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第108話 救出2


マナが手を翳して魔力を込め始めると直ぐにピンクモヒカンスケルトンが反応した。



「………!?え!?ちょま!!この魔力の感じ!?まさか!そんな事って!?ま、まさか………ちょ……あなた……神獣マーナガルムぅ………様?」

「何じゃ骨。骨の分際で我の事を知っておるのか?骨。」

「!?やぁあっぱりぃぃいい間違いなかったぁぁあ!!」



マナがピンクモヒカンスケルトンの問いに肯定の言葉を返すと、先ほどまでの不遜な態度を改め、ささっとマナの前まで移動し、片膝立ちになり頭を垂れる。



「マーナガルム様……俺はその昔、一度あなたに命を助けて頂いた事があるですぅぅううぅう!!!!」

「………?我は貴様の様な骨を助けた覚えはないぞ?骨。」

「………助けて頂いたその時は、俺はまだこの姿ではなく生きていたので……。」

「話が見えんのぉ。」



ピンクモヒカンスケルトンは興奮気味だが、話を聞くと、生前、このピンクモヒカンスケルトンは、ヴュルンデン・ヘルム・チェスター王国と言う国に仕えていた筆頭宮廷魔導士だったとの事。

そこで王へ献上する為の魔法具を製作する為、必要となる材料採取の命を受け森へ入ったらしい。

しかし迂闊にもその周辺を縄張りとしていたドラゴンの襲撃を受け、率いていた精鋭部隊50人があっと言う間に全滅し、最後の一人となりもう諦めかけたその時、颯爽と現れドラゴンを倒したのが神獣マーナガルム……今のマナが助けたらしい。



「そんな事があったかのぉ??ドラゴンの肉は美味いので適当に狩ってはいたかも知れんが………そんな事を言っていたらドラゴン食いたくなってきたのぉ。」

「ドラゴンと対峙し諦め掛けた時に、あなた様の白銀に光り輝くお姿に目を……いえ、心をマルっとギュギュッとガシっと奪われたのですぅぅうううう!!!そして助けて頂いた際にお声をかけて頂いたお言葉は今でも一語一句忘れはしません!!」

「我、その時に何か言ったのか?」

「はい。ドラゴンと対峙して俺の方に振り替えると……『何じゃ。こんな山奥に人族が入り込んでおるとはな……。こ奴は我の獲物じゃ。今の内に消えるがよい。食われる前にな。(キリッ)』と気遣って頂いたのですうぅう!!!」


「マナ。そんな事言ったの?(伝話)」

「ん?……正直覚えておらぬのじゃ。じゃが、腹が減っておった様じゃし、獲物を横取りされると思って早く消えろと言う意味合いで序におまえも食うぞと言ったかもしれんのぉ(伝話)」



やはりマナは意図して助けた訳じゃないらしい……。

しかもマナが行った最後の言葉「食われる前にな。(キリッ)」の箇所でお互いの認識に齟齬がある様だ。


ピンクモヒカンスケルトンは、『ドラゴン』に食われる前に……と解釈し、

マナは、『自分』に食われる前に……と言う意味合いで警告をした……。

基本、マナの考え方は、邪魔者は殺すか食うかの二択だしな。どちらにしろ死ぬんだけど(笑)

しかもピンクモヒカンスケルトンの中でかなり美化されてしまっている……。

マナを見る目がキラキラしている。

目は無いんだけど両手を組んで憧れのアイドルを目の前にしたファンの様な感じだ。



「それからと言うもの、俺はあなたに再び会えるその時まで、神・悪魔・天闢てんびょう・魔獣の研究に明け暮れ、魔獣達の為の楽園を作る事を目標として魔獣研究家として生態観察を重ね続けたのですぅぅうう!!魔獣Loveなんですぅぅう!!特にお命を救って頂いたマーナガルム様超Love、愛Loveなんですぅぅううう!!」



