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第87話 神獣3

パンツ君が神獣に向けて走ってゆく。

すまない。

幾らパンツ君がレトの奴と同等の力だとしても……恐らく3分持たないだろう。

持って1分……いや、30秒持てば……。


その気になれば国などいとも容易く滅ぼせるほどの力を持つ神獣マーナガルム。

倒せるとは思はないが、一撃を食らわせてパンツ君を逃がす隙だけでも作れれば……!

全身全霊を込めた私の最大奥義を奴に叩き込んでやる!!!



「示せ。その力を。そして顕現し我が力と也て……」



最大奥義を放つ為、瞼を閉じて集中し始めると錯雑な魔法陣が浮かび上がり魔力が集まり始める。

魔法と忍独自の術を組み合わせた最大奥義『滅祭』。

早く早く早く!!!魔力を練らなければパンツ君が死……



「お座りぃいいい!」



カロリーがそう思うと同時に神獣へ向けて無謀な戦いを挑むパンツの叫び声が聞こえてくる。


ゴッ!!!!!

バリバリバリバカンッ!!!


「ギャンッ!!!」


「……!?!?」



魔力を込め始め間も無くして正面からパンツ君の声と衝撃音と同時に地面が激しく揺れ始め、まるで大地の神が怒りに任せて地面を殴りつけているのではないかと言う程の振動が私を襲った。

真面に立っている事すら儘ならずに溜まらず座り込み魔力を込める事を中断してしまう。



「な!!何だ!?!?」



眼を開けると先程まで森林だった場所は、地面が火山の噴火口の様に円形に窪み、周囲の木々が完全に倒木し、足元もひび割れ、一部は底が見えない程の窪みが確認出来た。

そして音がした前方へ目を移すと、まだ土煙が漂う中、大きな影が見える。

徐々に土煙が晴れてくるとそこには神獣が横たわり、その横には何故か呆けた様な顔をしているパンツ君が立っていた。



「パ、パンツ……君。な、何をした……。」

「え~っと………………殴り(躾)ました。」

「………………………は?」



…………

………………


殴った?神獣を?

え?それで……神獣を……倒した……のか?

殴っただけで?

意味が分からない。神獣を殴って……倒した?

世界を滅亡させる力を持つと言われ魔王に匹敵するあの神獣を?殴った?

目の前の光景とパンツ君の発した言葉を理解出来ずに混乱する。

え?殴った?対魔法多重障壁と、物理耐性障壁まで展開しているあの神獣を?


…………

………………


そしてカロリーは思考停止した。


あれ……カロリーさんが座り込んだままボーっとしている。

やっぱり『俺、何かやっちゃいました状態』だよね。

そりゃそうか。魔王に匹敵する力を持つ神獣を殴り飛ばして討伐しちゃったんだしな。

俺は顔文字の『(ノ∀`)アチャー』を思い浮かべる。

………どーすんべ。


それにこれ………普通に環境破壊だわ……。

森林が崩壊したクレーターの中で、1人の男と1人の女が佇んでいる。

いや、俺もまさか一撃で倒せるとは思って無かったんだよ……。

取り合えず一撃入れて、そこから再び空間移動ワープを使って神獣の周りを移動しながら時間稼ぎをしようと思っていたんだけど……。

女神様から与えられたチート……ち~とばかり強力すぎやしませんかねぇ……チートだけに(笑)


………

………………


ま!起きてしまった事を深く考えてもしょうがない!

切替大事!

俺は考えるのを止めた。


と、取り合えず出来る事からやって行こう!!

さてと!まずは目の前の神獣に息があるかを確認してみるか。

すると、何とまだ息はある。

少々強めに殴ったのにまだ生きてるとは流石神獣、硬い。

トドメを刺した方がいいのか?

