第83話 出発
俺はガガンさん夫婦に少しばかり留守にする事を伝えて、再びルク・スエルのグリフォン便の事務所へ移動する。
「にゃにゃにゃのにゃにゃがうっ!!にゃにゃ……」
「ほれほれほれほれーあはははは!!」
ドアを開けるとそこには相変わらずカロリーさんとオカマグリフォンのプリンちゃんが猫じゃらしで遊んでいた。
カロリーさんて、操獣者なんじゃねぇの?
「お!早かったねぇ!!…………あれ?パンツ君?」
「はい?」
「ソフィちゃんは?」
「え?何の事ですか?」
「ソフィちゃん連れてきてって言ったでしょぉぉおおおーー!!」
あー何かそんな事を言っていた様ないない様な……
聞こえてたけどさ(笑)
ややこしくなりそうだったしソフィちゃんを危険に晒す訳にはいかないから無視しただけだ。(笑)
「え?そんな事、言いましたっけ?急いでいたので聞き漏らしたのかもしれませんねぇ。あははは(棒読み)」
「はぁぁああ……やる気なくなったぁあああぁぁ………」
あ、また明日の状ー態でカロリーさんが停止してしまった……。
俺としては別にこのまま放置しても構わないんだが、流石に依頼者が目の前にいるのに放置するのも気が引ける……。
「こいつ、まだこんな状態で冒険者してたの。相変わらずねぇん。」
「オカ……プリンさん、知ってるんですか?カロリーさんがこんな状態になる事。」
「今、オカマって言いそうになったのは聞き流してあげるわぁん。その代わり、今度お食事行きましょうねぇん。それとあたしの事は呼び捨てでいいわよぉん。」
「いえいえ、それは流石に……先人であるオカ……プリンさんを呼び捨てにするなんて恐れ多いですよ。」
「恐れ多いと思ってるならオカマって言い掛けるのヤメテちょーだい!!失礼しちゃうっ!!」
ありゃ、言い掛けたのバレてーら(笑)
「そんな事より、名前を呼び捨てにするのは戦闘になった際に呼びやすいから今の内に慣れておいた方がいいわよぉん。それに一々敬称なんて付けてたらお互いの距離も縮められないしねぇん。ウフッ♡」
ゾッ……。
そんな事いいながらウィンクするプリンちゃん。
と、兎に角話題を逸らさねば!!俺の貞操が危ない!!
「プリンさんはカロリーさんとパーティを組まれていた様ですけど、長く組んでたんですか?」
「そぅねぇ。5年ぐらいかしらぁ。それだけ長い時間一緒にいれば悪い所も悪い所も知ってるわよぉん。」
そこは普通「良い所と悪い所」じゃないのか。
良い所ないの?
「さ、あなたも準備出来たんでしょぉん?こいつはこのまま運んじゃいましょぉん。」
「え!?気絶したこのままですか!?」
「そうようぉん。私の背中に乗せて頂戴ぁい。」
「落ちたりしないですか?」
「こいつは落ちても大丈夫よ。昔も何度か落とした…落ちた事あるし。むしろ落として目を覚まさせた方がいいかも知れないわぁん。」
今、故意に「落とした」って言い掛けたよね。
しかし空から落として平気とかカロリーさん……何なんだ?
「さぁ!さっさと背中にそいつを乗せて、あなたも乗っちゃってぇん!」
「え、いいんですか?俺も乗ってしまって?」
「当たり前でしょぉん。人サイズを二人のせるぐらいなんともないからぁん。」
俺は気絶しているカロリーさんをプリンちゃんの背中によっこいしょういちと乗せて、俺も背中に恐る恐る背中によじ登り騎乗する。
「ウフフ。あなたみたいなカワイイ坊やに乗られるなんて、興奮するわねぇん。夜は私があなたに乗っちゃおうかしらぁん。」
ゾゾゾッ……
俺たちを乗せて振り返るプリンちゃんは、口角をニヤリと歪めて鋭い牙を剥き出して笑う。
これは俺の貞操どころか命の危険をはらんでいますです。
カロリーさん、早く起きて……。
俺はそう強く願うのっだった。
「じゃぁ飛ぶから、ちゃんと私に捕まっててね?ま、私が逃がさないけどぉん。ウフフ。」
プリンちゃんは再び振り返り俺を見ながら鋭い牙を剥き出して笑う。
俺、食われたりしないよね?
