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第105話 神と悪魔と……


「…………外に出されちゃいましたね。」



俺はへたり込みうつむいているカロリーさんへ声をかける。

ピンクモヒカンスケルトンに空間移動ワープを使用された俺達は、スライムダンジョン入り口まで戻されてしまっていた。

するとカロリーさんはガバッと顔を上げ立ち上がったかと思うと俺の両肩を掴む。



「パンツ君……空間移動ワープだぞ!空間移動ワープ!!第6位階魔法で今では扱う者もほぼいないとされる魔法なんだぞ!!!」

「はぁ……。」

「はぁって……何でそんなに落ち着いてられるんだ!?」



………

……………

だって空間移動ワープは俺も使えるしな。

それにメリッサ村にいた時には、買い物の為だけにルク・スエルまでの足に使われたし……。

カロリーさんのリアクションが普通なのか?

と言う事は、おとぼけリアクションをしておいた方がいいかもしれない……。



「…………アー……えーットー……ソウナンデスカァァー(棒)」


………

………………


「主よ。何か驚き方がわざとらしいと言うか下手くそと言うか滑稽と言うかまぬけと言うかしょうもないと言うか……」

「マナ。そこまでディスらなくても良くない?俺、一応、君の主って設定だったよね?」



俺は一応、大袈裟なリアクションをして驚いたフリをしてみたのだが、マナにはそれが酷く滑稽に見えた様で呆れられてしまった。

ふむ……。今後演技にも磨きを掛けなければいけないな。俺の力をこれ以上、知られるわけにイカナイノダー(棒)

俺たちのやりとりを見ながらも、明らかに狼狽している様子のカロリーさんは更に続ける。



「まさかあれほどの魔法を行使出来る魔物がいるなんて……これは非常いマズイ!」

「何がマズイんですか?」



普段、飄々然としているカロリーだが、今は蒼褪めた表情だ。

己の力が及ばない相手だと一瞬で悟ったのだろう。

パンツの危機感のない暢気な言葉に、カロリーはキッと睨みを返す。



「パンツ君……。あれ(ピンクモヒカンスケルトン)の力が分からないのか?第6位階の魔法だぞ?今では使用者は王国……いや、私の知る限りの情報網でも周辺国家の魔法使マジックキャスターいでも使える者は限られる……。」

「あ、何だ。他にも使える人いるんですね。」



何だ。他にも使える人いるんじゃん。

しかも王国だけじゃなく、周辺国家にもいるらしい。結構いるんだな。

ならそこまで出し惜しみする必要もないかな?



「………パンツ君!!!君は全然分かっていない!!第6位階の魔法と言えば、現在では最高峰の魔法位階だ!!噂では、神に愛された者や悪魔と命と引き換えに力を与えられた者や、天闢てんびょうと契約出来た者が使えると言われる魔法なんだぞ!?」

「はぁ……。ソウナンデスネ……。」



俺はカロリーさんに両肩を掴まれて諭される。

まぁ、神やら悪魔に愛されるとか魂と引き換えに力を手に入れるとかは俺が元いた地球でもよく迷信やら創作物の映画や小説、漫画などではドッッッ定番の設定だ。

神ねぇ……。そういえば、俺に力を与えてくれた女神様のコンコーディア様は、この世界には神なんていないとかなんとか言ってだけど……。


でも悪魔やら天使はいると言っていた。やはり神もいるのかな?

それに聞きなれない単語が出てきたな。

天闢てんびょう』?



「カロリーさん……知らないので教えて頂きたいのですが、『天闢てんびょう』とは何ですか?」



呆きれた表情で俺を見るカロリーさん。

しかし、直ぐに普段の表情に戻り話し出す。



「神と悪魔は分かるんだよね?」

「分かると言うか、見た事はないですが知識としては知っています。」

「『天闢てんびょう』っていうのはね、その『神』と『悪魔』に並ぶ連中さ。」

「『神』と『悪魔』に並ぶ連中?」

「そう。古くから伝わる御伽噺では、この世界は当初、『神』が絶対神であり、この世界の理を司っていた。しかしその中から神に対して反旗を翻した勢力が『悪魔』さ。



ふむ。そこまでは地球の神話でも良くある設定だな。

地球の悪魔と言えば、堕天使サタンやらルシファーとかそんな感じかな?


