第89話 捜索再開1
「主よ。何をぼーっとしておるのじゃ?はよう我に名を付けてくれぬか?」
俺は討伐したモフモフ神獣、マーナガルムをテイムする事になってしまった。
そこでテイムする為には名前を付けなければいけないらしい。
ポチとタマはご本人様から却下されてしまった。
マーナガルム……。
まーながるむ……。
マナガルム……。
マーナ……マナ……。
マナと言えば、太平洋の島嶼周辺で神秘的な力の事をメラネシア語で「力」を現す言葉だったよな。
中2病を煩っている時に調べた事、覚えてるもんだ。
「『マナ』はどうかな?」
「?それはどういう意味なのだ?」
「俺の故郷(地球)の一地域で「力」を現す言葉なんだけど……ダメかな?」
「……ふむ。「力」か。正しく我を表現するにぴったりの言葉ではないか!それにするのじゃ!!」
そう言った刹那、神獣を覆っていた輝きが増し始めて俺と神獣との間に光の帯が纏わりつき暫くすると光が収まった。
「テイム完了したみたいだね。」
「え?もう終わったんですか?」
「ウォォオオオオオーーーーーーーーン!!!!!」
ビクゥッ!!!
神獣マーナガルム改め、『マナ』がいきなり遠吠えを上げた為、俺とカロリーさんは心臓が止まるかと言う程驚いた。
「ちょ……いきなり遠吠えするなよ……。」
「主よ………凄い!!凄いぞ!!これはぁぁああああ!!!!」
急にテンションMAX状態になったマナさん。
先程までは体中が銀色に輝いていたが,今は金色に輝いている。
「主の力……熱くて太くて固い魔力がドクドクと我に入って来るのを感じるぅぅううう!!!」
おい、その言い方、誤解を生む為にワザと言ってるだろ。
乙女だったんじゃねぇのかよ。
「この力さえあれば、何者にも負ける事がある筈がなぁぁぁぁああいいぃいい!!」
神獣マーナガルム改め、「マナ」さんは大きなモフモフな身体を震わせて絶叫している。
何か……ヤバくない?
「魔獣と契約が完了すると、お互いの力が相互に補完されるんだよ。きっとパンツ君の力が神獣の方に流れ込んでるんだね。逆にパンツ君は何ともないのかい?」
「え?俺ですか?いえ、特には……何も感じませんね‥…。」
「おかしいなぁ。神獣程の力を得られたら超人的な力を手に出来そうなのに。と言うか、普通の人間じゃ神獣の魔力を受け入れる事すら出来ずに消滅しちゃうと思うんだけどなぁ。」
怖い事をおっしゃりますな。
神獣をテイムする事は、存在が消滅する様な事だったの?
それ先に言う事じゃない?ねぇ。
すると先ほどまで俺の力の流入に目を閉じて恍惚の表情で打ち震えていた神獣マナさんが多少、落ち着いたのか話しかけて来た。
「所で主よ。何故こんな山深い場所を訪れたのじゃ?この辺りは魔獣も多いので、人族などおいそれと近づく所ではないのじゃぞ?……まぁ、主ほどの力を持つのであれば問題はないが……。」
「最初に言っておくけど、俺たちは別に狙いを定めてここに来た訳じゃないからね?」
俺はマナにプリンちゃん(オカマグリフォン)に置いてけぼりにされてしまった経緯を説明する。
「ふむ。グリフォンか。確かにグリフォンはよく見かけるのじゃ。」
「よく見かける?」
「数日に何回かここの真上を飛んで行くのを見掛けておるのじゃ。」
ま、まさか……。
まさかそんな事はないよね?