色んな意味で……。
プリンちゃんは綺麗に整った見事な両翼をはためかせるとあっさりと空中に舞う。
「うぉおおおおぉお!!!」
俺はつい声を上げてしまった。
ライオンが飛んでる!!
いや、グリフォンが飛んでいる!!!
俺はプリンちゃんの背中に必死にしがみつく。
しかし……クッ!プリンちゃんの背中は毛並み艶々でサラサラ非常に肌触りが良かくて頬ずりしてしまいそうになるほどだ。
クッ!!ここで頬ずりなどしてしまうとプリンちゃんに勘違いさせてしまいかねない……
クッ!負けないぞ!俺は鋼の心を持っているし女神様に最強の力を与えられたのだ!こんな誘惑に負ける訳には……!?
「もぉぉおおんそんなにほおずりしないでよぉおん。感じちゃうでしょぉおん。幾ら私の毛並みが艶やかだからって!ウフッ」
はっ!無意識の内にいつの間にか頬ずりしてしまっていた!
恐るべし……プリンちゃんの毛並み……
危うく俺がテイムされる所だ。
そう思っている間も俺はプリンちゃんの背中をまさぐるのだった。
俺の目の前で気絶しているカロリーさんに目を移すと……気持ち良さそうに寝ている様に見える……って涎垂らしてるから完全に寝てるなこりゃ。
ま、当分、何も起こらなそうだし、このまま寝かしといた方が平穏な移動が出来そうだし寝かしておこう。
しかし………
「うひゃぁぁっぁぁあああぁああああああ!!!!!」
プリンちゃん……速い!速すぎるぅう!!!
まるで戦闘機にでも乗っている様な感覚だ。
勿論、戦闘機なんて乗った事ないけど過去の地球で動画サイトやゲーム画面で見た様な感覚……あれ?そういえばかなりの速度で飛んでいる筈なのに、息苦しかったりしないな。
普通なら向かい風を受けて顔面崩壊する筈なのに。
「プリンちゃん。」
「なぁに?」
「大体、グリフォンてどれぐらいのスピードで飛べるんですか?」
「そうねぇ。今は大体300kmって所ね」
「さささっささ……!!!」
300kmて……ほぼ新幹線の最高速と同じ!?はやっ!!
「今はあなた達を乗せてるから抑えてるけど私単独で飛ぶならもっと出せるわよぉん。」
「え……ちなみにどれぐらい?」
「大体2000km?ぐらいかな?瞬間的にならまだ速く飛べるわねぇん。」
「!?」
おいおい、それって……正に俺の知っている戦闘機とかとほぼ同じスピードじゃないか……。
しかも瞬間的にはまだ速く飛べるとか……すげぇなオカマ……じゃなくてグリフォンて種族は。
「私達グリフォンは風魔法の魔力を先天的に持ってる種族だから魔法を上乗せして速度をだしてるのよぉん。今はお散歩以下のスピードねぇん。これ以上スピードをあげるとお客さんが気絶しちゃったりお漏らししたりするのよねぇん。色々と試行錯誤してお客さんとか荷物を乗せる時はこれぐらいの速度が最適だとわかったのよぉん。」
そういいながらプリンちゃんは遠い目をする。
お客さんが背中にお漏らしされた時の事でも思い出しているのだろうか……。
それにしても300kmの速度で飛んでいる割には、向かい風をそこまで感じない。その事を訪ねると……
「風魔法で私達の周囲に防壁を張ってるからよぉん。だから苦しくないでしょぉん?ウフっ!」
なるほど、よ~く見るとうっすーい膜の様な物がプリンちゃんの周囲を囲うように展開されている。その風魔法お陰で僅かにそよ風を感じる程度だ。
サガ○オリ○ナルも驚きの薄さ!!
こりゃ快適だぁ。
「ねぇん。そんな事より……さっきから何か背中が湿っぽいんだけど……まさかお漏らしとかしてないわよねぇん?」
「え?いえ?お漏らしはしていませんよ!?」
「本当ぉん?おかしわねぇん。明らかに湿ってる気がするんだけどぉん。」
カロリーさんが大量に涎を垂らしているのだが、黙っていよう。漏らしてはいない。うん。
※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!
またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!
パンツさん御一考の旅が始まりました。
行方不明のグリフォンは果たして無事なのか!?




