第107話 救出1
「あり?そう言えば、あのオカマどこ行った?いねぇな。」
「………あ。」
…………。
すっかりプリンちゃんの存在を忘れてた。(笑)
「そう言えばプリンちゃん………。マナに殴られてふっ飛んで行ってそのままでしたね。」
すると顎に手をやり暫く考えこむカロリーさん。
………
………………
………………………………
「…………………ま、いっか!」
いいんだ。
「って、良くないでしょ!!」
「あ、やっぱりダメ?明日にしない?もう遅いし。」
「自分であの骨はヤバいって話したばかりじゃないですか……。」
「でももお真夜中だよぉー?飯だって食べてな………。」
「「……………………………………。」」
「ハハッ!冗談だよ冗談!それに食糧とか水とかあいつの袋に入れっぱなしだし。チッ!めんどくせぇなぁ。」
プリンちゃんのケツ付近にバイクのサイドバッグの様な収納袋が二つぶら下げられていた。
あれに食糧も入ってたのか。
しかし、カロリーさん………ホントに冗談だったのか?
俺と無言で目が合った長い“間”が怪しいんだが……。俺が言わなきゃ本当にほっとこうとしてただろ……。
しかしマナに高速頬ズリをした効果なのか、ピンクモヒカンスケルトンの力に蒼褪めていたカロリーさんは、すっかり普段の調子を取り戻した様だ。
「パンツ君とマナちゃんがいれば、あのスケルトンも倒せるかもしれないしな!」
「おい。“かも”ではない。主が戦うまでもなく、我だけで一瞬で終わらせてくれるわ。」
「アハハハ!ごめんごめん!マナちゃんだけで十分だよねー!!それにしてもまたこのダンジョンを初めから探索しないと行けないなぁー。」
「何じゃ。あのライオンの所に行きたいのか?それであれば我の空間移動で直ぐじゃぞ。」
「え!!ホント!!!マナちゃんが魔法使ってくれるの!?嬉しい!今すぐ行こう!!ほらパンツ君!!はよはよ!!」
はよはよじゃないよ……。
さっきまでめんどくさがってた癖に……。
「カロリーさん。明日にスルンジャナカッタンデスカー?(棒)」
「何を言ってるんだい!?マナちゃんが空間移動を使ってくれるんだよ?滅多にと言うか、生きてる間に空間移動で移動なんてそうそう出来る事なんてないんだよ!?それもマナちゃんの魔法に包まれて移動出来るなんて……最高じゃないか!!」
「空間移動で移動できる事なんてないって……さっきのスケルトンにスライムダンジョンの入り口まで移動して貰ったじゃないですか。」
「…………パンツ君、分かってないねぇ……。あのねー、マナちゃんの魔力、魔法で移動出来るんだよ!?マナちゃんの魔力を全身に塗れて……身体中に浴びて……もう……もうぉぉおおお!!!!タマランチ会長じゃないかぁぁああ!!!ハァハァハァ(*´Д`)」
おい、タマランチ会長は俺の。
カロリーさんは涎を垂らしながら、両手をワキワキしながら今にもマナに襲いかからんばかりの態勢だ。
ここ最近、プリンちゃんばかりが目立ってけど、この人も負けず劣らず幼子大好きロリコン変態さんだったわ。
俺の周りマジモンの変態ばっかだな。
もしかして真面な人間て俺だけじゃね?
急にやる気になったカロリーさんに促されて、マナの空間移動でピンクモヒカンスケルトンに飛ばされる前の場所に再び移動した。
移動前後、カロリーさんが恍惚状態だった事は言うまでもない。
飛ばされる前と同じ場所に空間移動すると、モヒカンスケルトンは完全に安心しきって箒を持って部屋の掃除中だった。
頭巾に腰エプロンを装備し、鼻歌付で部屋の掃除をしている。
「ふふふーん♪ふふふんふん♪んもぉ~……私が強化魔法を掛けてた扉をぶち破ってくるなんてあいつら何者だったのぉ?まぁ今更どうでもいいか!おっそうじおっそうじ♪」
独り言を言いながらこちらに気づかず掃除に夢中なピンクモヒカンスケルトン。
その掃除をしている後ろ姿を見つめる3人。
すると突然、カロリーが瞬時に二刀を抜き放ち、ピンクモヒカンスケルトンに斬り掛かった。
ガキンッ!!
