表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/116

第61話 工房


俺達は前日にアイルとソフィちゃんの剣と杖に魔導石を取り付ける為、加工依頼をしたゲイブルさんの工房へ移動する。


もう辺りはすっかり陽も落ちて暗くなっている。

工房の扉付近に明かりもなく、真っ暗だ。



「あらら、遅かったかな?」

「大丈夫。裏口に回ろう。」



アイルに連れられて裏口に回り込むとランタンの薄明りの中、まだゲイブルさんが仕事をしていた。

1人で残業していた様だ。働き者だな。

と言うか、ゲイブルさんを照らしているランタンの明かり……蝋燭かと思ったら魔石が光ってるのか。

どうなってるんだ?あれ?

そう思っていると、こちらに気付いたゲイブルさんが近づいてくる。



「おお、来たか!今日は来ないのかと思ってたぞ。」

「ゴメンね。ゲボォオ。お詫びじゃないけど、はい。これ、お父さんとお母さんからのお土産だよ。」



アイルはそう言うと、持って来ていた袋の中から瓶を一本取り出し、ゲイブルさんは満面の笑みでそれを受け取る。



「おいおい!いいのかぁ!こんな高い物貰っちまって!ありがたく頂いておくよ!」



それはプリンタイ帝国特産品の葡萄酒ワインだった。

いつのまにそんな物を持って来てたんだ……。



「さて、早速だがこれがお前達の得物だ。」



ゲイブルさんはそう言いながら、収納魔法ストレージマジックを使って手の平から魔導石が埋め込まれたアイルの剣と、ソフィちゃんの杖を取り出した。

既に完成していた様だ。



「…………え?え!?これ!?これが私の剣なの?」

「…………ゲボォオ!!これ私の杖ぇ?カッコいいー!!」

「アイルの剣は魔導石を嵌めこむ加工だけじゃなく、剣の刃も手入れしといてやったぞ。」

「う、うん。ありがとう……。でも、これ……。」



2人はゲボォオから加工された剣と杖をそれぞれ受け取ったが、アイルは絶句、ソフィちゃんは喜んでいる。

リアクションが対照的だな……。

それもその筈、二人の剣と杖……


アイルの剣は柄の部分に髑髏の意匠が施され、口の部分に魔導石がはめ込まれており、禍々しい雰囲気を醸し出している。

ソフィちゃんの杖にも同様に杖の握り手から上方が爬虫類?恐らくドラゴン?の骸骨の意匠となっており、やはり同様に魔導石を口に咥えている。

どちらの装備もまだ魔力も込めていない筈なのに既に装備すると呪いが掛かりそうな仕上げになっている。



「ちょ、ちょっと!ゲボォオ……カッコよくしてって言ったじゃない!!何これ!!」

「え?カッコいいだろ?髑髏の意匠だぜ?」

「イヤ、気持ち悪いよ!怖いよ!!装備したら呪われそうだよ!!」



アイルは抗議の声を上げる。

うーん。ゲイブルさん、俺の世界で言うなら中二病を拗らせている様だ。

シルバーアクセで骸骨とか中二病以外の何物でもない……。



「えー?お姉ちゃんの剣もカッコいいよぉ?私の杖もカッコいいでしょ?ゲボォオ!これドラゴンの頭でしょー?」

「そうだぜ!流石、ソフィ、分かってるなぁ!!レッドドラゴンの頭部をイメージして作ったんだぜ!4本の角がカッコいいだろぉ!」

「うん!!かっこぃいいい!!」



ソフィちゃんは気に入った様子でニコニコ顔だ。

まぁ人の骸骨のデザインよりかはまだドラゴンの骸骨の方がマシな気がする。



「ゲボォオ、これ気味が悪いからどうにかしてよぉ!!」

「えーそうかぁ?カッコよくしてくれって言うからその意匠にしたんだぞ?」

「だからカッコよくないって!!これならまだ可愛くしてもらった方が良かったよ!!」

「可愛く?じゃあ角兎ホーンラビットみたいな骸骨の方が良かったか?」

「って、骸骨から離れろ!もう!普通の柄に戻してよ!」

「えー?戻すのかぁ?折角カッコよく出来たのになぁ……。わーったよ。使い手には気持ち良く使って欲しいってのが俺の鍛冶士としてのモットーだからな。ちょっと待ってろ。」



