第69話 アイテム効果1
………。
…………………。
「ったく。何1人で幸せそうに寝てるのよ。そもそもモンスターが出る所でよく昼寝なんて出来るね。」
「アイルとソフィちゃんが近くにいたから安心して眠れたよ。」
「あのねぇ……。って、それ、手に何を持ってるの?」
「え?」
俺の手には女神様より支給?されたスマホの様な物が握られていた。
夢じゃ………なかったんだな……。
………早速あの適当女神呼び出してやろうかな。
しかしあの女神様の名前……『コンコーディア』って言ってたな。
多少名前は異なるが、『コンコルディア』は確かローマ神話で【調和】を現す女神だった筈。
それと豆知識で、飛行機のコンコルドの語源にもなった名前だ。
中二病を発症してた時にコンコルドの語源を調べたからな。
こんな知識、案外、頭に残ってるもんだな。
「パンツ!そんな事より、それ、全部収納してくれない?」
「それ?………ひッ!!」
ビクッ!!
アイルが俺の後を指さすので促されるまま振り向くと、俺の真後ろに見た事もない顔だけで直径1m程のデカい虎?の顔があった。
それ以外に角兎やダチョウよりも大きい鳥が山積みになっている。
「な、なな、何これ!」
「何って、モンスターよ。」
「2人でこれだけのモンスターを狩ったの……?」
「そうだよぉ!お兄ちゃん!!これのお蔭で簡単にやっつけられるんだぁ~!」
そう言いながら杖を振り回すソフィちゃん。
10匹以上のモンスターが山積みとか……幾らランクFの魔獣だからって狩り過ぎじゃないですかね‥…。
これ……この二人に任せて置けば、俺が調整者する必要もなかったりしない?
新しい武器を常に与え続けたら喜んで魔獣討伐しそうだな。
「て言うかさぁ……。ソフィの攻撃力が滅茶苦茶上昇してるんだけど何で?」
「えへへへ~。いいでしょ~。お兄ちゃんが付与してくれたしね~。」
アイルは不満気な顔でソフィちゃんを見るが、当のソフィちゃんはニコニコ顔でまだ杖を振り回している。
アイルから何が不満なのか聞いた所、魔力ではソフィちゃんには敵わない事は自覚していたが、攻撃力とスピードは絶対に負けないと自負していたのだ。
しかし今日の狩りの際に、ソフィちゃんが魔法以外、つまり杖の直接攻撃でもモンスターをタコ殴りにして仕留めていたとの事。
今迄では絶対にありえない事らしい。
いつもの通り、前衛にアイル、後衛にソフィちゃんの布陣で討伐して回っていたのだが、3頭の角兎に囲まれて、一瞬の隙を突かれてアイルが食い止められずにソフィちゃんに攻撃が集中しそうになったらしい。
するとソフィちゃんは持っていた杖を握りしめ、思い切りフルスイングすると3頭纏めて森の奥までぶっ飛んで行ったらしい。
その後もソフィちゃんも自信がついたのか、間接攻撃の魔法だけではなく、直接攻撃も積極的に参加する様になったとの事。
こんな可愛らしい女の子がモンスターをタコ殴りにするって……。
そんなバカな……。
しかしソフィちゃんを良く見ると、着ているローブや顔に返り血?らしき染み模様が確認出来る。
俺が属性付与した杖に攻撃力+100が付与されていたが、きっとそれの効果だ。
それのせいで、ソフィちゃんの攻撃力が上がり、アイルの攻撃力を超えてしまったのだろう。
こちらもどうやらやり過ぎてしまった様だ。
アイルは悔しそうに俯き、自身が持っている剣を見つめたまま黙り込んでしまった。
ガガンさんが属性付与した際にアイルの剣も鑑定した所、確か攻撃力+50の効果が付与されていた筈だが、それでもソフィちゃんにアイテム効果であっさり自分のアイデンティティを覆された事がショックみたいだ。
このままだと今後、アイルの心理面に影響して戦闘に支障が出るかもしれない。
………やれるか分からないが、属性付与魔法で魔導石の効果を上書きしてみるか?
「あー、その……アイル。」
「…………何?」
そう答えるアイルの声は重い。
やはりかなりショックみたいだ。
「ソフィちゃんの攻撃力が上がったのは、魔導石の影響で攻撃力が上がってるからだよ。」
「…………そうだよね。そんな事だろうと思ってた。魔導石付の武器防具やアイテムは、基礎体力の地力を底上げする効果があるから。」
「……だから、そのアイルの剣の魔導石なんだけど、良ければ俺が上書きして属性付与してみようか?」
「……え!?そんな事出来るの!?パンツ!!」
「……いや、実際にやるのは今回が初めてだから目論見通り攻撃力が上がる保障もないけど、俺も試してみたいし、やらないよりかはやってみてもいいかなと思ったんだ。」
「お願い!!やって!!!」
「アブねッ!!」
「あ!ごめ~んテヘ!」
アイルは即答で答えると、興奮する余り、勢いで誤って俺の顔面に剣で刺突して来る。
剣先を向けるなよ!危ないなぁ!!
でも、謝る仕草はやっぱりカワイイじゃねぇか!クソッ!!
しかし、上書きってどうやるんだろ。
これもイメージか?
俺は剣を手に持ち、今現在、魔導石に内包されている魔力が霧散するイメージを込めると、一瞬、魔導石が金色に輝き魔力が感じられなくなった。
うまく行ったかな?
鑑定してみると、属性付与と攻撃力の効果が消えて、普通の剣と表示されている。流石チート様、女神様。
ほんと、勝手に付与してくれた女神様には感謝感謝だな。
続けて属性付与を行う。
魔法効果自体は『山脈脈動』のまま変更はせずに攻撃力を上げるイメージをする。
すると再び魔導石が金色に輝き、5秒程するとキーンと言う耳鳴りが聞こえてきた。
多分、これで属性付与は出来た筈だ。
俺は手に持つ剣を鑑定して見る。
============================================
※土魔導石付の剣
・攻撃効果+200
・身体強化魔法+100
・魔力効果+50
・山脈脈動属性付与
============================================
ふむ。
どうやらこの魔導石のトータル魔力内包量は350らしい。
ソフィちゃんの魔導石のトータル数値も同じだったな。
それを振り分けた感じだ。
何だ……身体強化魔法?+100?
…………ま、いっか。
兎も角、これでアイルの剣は強化された筈だ。
「はい。アイル。これで攻撃力は上昇すると思うよ。」
「ほんとぉ?」
アイルが怪訝な表情で俺を見る。
まぁ確かに、属性付与を削除して、改めて属性付与に掛かった時間は僅か30秒程度だ。
俺は剣をアイルに手渡す。
するとその刹那、アイルの身体全体が赤いオーラの様な物に包まれた。
「FuUUOOOOぉおおおおおお!!!!!!!」
「「!?」」
いきなりアイルが雄叫びをあげた為、俺とソフィちゃんはビクリと身体を震わす。
何!?どうした!?
「行って来るぅぅうううううう!!!!!うおおおおぉおおおおおぉおお!!!!」
ドドドドドドドドド………!!!
…………
…………………
「お姉ちゃん……。森の中に走って行っちゃった……。」
「……あ、あぁ。」
アイルは雄叫びをあげながら森の中に一人で走り込んでいった。
多分……身体強化魔法の影響……だよね。
※ブクマ登録、評価して頂いてありがとうございます!
感想など頂ければ作品の方向性の参考にもなりますのでよろしくお願いします。