「チッ!!」
「………魔法使い相手なら近接戦闘で有利だと思ったぁ?あんたら……何者?只の冒険者じゃないよねぇ?」
斬りかかったカロリーの刀を箒だけでそのピンクモヒカンスケルトンは防いでいた。
カロリーは素早くバックステップで距離を取る。
おいおい……箒でカロリーさんの攻撃を防ぐとかマジであの骨、マナの言う通り、ただの骨じゃなさそうだ……ってそれよりも!
「……不意打ちでも軽くいなされるとはね……はは、こりゃまずいな。」
「ちょちょtyとちちょっと!カロリーさぁぁあん!!!何いきなり斬りかかってるんですかぁ!?」
「いやぁ隙だらけだったんでつい……。」
「つい……って、そんな事したら相手を怒らせるだけじゃなぁぁぁぁぁああいいいん!!」
いきなり斬りかかり、こちらの存在を露見させてしまったカロリーさんに俺は抗議の声を上げる。
いつの間にかまたプリンちゃんみたいな口調になってしまった。
俺、いつの間にか毒されている気がするな……。
「あんた達…………ヴュルンデン・ヘルム・チェスター王国の辺りまで飛ばした筈なのに………何でもうここにいるの?まさか……空間移動を使える系?」
「ヴぇるでぃ……?へ?チェー王国?………何の事です?」
この世界に疎い俺はカロリーさんに尋ねる。
「ヴュルンデン・ヘルム・チェスター王国!?そんな……!!」
「カロリーさん、知ってるんですか?」
「………大昔に『ヴュルンデン・ヘルム・チェスター』って言う王国があったんだ。でも……それって今から1000年以上前の話でとっくに滅んだと言われている伝説上の王国だぞ!」
「え!?あらぁー!あの王国、滅んじゃったの!?アーハハハッ!ざまぁ見ろ!!オぉホホホホホホ(汚)そう言えば、復活した辺り一面、草原になってたなってた!!オホホホホホホ(汚)!!イェイ!イェイ!イエェーイ!!(笑)」
ピンクモヒカンスケルトンは、1,000年以上前に存在した王国が滅びた事を聞いて愉快そうに笑いながらガッツポーズを繰り返す。
何が何だがさっぱりだな。
「ん?あぁ、そう言えば、我にちょっかいを出して来て滅ぼした国がそんな国名だったのぉ。」
「「「え!!!」」」
マナが過去、滅ぼしたと国があったと言っていたが、まさかここで具体的な国名がここで出て来るとは……。
しかも何故か、ピンクモヒカンスケルトンも俺達と同様に驚いている。
「………………またまたぁ。面白れぇ事を言うお嬢ちゃんねぇ!この可愛らしいお嬢さんが国を滅ぼしたとか何を言ってやがるんですかい?てやんでぇい!!」
何故いきなり江戸前口調?
「何?我が嘘を付いているとでも言うのか?骨の分際で生意気な。主よ。この骨、今すぐナムしてよいか?」
ナムするも何も、既に骨だしとっくに南無されちゃってる感じではあるんだけど……。
この幼女が『神獣マーナガルムで』ある事を知らないピンクモヒカンスケルトンは、腕組みをして呆れている。
するとマナがピンクモヒカンスケルトンに手を翳し、魔力を込め始めると、ピンクモヒカンスケルトンが即座に反応した。
「………!?え!?ちょま!!この魔力の感じ!?まさか!そんな事って!?ま、まさか………ちょ……あなた……神獣マーナガルムぅ………様?」
「何じゃ骨。骨の分際で我の事を知っておるのか?骨。」
「!?やぁあっぱりぃぃいい間違いなかったぁぁあ!!」
何だ骨。うるさいぞ。




