第104話 対話
「いいぃっっやあぁぁあぁぁああぁああぁああぁぁああ!!!」
まるでアニメの女性ヒロインが上げるお決まりの悲鳴をピンクモヒカンスケルトンが身体を守る様に腕を交差させてあげている……。
無駄にビブラート付きいい声で叫ぶんじゃねぇよ。
あのさぁ…………普通逆だろ逆。リアクションが逆。
こちらが悲鳴を上げて怯えないと行けない方だろ。全く、何なんだよ。
しかしこのままでは、俺たちが『荒くれ者冒険者ヒャッハー集団』ではない誤解を解かないと話を聞いて貰えそうにない……。
…………。
…………………。
いや、まぁ勝手に侵入して警備員のスケルトンやらピンポンツリーイミテーションを倒したのは事実ではあるので誤解ではないのだけれども……(笑)
取り合えず弁解しておこう。
「と、兎に角、我々は敵意が無ければあなたと争ったりするつもりはないですから……。」
「またぁ!!そうやって私を安心させて騙すつもりでしょぉ!!男はケダモノよぉ!!ヤダぁ!!ヤ!!いいぃっっやあぁぁあぁぁああぁああぁああぁぁああ!!!(2回目)」
おまえは乙女か。
「カロリーさん……これ……どうします?」
「ちゃちゃっと討伐しちゃえばいいじゃん?モンスターなんだし。」
「主よ。我がナム(倒す)するか?ん?ん?しゃぶりがいのある美味そうな骨じゃ。」
Oh……流石、歴戦の冒険者と神獣様
全く迷いがない。
マナに至っては、涎を垂らしている。今は幼女姿だけど、本来は犬……じゃなかった……狼らしいし、骨をガジガジしゃぶるのも納得だ。
しかし、ここまで意思の疎通が可能なら、行方不明のグリフォンの事を何か知ってそうだしなぁ。
「カロリーさん。一応、話を聞きませんか。行方不明のグリフォンが降りた付近ですし、目撃情報とか、何かしら知っているかもしれません。」
「ん~……ま、そうだね。じゃあ情報を引き出したてから討伐しようか。」
「……討伐するかどうかは話てみてから決めましょう?ね?」
「そうは言っても、あれだけの魔道具を身体中に装備してるスケルトンなんて普通に考えてヤバいぞ?」
「魔道具?」
「指輪とか首飾りに散りばめられているのは恐らく魔石だ。恐らく私とあのオカマ二人がかりでもきっと倒せな……………」
カロリーはパンツとマナを交互に見ると、深い溜息を漏らす。
「はぁ~………パンツ君とマナちゃんがいればそれはないか……。」
何だよ。2000年以上生きていて、過去に国を滅ぼした事もある神獣であるマナだけならまだしも、俺もその規格外扱いかよ………。
………まぁ、思い当たる節は有りまくるので反論はしないけども。
しかし、あのピンクモヒカンスケルトンが装備しているアクセサリーは全て宝石ではなく、魔石かもしれないとカロリーさんの見解だ。
王族でも魔法付与された魔石は、装飾品兼、護身する為の道具としても需要があるとギルドでも言っていた。
あれ全てが魔石となると、どういった魔法効果が付与されているか分からないな。
取り合えず、対話を試みよう……。
まだ一人で「いいぃっっやぁぁっぁぁああああああああ!!!(3回目)」と地面をもんどりうっているピンクモヒカンスケルトンに話しかける。
…………と言うかこいつ楽しんでないか?
