第78話 戸惑い
紫髪の綺麗なお姉さん、カロリーさんを心の中の危険人物(変態)リストに登録し、昼食を終えた頃にはもう陽が傾きかけていた。
俺達はステフおっさんに別れを告げて、メリッサ村へ空間移動して戻りその日は直ぐに眠りについた。
翌朝
アイルさんとソフィちゃん……今日も新調された武器を手にして戦闘狂みたいなってる……。
新しい武器を使いたい気持ちはわからなくはないが……やりすぎない様に……何事もやりすぎは良くないからな。
女神様にバランス取れって言われてるし。
「アイル、ソフィちゃん、昨日も言ったけど余り狩り過ぎない様にね。」
「ここはマゾン草原に近いからモンスターは沸いて来るから大丈夫よ!!さ!早く行くよ!!」
アイルとソフィちゃんはそう言いながら装備を整えてさっさと走って行ってしまった。
確かに女神様から依頼されているこの世界の調整を示すステータス上の円グラフは昨日、確認した状態から変わっていない。
あの程度じゃ影響されないのか。
しかしバランスが崩れ始めた原因がある筈なのだが……やはり魔王の復活?なのか?
と言うか……置いてけぼりにされてしまったな……何しよう……。
そうだ!王都に行く前に鑑定魔法を阻害できないかガガンさんに聞かねば!
後、魔王についても聞いてみよう。
「ガガンさん、朝の忙しい時間にすみませんが、少しお時間、宜しいですか?」
「ん?なんじゃパンツ君。また改まって。」
「ガガンさん、魔力が視えるって言われてましたよね?その魔力を視えなくする……というか、阻害出来る魔法とかないですか?」
「阻害?魔力を感知させなくすると言う事か?方法はあるぞい。……しかしまたどうしてそんな事をしたいんじゃ?」
「実は、王国から召喚状が届きまして、王都で鑑定されるらしいんですよ。それで出来れば私の魔力量については知られたくないなと思いまして……。」
「……なるほどのぉ。確かにパンツ君の魔力量は規格外じゃしのぉ。知れたら間違いなく良くも悪くも目を付けられるじゃろうしなぁ。よし、分かった。阻害魔法について教えよう。」
「ありがとうございます!助かります!しかし阻害魔法を使用する事は一般的な事なんですか?」
「そんな事ないぞい。そもそも魔法使の使い手自体が少ないんじゃよ?それに魔力量を隠したいなんて思う奴が珍しいわい(笑)力を誇示して成り上りたい!力を示したい!と言う連中ばかりじゃからのぉ。」
「それなのに阻害魔法の使用方法をガガンさんは知っているんですか?」
「まぁな。ワシも光魔法使いの端くれじゃし魔法についてはそれなりに勉強したつもりじゃよ。……それで、パンツ君はアイル達について行かなくて良かったのか?」
そうなんだよね。
そう言えば、昨日、ギルドに虎とダチョウみたいな鳥の解体をお願いしていたんだった。
阻害魔法について教わったらお肉の回収に行って来ようかな。
それに今までは常に誰かしらと行動を共にしていて一人で出歩く事もなかったし。
王都へ一人旅に行く前に、この世界の単独行動にも慣れておいた方がいいだろう。
そして俺はガガンさんに阻害魔法を操り方を一通り教わった。
「ガガンさん。ありがとうございました。」
「何、そもそも阻害魔法なんぞ複合魔法使いではないと扱えない魔法じゃしな。いいって事よ!」
ガガンさんは軽くウィンクする。
阻害魔法を扱うには二つの魔法を常に発動させて魔力を攪乱させる事で可能となる。
既にガガンさんのお墨付きを頂いたので、王都での鑑定も切り抜けられる筈だ。
よし。ルク・スエルにお肉の回収に行こ……とその前に魔王についても尋ねてみよう。
「ガガンさん。魔王について何かご存知ないですか?」
「魔王か?それならギルドで聞いた方がええかもしれんのぉ。ワシも魔王についてはお伽話でしか知らんからのぉガハハハっ!!」
御伽噺という事は、まだ復活したりはしていないと言う事か?
