第62話 属性付与1
ゲイブルさんの工房で、アイルの剣とソフィちゃんの杖を受け取った後、俺達はガガンさんの家へと空間移動で帰って来た。
「おとーさーん!持ってきたよぉー!!」
ソフィちゃんは杖を振り回しながらガガンさんの書斎の部屋に入り込んで駆け寄る。
「ちょ……ソフィ、あぶっ……!?近づけないから……机に置くんじゃ!」
「えへへへーごめぇんなさぁーい。早く早くぅ!!」
ソフィちゃんは杖を机に置いてガガンさんを急かす様に纏わりつく。
ふふ、子犬みたい……。
ガガンさんは杖を手に取り眺める。
「ほぉー。流石、ワシの弟子じゃ。良く出来とるのぉ!」
「でも最初は酷かったんだよ?骸骨のデザインとかで気持ち悪かったんだから。」
アイルも剣を机に置きながら愚痴をこぼす。
「あいつ、骸骨好きじゃからのぉ。店を譲った時に店の外観まで骸骨だらけにしようとしたんじゃが、流石にワシが止めたぐらいじゃ。『店の入り口を骸骨の口にしよう!!』とか言っとったし。」
店の入り口が髑髏の口ってベタなお化け屋敷じゃないんだから……。
「よし、晩御飯も近いし早速やるかのぉ。パンツ君も良く見ておくんじゃぞ?」
「は、はい。」
ガガンさんは左手にアイルの剣を持ち、その剣に右手を翳す。
すると魔導石を加工した時と同様に手が淡く金色に輝きだした。
……。
……………。
………………………。
「で、土魔法のどんな魔法が使えればええんじゃったっけ?」
「「「え?」」」
どうやらアイテムに魔法効果を発現させるには、使用したい魔法を予め決めておかないといけない様だ。
そう言えば、リーダー(仮)の残念白銀級のシェールの剣も魔力を流すと炎を纏っていたな。
「取りあえずアイルの剣に付与するが、どんな効果が欲しいんじゃ?」
「私は、山脈脈動がいい!」
山脈脈動か。
『太陽の風』の魔法使いのエチルさんがブラッドボアを討伐した時に使用した巨大な土壁を作り出す魔法だ。
「山脈脈動か。土魔法の第2位階の魔法じゃな。よし。では始めるぞい!」
ガガンさんは再びアイルの剣に手を翳すと剣を覆う様に光が包み込む。
そして20分程度、そうしているとガガンさんが突然、片膝をついて崩れ落ちた。
「「お父さん!!」」
「……ふぃー。カッカッカッカ……大丈夫じゃ。先ほども言った様に、魔法の属性付与をする場合にはかなりの集中力と魔力を消費するのでな。久々にすると堪えるわい。今回はまだ付与し易い魔法じゃったから良かったが……。
アイル……ほれ、これで使える筈じゃ。」
俺はまだガガンさんの手にある剣を鑑定してみる。
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※魔導石付剣
・攻撃効果+50
・山脈脈動属性付与
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おお!ちゃんと『山脈脈動』の一文がある!
……攻撃効果+50ってのは?
恐らく、装備すると攻撃力が付加されるって事かな?
ガガンさんは剣をアイルに手渡す。
「お父さん!ありがとう!!」
アイルはガガンさんに抱き着きハグをする。
羨ましい……。
と、言うか、もう一つの疑問が俺の頭を支配する。
属性付与するには光魔法が必要なのは分かったけど、今の様に光魔法ではない土魔法も付与出来るのは何でだ?
俺はその事をガガンさんに尋ねると……。
「だってワシ、土魔法も使えるし。」
だって。
ガガンさんは複属性魔法使いだったのか……。
属性付与するには、光魔法だけでいいのかと思っていたのだが、製造者になるには、光魔法と属性付与する他の魔法も使用出来る事が必要らしい。
しかも自分が扱える魔法しか付与する事が出来ないとの事。
つまり最低条件として、光魔法が使用出来て、且つ複数属性魔法使且つ、自分がマスターしている魔法でないといけないって事か……。
光魔法使いだけでも希少なのに、複数属性魔法使いとなると更に使い手が少ないだろう。
属性付与された武器防具、アイテムが高いのも納得だ。
「さて、ソフィの杖はパンツ君がやってみるんじゃ。」
「はい。……で、どうすればいいんですか?」
「これもイメージじゃよ。魔法効果を強くイメージして魔力をこめるんじゃ。しかしパンツ君の魔力は高すぎるから全力でせんようにな。恐らく魔導石が耐え切れずに割れてしまうかもしれんからのぉ。」
ん~。どれぐらい魔力を込めればいいのか検討もつかないな。
「ガガンさん、魔導石に魔力を込める際にその魔導石の限界が分かったりするもんですか?」
「そうじゃのぉ……魔導石に込められる魔力量を察せられるのは、魔導石と対話する事じゃ。」
「魔導石と対話?」
「そうじゃ。魔力を込め始めて限界が近くなると、耳鳴りの様な音が聞こえて来るんじゃ。キーンッとな。それ以上、魔力を込め続けると魔石、魔導石は限界を超えて割れてしまう。」
「耳鳴り……ですか。分かりました。やってみます。」
実際、やってみない事には感覚が掴めない。
俺はガガンさんがアイルの剣の時と同じ様に、ソフィちゃんの杖を手に取り、手を翳して魔力を込め………
………。
………………。
「……で、ソフィちゃんはどんな魔法が使いたいんだっけ?お姉ちゃんと同じ?」
「私はねぇ~!『泥沼魔法』!!」
「ほう。『泥沼魔法』か。山脈脈動と同じく、土魔法第2位階魔法。流石ソフィじゃな。ええ所に目を付けとるのぉ。」
「………それって、どーいった魔法なの?」
「えっとねぇ~、地面を泥沼にして相手の動きを封じる魔法なんだよぉお!!」
何か……こういっちゃなんだけど、随分、地味な魔法だな……。
「パンツ、今、地味な魔法と思ったでしょ。」
ギクッ!アイル……やっぱり俺の心が読めるのか!?
俺が邪な事を考えるたびに鉄拳を食らわせてくるし……!?
「どうやら図星みたいだね。でもそう思うのも仕方ないよ。実際、地味な魔法だし。」
何だ、心を読んだ訳じゃなかったんだな。
「何でその地味な魔法を付与したいんだ?」
「相手の動きを封じる魔法、これは魔法使いにとっては非常に有効な魔法なんだよ。」
「どう有効なんだ?」
「そんなの簡単よ。相手の動きを封じれるんだよ?その間に強力な魔法を叩き込める猶予が出来る。しかもこの魔導石付の杖なら詠唱なしで発動させられるからこれは凄い補助魔法になるよ!」
「そうそう!流石お姉ちゃん!!それだけじゃなくて、逃げる時にも時間稼ぎに使えるから有効なんだよぉ!」
成る程、そう言う事か。
キラーアントを一掃した時に使った魔法、『広範囲炎突風』も詠唱時間と集中力が必要で発動までに5分程度必要だったな。『泥沼魔法』で相手を動けなくし、戦うにしろ逃げるにしろ有効な魔法って事か。
ソフィちゃん、考えてるなぁ。
しかしイメージはどうすればいいんだろ?
泥沼って言うぐらいだから地面を泥状にして相手の足を止める魔法って事は分かるんだが……。
試しにぐちゃぐちゃのドロドロになる様に『底なし沼』をイメージして付与するか。
俺は底なし沼を強くイメージし始めると手の平が金色の光を帯び始めた。
後は、この杖の先にある魔道石に向けて魔力を込めるだけか……。
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