俺はなるべく声を抑えて落ち着いた口調で話しかける。
「あのー……お話を聞いて貰えますか?」
「いいぃっっやぁぁっぁぁああああああああ!!!近寄らないディえぇええぇぇぇぇええぇぇ!!!けだものぉぉおおぉおぉおぉおぉお!!!!」
一歩たりとも近付いていないのですが……。
だがしかし……俺も夜に女性と二人っきりになれば……
「確かに………時と場合によっちゃぁ………フッ……俺も……獣には………なるがな……フッフフフ……。。」
「「いいぃっっやぁぁっぁぁああああああああ!!けだものぉぉおおぉおぉおぉおぉお!!!!」」
「何でカロリーさんも一緒に叫んでんだよ!!」
「いやぁ、おもしろそうだったんでつい。」
「ついじゃないでしょ全く。」
ったく。俺しかツッコミがいねぇじゃねぇか。
そもそもツッコミキャラが他にいない……。
マナは冷たい眼で俺たちのやりとり見てるだけだし……ヤバいぞこれ。俺がボケれなくなる。
そんな事よりも、今の一連の流れで少し落ち着いた(オチついた)様なので、話をするか。
ピンクモヒカンスケルトンも立ち上がり、ローブについた埃を払っている。
「我々はこの付近で行方不明となったオカマ……じゃなくてライオン………でもなくて、グリフォンを探していてですね、この周辺にグリフォンが降り立ったと言う目撃情報があったのでここにやって来たのです。」
「………グリ……フォン?」
「そうです。オカマグリフォンじゃなくて、普通のグリフォンです。」
「オカマグリフォンって何?」
「そこは聞き流してください。」
「………それで?そのグリフォンを見つけて………あんた達、どうするつもり?」
先ほどまで怯えて転げまわっていたとは思えない程、雰囲気が急激に変わる。
そして突然こちらを威嚇する様なオーラを放ち始めた。
「……あんた達も………魔獣を狩るつもりなんでしょ?」
「いえいえ、狩るのではなくて、探しているんです。」
「探し出して………どうするの……?狩るつもりでしょ!?」
「え?いえいえ、そんなつもりは全くな………」
「嘘よ……嘘を付くなぁぁぁぁあ!!あんた達冒険者は魔獣を狩るのが仕事でしょ!!冒険者なんてウソつきばかりぃぃぃい!!」
そう言うと、ピンクモヒカンスケルトンの周囲に赤黒いの魔力の渦が立ち昇る。
「チっ!!やべぇなこりゃぁ……」
「か、カロリーさん!ど、どどどどうそましょう!!??」
俺はいきなピンクモヒカンスケルトンの怒りを含む魔力を当てられ噛んでしまう。
どうやらいきなり地雷を踏んでしまった様だ。
「だからちゃっちゃと討伐しとけば良かったんだよ!」
「あんたら全員、ここから消してるううぅぅぅうううぅぅぅううううぅぅう!!!」
ピンクモヒカンスケルトンはそう叫ぶと、己の真上に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
何やら物凄い大魔法が発動されそうな予感がする!ヤバい!!
カロリーさんは二刀を抜き放ち交差させてこれから放たれるであろう攻撃を防御しようと身構える。
それに比べてマナはこの状況でも欠伸をしていて特に気にも留めていない。
何なのこの二人の両極端な様子は。
「消えちゃぇえぇぇええぇぇえぇぇえっぇぇぇ!!!!」
ピンクモヒカンスケルトンのビブラートが聞いたいい声で魔法を発動させると、俺たちのいる直下にも同様な魔法陣が突如として浮かび上がる。
ん?あれ?この魔法の感じは………。
シュン!!
………………
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「おおぅ!!お戻りになられましたか!!」
「ん。何も変わりないか?」
「は!!何も異常ありません!!しかしここはボア(猪の魔獣)が沢山いるらしく、いい狩場を見つけましたぞ!」
「ほうそうかそうか。それは良かったのぉ。」
一瞬、目の前が暗くなったと思ったら、次の瞬間、目の前にはスライムダンジョンの入り口で待機していた筈の狼さん達の姿が。
マナはこの事態を特に気にするでも取り乱すでもなく、普通に部下の副官狼さんと早速やり取りしている。
どうやらあのモヒカンスケルトンに“ふりだし“に戻るを使われたらしい。
俺たちがいる場所、ここはスライムダンジョンの入り口だ。
あの感じ……どこか似たような魔法だと感じたのだが、『空間移動』だったんだな。
消えちゃぇええ!!!何て言うから、てっきり攻撃魔法で消し炭にでもされるかと思ったんだけど、その言葉通り、己の目の前から消した訳か。
随分優しいスケルトンだな。