そして俺はガガンさんにルク・スエルに行く事を伝えて準備を整えて空間移動する。
さて、早速ギルドに顔を出すか。
と言うか、もうルク・スエルに入る為の入国証無しで入り捲ってるな……。
俺はギルドの入り口を潜りながらそんな事を思っていると直ぐに声を掛けられる。
「パンツ君ではないですか。お久しぶりですね。」
声をかけて来たのは、ここの副ギルマスの『リッター』さんだ。
トレードマークの眼鏡も決まっていて、尚且つギルドの制服に身を包み、ペンシルスカートで素晴らしいスタイルを見せつけてくれています。
ありがたやありがたや。
「パンツ君、調査隊の件、受けてくれて助かりましたよ。レトから聞いていると思いますが、中々、調査隊を任せられる人員がいなくて。」
「いえいえ。俺もですけど、アイルとソフィちゃんも見聞を広めたいと言っていたので、渡りに船でこちらとしても有り難かったです。」
「それは良かった。それとレトから頂きました。特級復癒液有難う。助かりましたよ!ところで今日は何用で?」
「昨日、解体依頼しておいたモンスターのお肉を引き取ろうかと思いまして。」
「そうだったの。……その前にパンツ君。少しお時間いいですか?」
お?何だ?リッターさんとサシで会話するのは何気に初めてかも知れない。
いつもアイル達やギルマス達が周囲にいたしな。
「実は、君個人に指名依頼が入っているのだけど、受けてくれない?」
「え?私個人にですか?アイル達ではなくて?」
指名依頼?って何だ?
夜のお店的な感じでご指名入りまーす!的なあれか?まぁそうだろうな。
確認の為にリッターさんに問うと、案の定、大体その通りらしい。
依頼者が冒険者を指名して依頼するらしいが、指名料が別途必要の為、依頼料も高くなる。
……俺を指名するって何者だ?
ギルドに登録してまだ1ヶ月そこらだぞ?
そこまで有名にはなってな………。
…………そう言えば先日までギルマスのレトが俺の事を言いふらしてたんだったな。
その噂話を聞きつけて俺に依頼をして来たのか?
一体誰が……。
「リッターさん。ちなみに何ですけど、指名依頼って断る事も出来るんですか?」
「断る事は可能だよ。既に依頼を受けていたりする場合もあるからね。」
断る事も可能なのか。
じゃあ断ろうかな。アイル達がいないのに依頼を受けても申し訳ないし。
「パンツ君。今回の依頼はうちのギルドとしても受けて欲しい依頼なの。」
「え?何故ですか?」
「えーと、まぁその……冒険者としてこれからやって行くつもりなら、指名依頼は熟しておけばいい経験になる筈だからね。」
「はぁ……そんなものなんですか?」
「そう!!そうなの!!ね!受けましょう!?」
ど、どうしたんだリッターさん。俺の両肩を掴み懇願する様な感じだ。
冷静なリッターさんには似付かわしくないぐらい程に取り乱している。
「ぉぉおおおぉおおおおいいいいぃい!!」
今度は何だ!?この江頭○:50的な叫び声は!?
ドタドタドタドタ……
「パンツ兄ちゃぁぁぁぁああん!!!」
「ギルマス!?」
ギルマスのレトが上階から階段を猛スピードで駆け下りて来てリッターさんを押しのけて俺の肩をガッシと掴む。
「受けてくれるよね?受けてぇぇ!!っぜったぁぁああいい!!」
ギルマスは号泣しながら縋り付く様に俺に懇願する。
「ちょっと!ギルマス!落ち着いて下さい!!どうしたんですか!?」
「受けてくれゆ?」
……涙目で瞳をキラキラさせても内容を聞かないと受けないぞ。
筋肉ムキムキでカワイコぶってもキモいだけだ。
……腐女子の方々にも不評だろう………知らんけど。
「実はおまえさんを指名依頼したのは俺達……と言うか、ちょっとしたギルドに関わる知り合いでな……。出来れば……と言うか、受けて!?絶対!!ね!?」
「いや、それは分かりましたから、依頼内容は何なんですか一体。」
「それは依頼主に直接聞いてくれ。上にいるからよ……。くれぐれも失礼の無い様にな?」
ギルマスといい、リッターさんといい、挙動不審だぞ?
この二人をここまでさせる人物って誰なんだ?
ギルマスに付いて来る様に促されて、上階へと移動する。
3階の応接室に通されると、そこには1人の人物がソファに座っていた。
あれ?この人……。
※貴重な時間を使いお読み頂きましてありがとう御座います!
またブクマ登録して頂いている皆様、感謝です!!
パンツさん、一人旅の準備を着々と進めていますが、まだまだドタバタは続きそうです…。