俺は最悪の展開になっているかもしれない事を危惧するが、聞かない訳にはいかない。
「ちなみに聞くけど……その飛んでるグリフォンを襲ってたりしないよね?」
「襲う訳ないであろう。奴等もそれなりに強者ゆえな。我なら余裕で倒す事は出来るが、こやつらどもでは返り討ちに合うのが関の山じゃろう。」
マナは後ろに控えている狼達を見やりながらそう話す。
基本的に狩りはマナ以外の狼達が行うらしい。
そこでダメ元で行方不明となっているグリフォンの事を聞いてみる。
「グリフォンが行方不明じゃと?」
「あぁ……1頭のグリフォンが、この先にあるコロンジュ村を出てから行方知れずで、それの捜索で俺達は来たんだよ。」
「確かにもう少し先に人間どもの村があったのぉ。お主ら、何か不審なグリフォンを見ておらぬか?」
マナは後ろに控えている狼達に問いかけると一頭の狼が声を上げる。
「ガウッ!!ガガウガグアグキュッキュガウキューン……。」
「……だそうだ。主どの。」
………
……………
うん。何言ってるか全然わからん。
「だそうだ」と言われてもわかんねぇよ!
マナさんが喋れるんだから普通そこは喋れる展開でしょ!?
「成る程……。じゃぁすまないけどそこまで案内して貰える?」
って、何であんたが分かるんだよ!!
カロリーさん!あんた何もんだよ!?
「か、カロリーさん、狼達の言語、理解出来るんですか?」
「え?冒険者として基本だよ?…………まさかパンツ君、分からないの?」
「……………。(涙目)」
「な~んてね!基本ての嘘だよ!!あはははは!!パンツ君の絶望した顔おもしろーい!!」
この女……。
「冗談はさておいて、狼の言語が分かるのは本当さ。一応、私は忍だからねぇ~。これでも魔物の言語を少しは勉強したんだよ?」
カロリーさんはそう言うと二パっと笑顔を向ける。
忍にしては目立ち過ぎる気もするが……。
日本の忍もどちらかと言うとスパイ的な役割で活動していたらしいしな。
各藩に潜入する為に、各地の方言にも精通していたとか何とか。
ほんと、この人、何者なんだよ。
「あ、すんません。遂、いつもの狼言語で喋っちゃいました。主殿には伝わって無かったですか……。」
「こらこら、主は人族なのだから、人語で会話せねばいかんぞ?困った奴等じゃのぉ。フフフ。」
…………
…………………
「「喋れるんかい!!!」」
俺とカロリーさんは同時にツッコんでしまった。
先程「ガウガウキューン」と鳴いて(喋って)いた狼が申し訳なさそうにそう普通に話し出し、それをやれやれと言った様子で咎める神獣マナさん。
でも凄すぎない?人語も喋れる狼とか……。
俺なんか人語しか喋れませんよ?
カロリーさんを見習ってちょっと勉強しようかな……。
それよりも、この狼達との会話でカロリーさん、案内してって言ってたな……。
何か知っているのか?
「で、カロリーさん。話を戻しますけど、案内してとはどういう事ですか?」
「あぁ。あの狼さんが、数日前にグリフォンが降りて行くのをこの付近で見たらしいんだ。」
「ガウ(はい)。主殿。私はこの鼻で見ました!あれは間違いなくグリフォンでした!!」
「鼻?鼻で見る?」
「主よ。我ら狼は眼よりも鼻の方が良く効くのじゃ。『鼻は目より物を見る』と言うてな……。」
なんだそれ。
『目は口より物を言う』みたいな言い回し。
「それにこやつは群れの中でも鼻の利く奴での。我の副官を務めておるのじゃ。信用できる。」
「副官……か。キミ、名前はあるの?」
「いえ、我々、魔獣に名前などありません。」
「そうなんだ。でも名前がないと呼びにくくない?」
「いえ、そこは以心伝心で我ら一族は通じ合っておりますので大丈夫です!」
「あ、そ、そう。」
何か、テレパシー的なやり取りをしてるのか?
「主どの。我ら一族は伝話で言葉に出さずとも会話が出来るのじゃ。それで意思を伝え合い群れで狩りを行っておるのじゃ。」
電話じゃなくて、伝話か……。
ふ~ん。便利そう。
俺にも出来るのかな?
※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!
またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!
体調が思わしくなく更新が遅れ気味です…。
まだまだ暑い日が続きますが、皆様、健康第一でお過ごしくださいませ




