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第106話 使用上の注意


マナから空間移動ワープの魔法についての講義を聞き終えると、コンコーディア様から授けられた力の規格外さに改めて驚いてしまう。

確か、『私の力を分け与えた』とか言っていたし……この力のお陰でこの世界で生き延びられている訳だし、感謝しないとな……。



「コンコーディア様、感謝感激ぃぃい!ヒデキ!感激ぃぃいい!!!」

「主よ、一人でクネクネして何をしとるんじゃ。」

「え?」



俺が一人で身をくねらせてアラフォー臭いフレーズを夜空に向けて叫びながらサムズアップしていると、

カロリーさんの膝元でまだ高速頬ズリされながら、俺を冷めた目で咎めるお言葉がマナから発せられる。



「しかしあの骨………中々の術者の様じゃな。」

「え?マナはそんな事まで分かるのか?」

「そもそも主と我を同時にこのダンジョンの入り口まで移動させたのじゃぞ?恐らくあの骨はここよりもっと遠方をイメージして空間移動ワープを発動させたのだろうが、我らの魔力が大きすぎた為にダンジョン入り口までしか移動させる事が出来なかったのじゃが………それだけでもかなり魔法に長けた骨じゃと言う事が分かる。ナムしてしゃぶってやろうかのぉ。良い出汁がでそうじゃ。ムフフフ……。」



そう言いながら舌なめずりするマナさん。

あれ食うの?

そう言えば、幼少期に母方の実家へ帰省した際、そこで飼っていた猟犬がいたのだが、手土産に持って行ったケンタッ〇ーの骨を与えたら、ボリボリ噛み砕いて食ってたな……。

子供ながらに大丈夫なのか心配だったものだが……。

俺の心配をよそに、もっと寄越せと言わんばかりに纏わりついて来やがって必死に逃げまわった記憶が……。


それはさて置き、あのピンクモヒカンスケルトン、魔力∞の俺と神獣と言われているマナを同時に空間移動ワープさせるなんて芸当は、マナが言う通り並みの魔法使マジックキャスターいではないのだろう。

まさか……マナより強い……とか?

ステータス確認すれば良かったな。



「あの骨……もしかしてマナより強かったり……する?」

「…………は?」



俺はただ興味本位で聞いたのだが、それが気にいらなかったのかマナは眉間に皺を寄せ不機嫌そうにギロリと睨み返してくる。



「我があの様な骨ごときに遅れをとると………そう主は思っておるのか?」

「あ………いや、アノソノアノ……ただの骨じゃないってマナが言ったから……」

「ふん!!我に掛かれば、あんな骨など一瞬でそれこそ骨も残さす消し炭にしてくれるわ!!証拠としてこのスライムダンジョン毎消してやろうか!!!」



そう言うやいなや、スライムダンジョンに手を翳し、掌に魔力を込め始めるマナさん。



「ちょちょちょちょtまててえtttと待って待って!!!」

「む?何じゃ主。我の力を疑っておるのだろう?今から証明してやる。」

「ゴメンゴメンゴメンさない!疑って無いから!だから直ぐに消そうとしないでぇ!!」

「邪魔者はすぐに消すなり食うのが一番じゃ。」

「消しちゃうと、あの骨から行方不明のグリフォンの情報聞き出せないだろー?それにそんなおこりんぼで眉間に皺の寄ったマナちゃんは可愛くないぞー?ね?」

「………我を、か、か、かか、可愛いなど………な、ナニヲ、トツゼン……イイダスノジャ……!?////」



そう言うと、顔を赤らめて両手で顔を覆い悶え始めた。

チョロいな。

そう言えばこの魔法(空間移動ワープ)で気になっていた事が……。



「マナ。もし、移動先が以前行った状態から変化していた場合はどうなる?」

「……ん……ゴホン!さ、流石、主じゃな。この魔法にも欠点があっての。以前と違う地形や環境になったとしても、そこに移動してしまうのじゃ。」



恥ずかしさで悶えていたマナは、一つ咳払いをすると空間移動ワープについて話し始める。



「と言うことは?」

「うむ。主殿が懸念しておる通りの結果になるの。我も昔は、移動した先で山に埋まったり、沼に落ちて泥まみれになったり魔獣の腹の中に移動してしまったり面白かったのじゃ!」