……しかし…………



「この毛並………ヤダ……しゅ、しゅごい。モッフモフのフッワフワのサッラサラ////ハート」



俺は気絶している狼に触れる。それは余りに見事な肌触りの毛並に無意識に頬ずりしてしまう。

はぁかあぁぁぁあ………これは…………全裸で飛びこんだらさぞキモチイイだろうなぁ。

プリンちゃんの毛並も良かったが、これは……また異なる気持ちよさ。体全身が包まれる様な感覚……。

サワサワ、モフモフ、グリグリ、フワフワ



「はぁぁあああ……これは………タマランチ会長ぉおおおおおお!!!!!」

「はっ!!パンツ君!!」



神獣の毛の海で溺れていると、俺の声で現実世界に戻って来たカロリーさんも声を上げる。



「………な、何をしてるんだい?」

「え?いや、あの、その………////」

「早く離れるんだ!!危険だ!!」

「え?でも気絶してますよ?これ。」

「これって………神獣を「これ」呼ばわりする奴がいるかね。」



だって……見た目は狼だけどデカい犬だろ。

寝ている顔……



「フフ………カワイイ。」

「パ………パンツ君……。君、そんな性癖があったのか……。」

「………性癖?いやいや!そんなへきじゃないですよ!!」

「いや、大丈夫だ。誰にも他言はしないから……。安心していいよ?」

「違いますって!!ただ純粋にカワイイなって思っただけで……」

「やっぱりそうじゃないか。」

「だからそのイヤらしい意味じゃないですって!!」



サワサワ、モフモフ、グリグリ、フワフワ



俺は否定しつつもモフる手を休める事はない。

確かに?この毛並の海に全裸で飛びこんだらそれは間違いなく昇天する自信はあるけどさ?

でもそれはペット的な事でその……獣姦的な意味じゃないから!

全く。失礼しちゃう!!


………

って、失礼しちゃう!と言えば、あのオカマグリフォン、どこに行ったんだ?一向に戻って来ないじゃないか。



「そう言えば、オカマグ……プリンちゃん。何処に行ってしまったんでしょうね。」

「あのオカマライオン……戻って来たらたてがみ全部引っこ抜いてやる!!」

「戻って来るんですかね?」

「?あぁ。大丈夫だ。あいつは何だかんだで俺の事が好きだからな!」



え?二人の関係って………そう言う関係だったの!?

俺が驚いた表情でカロリーさんを見ていると



「いやいや、パンツ君。何か勘違いをしているだろう?」

「いや、大丈夫です。誰にも他言はしませんよ。安心して下さい。」

「違うからね!!あいつとは昔、パーティを組んでたって話したよね!?あいつの性格や行動は大体推測出来るって事だから……。」

「やっぱりそうじゃないか。」

「だからそう言う関係じゃないってぇ!!!」



カロリーさんは必至に抗議しているが……

フフン。

先程、俺の性癖を疑った仕返しが出来たので少しは気が晴れたな。

俺達二人がそんな知的レベルの高い(低い)会話をしていると……カロリーさんが急に神妙な面持ちで話し始める。



「パンツ君。キミ……何者なんだい?」

「え?何者と言われましても……。ただの冒険者……ですよ。」

「ただの冒険者が神獣を素手で殴り倒す……?」

「…………」

「神獣はね……人が単独で倒せる存在じゃないんだよ?絶対に。むしろその存在は伝説に近い存在だ。」

「そ、そうなんですか?まぁそのこいつ(神獣)の調子が悪かったんじゃないですかねぇ(知らんけど)」

「きみ……もしかして、勇し………!?パンツ君!!早くそこから離れるんだ!!!目覚めているぞ!!!」

「え?」



カロリーさんが再び大太刀を構えて後方に飛び距離を取り戦闘態勢に入る。

モフりながら後ろを振り返ると、神獣の瞳がパッチリと開いていた。



※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!

またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!

更新が遅れ気味ですみません…。


神獣さんが目覚めていた!!

パンツさんとカロリーさんの運命や如何に!!

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