「その対立した連中が全ての生物を巻き込んで『蓋棺煉獄がいかんれんごく闘諍とうじょう』が勃発し世界を二分した戦争に明け暮れていたらしい。

このままではこの世界は勝者のいないどちらも滅ぶ危険性のある戦だったが、そこに突如としてその天闢てんびょうと言う勢力が現れ、『神』と『悪魔』を蹴散らして力の均衡を保ったと言われている。」

「そんな勢力がいるのですか……。」



この世界には、『神』、『悪魔』に並ぶ存在の『天闢てんびょう』と言う存在が信じられているらしい。

しかし………『蓋棺煉獄がいかんれんごく闘諍とうじょう』とか…………なんて中二病なネーミングなんだ……。

素敵♡



「ちなみにマナちゃん(神獣マーナガルム)も『天闢てんびょう』側の神獣だと言い伝えがあるんだ。」

「え?そうだったの!?」

「ん?もう我は『天闢てんびょう』ではない。主のつがいじゃ!!キャーっ///」



幼女が頬を染めて恥ずかしがっている。

カワイイ。

っと思ったのはカロリーさんも同様で顔がニンマリしていた。

しかし……



「マナって、本当に神様みたいな存在なのか?」

「そうじゃな。だがあやつら『神』や『悪魔』などと一緒にするでないぞ?主よ。奴等は生物の理を外れ、人心を欺き争いを生み出す事しかせぬ馬鹿者どもなのじゃ。」



随分と辛辣ですね……。



「神獣って『神』がついてるからてっきりそっち(『神』)かと思ってた。」

「む?そう言えばそうじゃな。気にした事もなかったのぉ……。フフフ。」

「そう言えば、マナは『神』や『悪魔』を認識する事は出来るのか?」

「無論じゃ。じゃが普通の生物には認識する事は困難であろうな……。普段、奴等は精神体アストラルボディでうろついておるからのぉ。じゃが同格である我やそれ以上の存在である主であれば問題なく見る事は出来る筈じゃ。」



見たくないなそんな連中……

お化けみたいに見えたら嫌だな……。



「それにあやつらは己の絶対の世界を構築しようと、あらゆる生物の心を惑わし操ろうとするのじゃ。そう言えば、我にちょっかいを出して来て滅ぼした人の国王も、ある『神』の一柱によって操られておったな。

そいつもろとも消してやったがの。フフフフ……楽しかったのぉ。」

「「マナさん・ちゃん………。」」



俺とカロリーさんは絶句する。

マナが滅ぼした国のバックに神が絡んでいたとはな……。

しかもその神も消しちゃったとか……マナさん怖いですよ。本気で怒らせない方がいいかも……。



「それに空間移動ワープなぞで驚いておったが、空間移動ワープなぞ我も使用できるし大して驚く事ではないであろう。」



その言葉にカロリーが激しく反応する。



「!?マナちゃん!?空間移動ワープを使えるの!?」

「何度も言わす出ない。」

「どこにでも行けるの!?」

「一度行った場所で無ければならぬな。その場所とその地点の魔素をイメージして魔法を発動する故な。」

「すんごぉぉおおおぉおおい!!!流石神獣マナちゃぁ~ん!!大好き!!!!」



そう言うとマナに抱き着きまた高速頬ズリを始める。

おっぱいに埋もれているマナさん。

裏山けしからん。

他に使用する術者がいなかったので分らなかったが、空間移動ワープの発動方法は、やはり行先場所をイメージするのか。



「しかし空間移動ワープは魔力消費が激しい魔法でな。距離や行先場所により魔力の消費は異なるのじゃ。近場であればそれほど魔力の消費はないが、遠ければ遠い程、魔力消費は激しいのじゃ。」



距離と魔力消費が比例するって事か。

マナが更に続ける。



「しかしこれを(空間移動ワープ)他者に対して使用する際にはまた異なって来るのじゃがの。」

「自分自身に使用する時と、今回みたいに他人に使う場合には、何か違いがあるのか?」

「ある。相手の魔力が高ければ高い程、移動させる距離は短くなるのじゃ。」



自ら使用する際の魔力消費量は「距離」と比例するが、相手に対して使用する場合には、その対象者の「魔力量」に比例する……みたいな感じか。

魔力量が高ければ移動させる事が出来る距離は短くなり、少なければ移動させる距離は長くなる。


相手の魔力高:移動距離短い

相手の魔力低:移動距離長い


しかし………俺の場合、魔力∞なうえ、イメージでの移動も可能だけど、マップで移動したい場所をポチっとするだけで行った場所じゃない所にも移動出来るんだよな……。

しかも今の所、移動する対象者の人数制限や魔力制限も感じない……。

ほんと我ながら桁違いのチートだぜ。

女神様ありがとうございます!


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