「魔獣の腹の中って……全然面白くない……!!!」



移動した場所の地形が変化していたら………例えば以前は平野だったのにそこに家屋が出来て風呂場に移動したりして「いや~ん!のび○さんのエッツー!!」な~んて事にもなりかねない。二へへへ……。

まだそれだけならいい。

もしそこがピンポイントで構造物や生物だったりしたら移動した先で建築物や生物と一体化しちゃったりなんかしちゃったりして……。


それに人が住めない環境、気候変動で火山や海なんぞになってたら……こわっ!

今まで気軽に使っていたが、使用法には注意した方がいいかもしれない……。

今まで以上に慎重に使用しないといけないな……。


俺が空間移動ワープの危険性について考えていると、カロリーさんがマナの頭を愛でている。

マナ、最初は嫌がっていたが、慣れてきたのか?満更でもなさそうな感じだな。

カロリーさんも子供好きなだけあって、扱いが慣れているのだろうか。



空間移動ワープまで使えるなんて流石神獣マナちゃんだね!!!」

「ふん。何を言っておる、我らクラスであれば空間移動ワープなど使えて当然じゃ。そこの主も使っ……モゴゴゴgっ!?」



膝元においていたカロリーさんからマナを素早く奪い取り、咄嗟に口を塞ぐ。



「マナ!!何で俺が空間移動ワープを使える事を知ってる!?(小声)!」

「何でも何も、我との戦いで使っておったではないか。我の攻撃を瞬時に空間移動ワープで躱し我の脳天に一撃を加えたであろう?」

「……………バレてた?」

「当然じゃ。」



そう言つつまた頭を摩るマナ。

これからずーっと頭を殴りつけた事をイジられそうだな……。



「しかも魔法の詠唱なしで行使したであろう?一瞬何が起こったのか分らなかったのじゃ。」

「あー………やっぱり魔法には詠唱が必要なのか?」

「他種族と比較すれば、我も詠唱は簡略化しておるが………流石に無詠唱はな……。」



ムムム………。と言う事は、無詠唱の魔法行使は人前ではしない方がいい……か。

適当な言葉を発して魔法を使った方がいいか?詠唱とか全く知らないのだが……。



「それよりも何故、我の口を塞いだのだ?」

「カロリーさんにはこれ以上、俺の力を知られたくないんだよ。」

「何故?」

「これ以上、俺の力がバレると面倒な事になるんだよ。だから俺の力は口外しないでくれるか?」

「何が面倒になるのか分からぬが、人の社会性もよく分らぬの。先ほども言ったが、障害となる者はさっさと殺すか食って力でねじ伏せればよいではないか。」

「それは最後の手段だから。頼むよマナ。」

「むぅ……主に頼まれては仕方が……。とは言え、我(神獣)を素手で殴りつけて倒した癖に、今更力を隠すも何もない気もするがのぉ。」

「ぐぬぬぬ……。」

「それに今後、我の口を塞ぐのであれば、そうじゃのぉ……主の唇で……塞いで欲しいのじゃ……///」



全く。この幼女神獣は赤面しながら何てリクエストをするんだ。

幼女にそんな事出来る訳ないだろ。

俺はロリコンじゃないんだぞ。無い筈………。

…………いやいや無いですよマジで。



「マナちゃーん。パンツ君がどうしたの?」

「いやぁ、俺も空間移動ワープを使えればいいのになーって言ってたんですよ!そんなの無理なのにーもーホントに困った子だなーマナはーアハハハハー(棒)」

「はっははは!そりゃ確かに無理だ!!いくらパンツ君が全属性の魔法を使えると言っても流石に第6位階魔法はねぇ!アハハハハ!!」



…………どうやらバレずにすんだ……な。

マナは頬を膨らませて憮然な表情をしているが……。

するとカロリーさんが突然、キョロキョロと首を回し周囲を確認し始めた。



「あり?そう言えば、あのオカマどこ行った?いねぇな。」

「え?」


……………

……………………

あらま!プリンちゃんだけあの場所に置いてけぼりじゃなああぁぁぁぁぁあい!?(笑)

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