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第79話 指名依頼


ルク・スエルのギルドに顔を出した所、いきなり俺に指名依頼が入った事を知らされる。

依頼主に会う為に、3階の応接室へ通されると、そこには俺も知っている人物が足を組んで座っていた。


「あっ!モノホンの方だ!!」


俺はつい声をあげてしまう。

ステフさんの宿、『ゆっくりしていっ亭』で一悶着あった、俺の危険人物(変態)リスト入りしたモノホンのお方、子供大好きの『カロリー』さんだ。

今は薄い紫がかったショートカットの毛先を弄っている。

部屋に入るとカロリーさんもこちらに気付いたのか視線をこちらに向けて立ち上がって近付いてくる。



「やぁ!奇遇だねぇ!また会えて嬉しいよ!モノホンの方ってのはどういう事だい?まぁそんな事より……今日は……あのエルフの女の子のソフィたんはいないのかい?ん?」



奇遇も何も、指名したのはあなたでしょ……。

カロリーさんはキョロキョロと首を回して辺りを見渡し、廊下まで出てソフィちゃんを捜索する。



「今日は生憎、別行動なのでソフィちゃんはいませんよ。」

「……………あぁ……そう。……そう…なんだぁ………。はぁぁぁああああぁあ~…………。ヤル気なくなったぁ。」



あからさまに落胆の表情をしながら深い、お腹の底からふかぁーい溜息を付き、ソファに再び深く座り込むカロリーさん。

肩を落としすぎだろ。

心なしか紫がかった髪も白くなっている様に見える……。

あしたの○ョーかよ……。


俺はギルマス達に視線を投げかけるが首を振り、両手を上げてやれやれのポーズをしている。

何でギルマス達がここまで緊張しているのだろうか。

カロリーさんは金級ゴールドの冒険者の筈でクラス的にはギルマス達(金緑石級クリソベリル)の方が上の筈……。


落ち込んだまま黙ってしまったカロリーさん。

このまま沈黙されても話が先に進まないので俺から話しかける。



「あのー……カロリーさん?」

「…………………。」

「もしもーし。カロリーさーん。」

「…………………。」



へんじがない。ただのしかばねのようだ。

あしたの状―態から動かなくなってしまったカロリーさん。

俺はカロリーさんの状態を鑑定してみる。

そこには『状態異常:気絶』の表示が……。

気絶してる……。

はぁ……仕方ない。



「あっ!ソフィちゃんだ!!」

「え!!どこどこ!!どこにいるの!!!」

「起きましたか。」

「あれ?パンツ君?ソフィちゃんは?」

「後で会わせてあげますから、今はお仕事の話をしませんか?」

「絶対!後で会わせてね!!!」

「あー、まぁ……はぁ。」



とは言ったものの、ソフィちゃんに会わせるのは少し躊躇われる。

また宿で起きた様な事になると、アイルとバトルが始まりそうだし。

俺は曖昧な返事をしてから仕事の話に移る。



「それで、カロリーさん。何故俺に指名依頼を?カロリーさんも冒険者でしたよね?」

「宿でも話したと思うけど、私は王都ギルド所属なのは知ってるよね?」

「はい。」

「向こうのギルドで依頼を受けた案件で少し手伝って欲しいと思ってね。」

「手伝い……ですか。それはどういった内容ですか?」

「グリフォン捜索願いさ。実は王都ギルド以外に、こっち(ルク・スエル)のギルドにも同様の依頼が出ていてね。依頼主は『グリフォン便』からの依頼さ。」



グリフォン便?あのオカマグリフォンの所か。

カロリーさんが言い終わると、後ろに直立不動で待機していたギルマスのレトが依頼書を俺に渡して来る。

ギルマス達、どうしたんだ?

王国騎士団団長のラシュリー様と接している時以上に緊張してるぞ……。

それは兎も角、俺は依頼書に目を落とす。


依頼書の表題項目には『グリフォンの捜索依頼』と記されていた。

ルク・スエルから出発して王都へ向かった筈なのだが、途中の街で配達を終えて王都へ向かった後の足取り……この場合は羽取りって言うのかな?が途絶えている。

家にも当然帰って来てはおらず、行方不明になっているらしい。

行方不明になる前に家出などする徴候は無かったと兄妹は話しているとの事。

グリフォンの生態を知らない俺は、取りあえず目の前のカロリーさんに聞いてみる。



「グリフォンが行方不明って……こんな事、頻繁に起きるんですか?」

「頻繁にははいよ。しかし過去の事例ではある事にはある。グリフォンの素材のくちばしや羽は闇市場で高額で取引されているからね。」



くちばし……ここ(ルク・スエル)のグリフォン便の所長のオカマグリフォンは頭がライオンで嘴無かったけど……。

深くは考えないでおこう。



「最悪、そう言った事に巻き込まれてしまった可能性も否定は出来ない。」

「グリフォンを捕まえる連中がいるって事ですか!?」

「そうだな。しかしグリフォンは戦闘力が高くランクで言えばランクCに匹敵する。中にはAに迫る個体だっている。

それにあいつらは頭がいいし警戒心も強いからな。

簡単に捕まったり狩られる事は滅多にない筈だ。

もしグリフォンを捕まえるとなると、かなりの手練れだな。

現時点ではただの家出なのか、捕まってしまったのかの判断は出来ない……。

そこで捜索する為に君を指名したのさ。」



依頼内容については理解したが……

……そもそも何で俺なんだ?

俺より経験豊富な冒険者は他にもごまんといるだろう。



「何故俺に指名を?」

「それは簡単さ。そこにいるレトのやつ……ギルマスに良い冒険者はいないか?って聞いたら君を紹介して貰ってね。それだけさ。」



うーん。カロリーさんとギルマス達との関係性が分からない……。

今もギルマスの事を『レトの奴』とまるで先輩が後輩を扱う様な言い回しをしそうになって訂正していた。



「どうだ!?受けるだろ!?ソフィちゃんも一緒に連れて来てくれて構わないから!!むしろ連れ来て!!」



まさかこの人、依頼内容よりもソフィちゃんと一緒にいたいが為に俺を指名したんじゃないだろうな?

しかしそれならソフィちゃんを直接指名する筈だし考え過ぎか?



「ま、まぁ、話は分かりました。」

「そうか!受けてくれるか!!」

「いや、ちょっと、まだ受けるとは一言も……。」

「ヨシ!!早速行こう!!善は急げだ!!」

「え!?どこに!!」



カロリーさんは俺の腕を強引に引っ張り、扉に向かおうとする。



「勿論!!……ソフィちゃんのトコ!!」



依頼内容と関係ねぇじゃねぇか。

※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!

またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!

パンツさんとモノホンの方との旅が始まります。

はてさてどうなることやら…。

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