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第86話 神獣2


「起きてたんかーい!!!かーいかーいかーいかーい………」


スパァーン!!グキっ!!!


俺の咄嗟のツッコミがカロリーさんの頭に炸裂し、森の中で反響し木霊する。



「お?首が治った!?有難う!パンツ君!!」

「…………いや、治ったならいいんですけどね……って、いつから起きてたんですか!!」

「え?あのオカマライオンに振り下ろされた時から。」


…………

………………



「最初からやんけ!!」

スパァーン!!グキっ!!!



「パンツ君!酷いよぉ!また首が斜めってる!!早く治して!早く早く!!」



俺が再びツッコミを入れると、今度は首が逆方向に傾いてしまった。

酷いも何も、起きてるならさっさと加勢してくれよ……。全く……。

スパァーン!!!グキっ!!!



「はーやっと治った!ありがとう!パンツ君!……ん?でも何で私が殴られて感謝しないといけないんだ?ねぇ、おかしくない?ねぇ?」

「知りませんよ。そもそも起きてるならさっさと加勢して下さいよ。」

「まぁそれは色々と事情があってねぇ~。」

「事情?」

「ま、今はそんな事より、奴をどうにかしないと!!」



何か話をはぐらかされた気もするが……確かにあのデカ狼をどうにかしないと……。

しかし、カロリーさんが言うには、「神の化身」、「神獣」と言うフレーズが出て来た所を見ると……俺の鑑定に表示されていた『魔王に匹敵する力を持つ』と言う情報に間違いではないと言う事か。

それにしても……カロリーさんて本当に金級ゴールドなのか?


魔王に匹敵する力を持つ眼前の神獣の一撃を見事な刀捌きで受け流すだけではなく、あの狼に物怖じせずに立ち向かい連撃を繰り出していた。

明らかに1ランク上の残念白金級プラチナの太陽の風リーダー、シェールの剣筋よりも速くそして重かった。


それにこの狼に対する知見の多さ。

しかも「忍の者」と神獣が言っていた。

そのままに受け取るなら「忍者」って事だよね。

この人も謎の多い人だ。



「パンツ君。」



俺がそんな事を思い耽っていると、カロリーさんから話しかけられてその思考は遮断される。



「君の職種は、武道家だったよね?」

「え?は、はい。」



俺の職種が武道家だって話したっけ?

話していなくても、ギルマスから聞いてたのか?



「私が最大奥義を仕掛ける間、時間稼ぎをお願い出来ないかな。さっきあれだけの大魔法を放った君にはもう魔力は残り少ないだろう?……だから君には近接戦闘を強要する事になるから損な役回りを任せる事になるが……。」

「その奥義であれを倒せるんですか?」

「………フフ。正直な所、分からない。あの化け物に通用するかも……ね。」

「……分かりました。どちらにせよカロリーさんの攻撃に賭けるしかないですよ。どれぐらい稼げばいいですか?」

「大体3分だ。すまない……。あのオカマライオンがいればまだ何とかなったかもしれないんだけどね……。」


「相談事は終わったか?脆弱なる人族よ。少しは楽しませて貰いたいものじゃ。フッフフフ……。」



俺とカロリーさんに向かい眼前の巨大な狼が不遜にそう言い放ち口角がニヤリと上がり残忍そうな笑みを浮かべる。

3分か。

カップラーメン作る間、俺がこの狼の足止めをすれば、カロリーさんが何かしらの最大の攻撃をしてくれるらしい。

カロリーさんは俺が既に魔力が枯渇していると思われたみたいだが、魔力に関しては全く問題ない。そもそも女神様の言葉を信じるならば∞なのだ。


しかし、また魔法を使用してもいいのだが、第4位階魔法は弾かれるみたいだし、それ以上の魔法を使うとなると……と言うか知らないし。

まだ武道家(偽)素手で戦う方が要領は得ている。


でも、今後も素手で戦うのもなぁ……。

以前、猪を倒した時に、鼻先にパンチを叩き込んだら真っ二つになり、血塗れ、臓物だらけになり酷い目にあったし……。

やっぱり、適当な武器……買った方がいいかなぁ……。


と、今は目の前の狼に集中だ!

魔王に匹敵する力を持つ神獣にいきなり対峙する事になるとは……。

怖い!物凄く恐ろしい!!……が、どちらにしろこいつを倒さないと生き延びる術はない!!



「カロリーさん!……行きます!!最大奥義の準備、よろしくお願いします!!」

「すまない!!頼む!!!」



俺は助走を始め、神獣に向けて走り出す。

正面から行っても躱されるかもれない……土壇場の思い付きだがやるしかない!!



「一人で我とやりあうつもりか?人族とは面白いな。圧倒的な力の差がありながらも挑んで来るのじゃからな。それともあの忍が何かする為の時間稼ぎかのぉ?フフフ。



流石神獣……。人間が思いつく事なんてバレバレか……。

しかしやるしかない!



「行くぞぉ!!」

「愚かなり人間。……死ね。」



パンツは神獣に対して正面から攻撃を仕掛ける。

そこに先程カロリーへ攻撃した威力とは桁違いのスピードと威力の前脚が横薙ぎに降られた。



「っ!!いない!?」



完全に捉え、肉塊となる筈の人間が神獣の目の前から消えていた。

神獣はこの世に生を受けて以来、戦闘で初めて狼狽する。

何かマズい。具体的には分からないが今の状況が己の生命に危機が迫っている事を本能が告げていた。

神獣は一気に警戒レベルを最大にしたその時……。



=============================


俺は目の前の神獣に向かって走る。

狼は先程カロリーさんに攻撃した様に前脚で俺を薙ぎ払う様だ。だがその動きははっきりと見える!

見えるぞ!!その可愛らしくピンクで柔らかそうな肉球一つ一つまでもなぁ!!

前脚が俺に触れる直前に、俺は空間移動ワープを発動する。

そして狼の頭上の直上に現れ右拳で額を殴りつけた。



「お座りぃいいいぃぃいい!!!」



ゴッ!!!!!!

バリバリバリバカンッ!!!



「ギャンッ!!!!」



=============================


神獣は目の前に居た筈の人間を見失った所で、突然頭部に今まで受けた事が無い激しい衝撃を受け目の前が暗くなり意識が遠のいて行く……。



「な、何が……起…………」


…………

…………………

神獣の意識は途切れた。



=============================


パンツが狼の頭部に一撃を入れると、対魔法多重障壁と物理耐性障壁の抵抗力で激しい稲光が発生する。

しかしそれも『バリバリ』と言う音を奏でながら鏡が割れるかの様に崩壊し、パンツの拳は神獣マーナガルムの頭部に直撃した。

その直撃した衝撃波で地面が擂り鉢状のクレーターの様に穿たれる。



「女神様に本気出したら星を破壊するぐらいの力があると言われていたので、この間際でも加減はしたが少々強めに殴りはした……まさかこんな事になるとは……。」



狼を殴りつけた場所を中心にして、凡そ2km圏内の森林が円形状に崩壊していた。



「………やり過ぎ?俺何かやっちゃいましたか状態だよねこれ。」



俺は自分がやらかしたその光景を見て呆然とする。

そして呆然とする人物がもう一人。女の子座りで俺を見つめる人……カロリーさんだ。



「パ、パンツ……君。キミ……何をした……?」

「え~っと………………殴り(躾)ました。」

「………………………は?」


※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!

またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!


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