくクールを視線。
ソフィちゃんと同じく、将来楽しみな逸材だなぁ……。
……って、マナさんは既にこの時代だけで300年以上は生きているんだし何かおかしな感じだな。
…………
…………………
ん?ちょっと待てよ……。
カワイイ子供……がいるって事は……。
「マナ!早くその人化を解っ…!!」
「ん?何を急にそんなに慌てておrふっぅ……!?」
ズザザザザー――ッ!!マナを掻っ攫うかの様にとんでもないスピードでカロリーさんが飛び込んできた。
「うへぇぇへへへぇぇへへ!!ひやぁぁああぁあほっーーい!!ンフフフフフフ!!!」
マナは敢え無くカロリーに捕獲され残像が残るほどの高速で頬ずりをされていた。
「カワイイ!キャッツワイイイィイィイイイ!!!!もおうぅ!ガワイイ!!ギャワビィイイイ!!!!」
「な!なんじゃこやつ!!!気持ちが悪いのじゃ!!!主どの!!助けるのじゃぁあああ!!」
カロリーさん、もう言葉になっていない。
目がハートマークで逝っちゃって……涎を垂らして……怖い……獣じゃ……。
これは俺も手を出せない……。マナ。耐えてくれ……。すまぬのじゃ……。
10分後~~
そこには俯せでげっそりとしたマナと、それとは正反対に肌艶がテカテカしているカロリーの対照的な二人がいた。
「はぁ~!すっきりしたぁ!ソフィちゃんと触れ合って以来、カワイイ養分が不足してたしねぇー。いやいやこれで全回復出来たよ!!ありがと!マナちゃん!!また宜しくネ!!」
「うぐぐぅ……何なのじゃこやつ……。とんでもない力で我を組み伏せおってからに……。」
マナはぐったりしながら胡乱げな眼でカロリーを睨んでいた。
「いつもすまないねぇ…苦労かけて……。」
「主どの……。急に老け込んだ口調で何を言っておるのじゃ。我の方が年上じゃぞ?それにこんな事に巻き込まれるとは聞いておらんのじゃ!!」
「だって言って無いし。俺に付いて来るって事はこんな事が日常茶飯事になるって事だぞ?(カロリーさんは今回だけの筈だけど……)」
「……ッ!!ムグググ、何と言う事じゃ……。」
「勿論、嫌だからと言って、力任せに『薙ぎ払え!!』何て街中で出来ないんだよ?」
「……相変わらず人族とは何とも生き難い生き物なのじゃ……。」
「相変わらずって……マナは人の街に行った事があるんだ?」
「うむ。当然じゃ。一度、我を討伐しに来た不逞の輩どもがおってな。トドメをさそうとした時に空間移動で逃げられてしまってのぉ。その時にそやつらの逃げ込んだ街だが王国だか帝国だか知らんが滅ぼしてやったのじゃ。フフン」
幼女姿の顔でドヤ顔をするマナさん。
怖ッ……。マナさんコワッ!
「その滅亡させた時って、前世の時?それとも今の時代?」
「前世じゃな。大体我が1000年過ぎたあたりだったと思うがのぉ。我がピチピチの頃じゃな。無謀にも我に挑み抵抗する人族の大群を千切っては投げ、魔法で燃やし吹き飛ばして楽しかったのぉ……。」
「はは……本当に滅亡させちゃったんだ……」
「我がいきなり王城を破壊した時の奴等の怯えた顔は滑稽であったぞ(笑)」
そう言いながらケラケラと無邪気に笑う幼女姿のマナ。
純粋ゆえの残酷さ……か。
子供の頃は好奇心だけで虫や動物に対して酷い事しちゃう事あるしなぁ。
人にもよる思うけど、俺は成人してから虫とか気持ち悪くて触れる事も出来なくなったし……。
「そもそも何でそんな事になったんだ?まさか只の気まぐれで人族の街を襲ったのか?」
「そんな事する訳ないであろう。さっきも言ったであろう?我から奴等に何かした訳ではないのじゃ。奴等が突然、我が寝ている所に攻撃を仕掛けてきたのじゃ!」
「あー……その話って本当の事だったんだ……。」
俺とマナとの会話に入って来たカロリーさん。
何か知ってる感じ?
「知ってるんですか?マナが人族の街か王国を滅ぼした事。」
「知ってるも何も、今じゃ伝説になって語り継がれてるよ。絵本にもなってるし……。只の御伽噺かと思ってたんだけどさ……。」
へーそうなんだ。どういった内容なんだろ?そんな事言われたら興味が出てくるよ。
「言い伝えによると、人族の王がある一帯を武力で支配した後、更に力を誇示する為に、近くに住む『神獣マーナガルム』討伐を命じたらしい。そして10万の軍が編成されて神獣に挑んだが、あっさりと敗走する嵌めになり、初回の攻撃で、半数の5万の兵が消滅し、残りは逃げ帰った。
だが神獣の怒は収まらず、追撃して来た神獣の魔法により、第8位階まで防御出来る筈の城壁と、威容を誇った搭諸共消滅させられたらしい。
王は全戦力で抵抗を試みたが、神獣には全く効果が無く、羽虫の如くあしらわれ、城下には死体の山が築かれたと言う。そして最後にその城下町全てを巻き込んで神獣の魔法が繰り出されて王都に住む住人共々滅ぼされたらしい。」
「ほう。1000年前の言い伝えがあると言う事は生き残りがおったのか。」
「王都周辺の村から”それ”を見ていた村民達の言い伝えらしいけどね。」
「……ちなみにその王都って、どれぐらいの規模の街だったんですか?」
「言い伝えによれば、30万人程度の王国だったっみたいだね。それが僅か半日にも掛からずに滅亡したって言うんだから……恐ろしいよね……。」
「ん?半日も掛かっておらんぞ?深夜に襲撃を受けてそのまま奴等を追いかけ滅ぼした後、ねぐらに帰る頃には陽が昇る頃じゃったからな。」
「「……………。」」
俺とカロリーさんは絶句する。
……移動時間含めて僅か4~5時間程度で一国を滅ぼしたって事に……。
「しかし、主どのの力を得た今ならもっと早く滅ぼす事が出来るのじゃ!!どうじゃ?ちょこっと行って滅ぼして来るかの?」
ダメ!!やっちゃダメ!!!
※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!
またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!
更新が遅れて申し訳ありません。
大きな台風が近づいております。
停電に備えて非常食や水の購入をしておかねば……。
皆様もお気を付けください。