うーん。これはまた新たな変態さんが出てきたな。

魔獣研究家て……これはムツゴ〇ウさんを彷彿とさせるあれか。

しかし、マナの口ぶりだと、腹が減って近場にいたドラゴンを狩った時、たまたまそこでドラゴンに襲われていた生前のピンクモヒカンスケルトンがいたって事だな。しかもマナには助けた覚えが全くない。

その会話を聞いていたカロリーさんが呆けた様に呟く。



「………あんた……ヴェルンデン・ヘルム・チェスター王国に仕えていたって事は、少なくとも今から千年以上前に生きていた………って事?」

「……………今はあの王国が滅んで千年以上経っているんだ……。道理で俺も骨に成る筈だよねぇ……。」



ピンクモヒカンスケルトンは、遠い目をした様にしみじみとそう呟いた。目は無いけど。



「マナ。なんであのスケルトンは攻撃しようとした時に、直ぐにマナが神獣である事を見抜いたんだ?」

「ん?恐らくそれはあの骨が我の魔力の質を覚えておったのじゃろう。ある程度の力がないと出来る事ではないのじゃがの。」

「すぅぅうううぉおおおおお(そう)!!!さっすがぁ!!マーナガルム様ぁぁぁ!!ドラゴンから助けて頂いた時に感じた高貴なる『魔紋』は私の身体の隅々にまで沁み込み、忘れたくても忘れる事が出来ない程に、ま!さ!にぃ!!この骨の髄まで染みついてますからぁぁっぁああ!!!」



そう言うとピンクモヒカンスケルトンは腕まくりをして骨を見せびらかす。

あ、ふーん。

やっぱり変態さんだわ。



「マーナガルム様ぁぁ!!」

「何じゃ?骨。」

「ここで出会ったのも何かの縁!いや!!1000年の時を経て出会えた事はもう運命に他なりません!!私をあなたの下僕しもべにして頂けないでしょうかぁぁぁぁあ!?」



突然、何を言ってるんだこの骨は。



「我はもうマーナガルムではない。今は『マナ』と名乗っておる。」

「マナ……様………マナ様……マナ様ぁ!!素晴らしい響きです!!」



ピンクモヒカンスケルトンはその名を反芻し胸に刻み込む様に数度その名を口にする。



「それはそうじゃ。我の主が与えた名であるからの。」

「………え?失礼ながら、マーナガル……マナ様に名を……?そんな事を出来る者がこの世にいる筈が………。」



神獣であるマーナガルムが使役(名を与えられる)されている事にピンクモヒカンスケルトンは困惑してるが、そんな事より、マナはこのスケルトンを仲間にするつもりなのか?



「マナ。このスケルトンを下僕にするおつもり?」

「よい手駒ではないか。我程ではないにしろ、中々の力を持っておる様じゃしの。こ奴程度でも現存する国を亡ぼせる程度の力はある様じゃし群れとして入れてやろうではないか。よいパシリになるぞ。」



………マナさん。狼の習性が全面に出すぎです。

それにもう国を滅ぼす様な力はこれ以上いらないのです……。



「それに見た所、このスライムダンジョンのスライムも使役しておる様じゃしの。そうであろう?骨。」

「このスライムダンジョンは俺が従えている魔獣です!!なのでお好きにお使い頂いて結構ですぅぅう!!まぁまだまだ子供ですが……。」



このスライムダンジョン自体を使役しているのか……。

まぁ、元はスライムらしいからテイム的な事も可能ではあるのだろう。

しかし骨が仲間になるって漫画やらラノベでは御馴染みではあるのだが……実際、仲間にするとなると……多少、骨になれたとは言え、気味悪いな……

俺が少し困惑顔で思案していると、マナが俺の足元に近づき俺の顔を見上げてきた。



「のぉ、主ぃ……。よいであろう?(ウルウル)」

「グッッフ!」



南無の作法を教えた時にも思ったが……!

幼女姿の潤んだ瞳の破壊力たるや……!?虫も殺せませんみたいな顔で俺を見上げるんじゃない!

一瞬で国を丸ごと滅ぼせる癖にぃ!!

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