そう言うと、ゲイブルさんは工房に消えて行った。



「ったく。何なのよあれ。気持ち悪い。パンツもそう思うでしょ?」

「え?あ、あぁあ、そうだな‥…。」

「ええー?カッコ良かったよぉ?」



ソフィちゃん的には有りだった様だ。

俺もこちらの世界に来てから中2病が再発しているので、少しカッコイイと思ったけど黙っていよう……。

これ以上、話を拗らせたくないし。

俺達が雑談していると工房の奥からカンカンと音が響き渡る。

ゲイブルさんがアイルの剣を加工しなおしているのだろう。

そして30分程するとゲイブルさんが現れた。



「ほら、これでいいか?」

「わー!!ゲボォオ!やれば出来るじゃん!!これよ!これぇー!」



渡された剣の柄はどこぞの宝剣かと言わんばかりの豪奢な意匠で、獣耳が柄の両脇に施されており、虎かライオンと思われる口元に魔導石がはめ込まれていた。

しかしゲイブルさんの鍛冶士のスキル凄いな。

芸術家としてもやっていけそうな程、精工な作りだ。

この剣と杖、それなりの値段になりそうな気がする。

しかも魔導石付だ。



「ゲボォオ、代金はいくら?」

「イイって事よ。お前達、ルク・スエルで働くんだろ?代金はいらねぇぜ。俺からの餞別だ。大事に使ってくれよ!」

「「うん!!ありがとうー!!やったぁあぁあ!」」



アイルとソフィちゃんはぴょんぴょん飛びは跳ねて喜んでいる。

アイルは素振りをし、ソフィちゃんは杖をグルグル振り回している。

俺はゲイブルさんの傍らで光っているランタンの中の魔石について尋ねる。



「ゲイブルさん。この光る石って、もしかして魔石ですか?」

「ん?あぁ。そうだ。魔石に光魔法の照輝シャインが込められているんだ。」

「ほぉー。これって売ってるんですか?」

「あぁ。魔石屋で売ってるぞ。少々値は張るが、石が割れない限りはほぼ半永久的に使えるしお得だぞ?魔力を流すだけで点灯するしな。って今更かよ。家庭に一台は必ずあるし、師匠ガガンの家にも部屋ごとに設置されてるだろ?」

「え?そうでしたっけ!?気付かなかった……。」



魔力を込めるだけで点灯し、消灯する時も同様に魔力を込めるらしい。

簡単に言えばOnとoffって感じか。

ガガンさんの家も夜になれば明かりが灯っていたが、てっきり蝋燭かガス灯みたいなもんだと思っていた。

しかも中身が見えない様に間接照明みたいになってたしな……。

普通におしゃれだなぁとは思っていた。

俺も買っておこうかな。


しかし明かりとは言っても、薄暗い。

ほんと間接照明ぐらいの明るさで、落ち着く感じではあるけど、ゲイブルさんみたいに仕事で使用するには暗すぎなのでは?と思う。

これはまだ改良する余地がありそうな商品だな。

光魔法使いのガガンさんに帰ってから聞いてみよう。

するとアイルが俺にアイコンタクトを送って来る。

そろそろ、おいとましようって事か?



「ヨシ!じゃ、帰ろうか!またね!ゲボォオ!!」

「もう帰るのかよ!!」

「だって今日、お父さんに属性付与して貰わないと行けないんだもん!それにゲボォオも忙しそうだしね。」



1人で残業中だったもんな。

仕事の邪魔をしては悪いと思ったのだろう。

アイルさん。案外、気が利くな。



「じゃぁおやっさんに宜しく言っておいてくれ!忙しいだろうけど偶には弟子の様子も見に来いってな!」



俺達はゲイブルさんと簡単に挨拶をすると、ガガン家へと空間移動ワープする。


※ブクマ登録して頂いてありがとうございます!

今後とも誤字、脱字報告・評価・ブクマ等して下さるととても嬉しいです!

感想など頂ければ作品の方向性の参考にもなりますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