第103話 何者?
ドドオォォオオオオッォォオオーン!!!
「ウッワワァァァァアアワワワァァ!!!」
スライムダンジョン内に突如として響き渡る轟音と悲鳴。
余計な一言でマナのパンチを食らったプリンちゃんが、マップに反応があった扉をぶち壊し、室内奥まで吹っ飛んで行き、その姿が見えなくなってしまった……。
…………
………………
どうなっているのかは大体想像がつくが……。
いつもの如く壁にめり込んでいるのだろう……。それよりも命があるかも怪しいが……大丈夫か?(笑)
殴りつけた当の本人はまだ殴り足りないのか肩をぐるぐる回して「さぁ~て………もいっちょいくかのぉ?」とか言ってる。
これは止めを刺すつもりだ……。
一応、止めといた方がいいか………
「ヒュー!さぁあっすがマナちゃん!!相変わらずいい殴りっぷりだぁねぇ~!!もう大好き!!!」
どこにも大好きになる要素はないのだが、俺がマナの追撃を制止しようとした所、それより早くカロリーさんがマナに抱き着き高速頬ズリを始める。
意図せずしてマナの動きを封じてくれた。
サンキュー。変態幼女大好き忍者。
しかし、プリンちゃんが吹っ飛んで行った室内から叫び声が上がっていたが……。
そりゃビックリするわ。
いきなりあんなデカいオカマ………じゃなくてライオンが室内に飛び込んできたら誰でもビビる。
もやもやとまだ土煙が舞っているが、徐々にそれも晴れて行く。
そしてこちらに背を向けて蹲りガタガタを震えていたのは…………
…………………
……………………………
「…………………スケルトンか。」
俺はポロっと零してしまう。
慣れって怖い。
このスライムダンジョンに入って早々に遭遇したスケルトンには腰を抜かす程驚いたのに、ここに辿り着くまでに戦った数回のスケルトン戦ですっかり慣れてしまった。※マナと毎回、魔石回収も兼ねて南無しつつ。
しかしこちらに背を向けてガタガタ震えているそのスケルトンは、今までのスケルトンとは聊か装いが異なっていた。
これまで戦って来たスケルトンは、鎧を身に纏い、剣と盾を装備するいたって普通?のスケルトンで意思を感じる事も出来ずただの操り人形の様だったのだが、今、目の前で蹲り、カタカタと震えているスケルトンは、武具などは装備しておらず、黒味がかった濃い赤色の臙脂色で所々、金色の紋様が彩られた豪奢なローブを身に纏っており、つるりとしている筈の頭蓋骨の頭頂部には、ピンク色のモヒカンと言う中々ファンキーないでたちをしている。
どう見ても普通のスケルトンではなさそうな雰囲気をプンプン匂わせていたのだ。
その蹲り震えている様子を静かに見守っていると、徐々にではあるが、恐々と後ろを振り返り始めるピンクモヒカンスケルトン。
こちらを確認して攻撃して来ない事を確認すると、弱々しく立ち上がりこちらに振り向いた。
その姿は、骨は完全な白ではなく、全体的に青味がかり、頭蓋骨の眼孔や口腔内はからピンク色の光りが溢れて出ている。
両手指の全てに派手な指輪をしており、宝石?魔石?が散りばめられている首飾り、手首にも同じく色鮮やかな宝石が複数はめ込まれているバングルのアクセサリーをしている。
「ちょ……チョットぉぉおー!!!!驚かせないでぇっ!!ビックリして死ぬかと思ったぁああ!!!」
そのピンクモヒカンスケルトンの一言目がそれだった。
と言うか、『死ぬかと思う』って、アンデットキャラのお約束ギャグなのか?
一応ツッコんどくか……。
「いやいや、あなたとっくに死んでるでしょ?」
「え?あそっかー!私そう言えば死んでたぁ!!めんごめんご!お兄さんナイスツッコミぃ!!!オォホぉホぉホホッ(汚)」
俺のツッコミに満足したのか、嬉しそうに汚い声で笑うピンクモヒカンスケルトン。
めんごめんごって、昭和か……。
何だろう。この感じ。俺と同じおっさんの感じがして親近感沸くな。
「カロリーさん……スケルトンって喋る個体も良くいるんですか?」
「……似たようなアンデッドの上位の魔物で自我を保っているのはいるにはいる。しかし『スケルトン』が喋るなんて遭遇した事ないから……ヤバそうな奴だな。」
冒険者歴の長いカロリー解説委員も知らないと言う。
と言う事は普通のスケルトンではなく、『ヤバそうな奴=上位の魔物』と言う事になる。
するとそのピンクモヒカンスケルトンが俺たちに語り掛けて来た。
「それよりも……あんた達ぃ!誰ぇえぇぇ!?ひとんちに勝手に入り込んでぇぇぇえ!!」
「ひとんち??……ここはあなたの家?なのでしょうか?」
「すぅぉぉぉお!(そう)どこからどう見ても私の御家でしょぉおお!!何で入って来れたのぉ!?ちゃんと鍵もしてたのにぃ!!」
「鍵?え?鍵なんてありましたっけ?」
「いや、無かったね。」
「何も無かったのぉ。」
俺はカロリーさんとマナを交互に見て物理的な鍵があったか確認するが、当然、行動を共にしていた二人も鍵など確認していない。
「ちゃんと隠蔽魔法で入り口隠してたのにぃぃ!!……あれ?してたっけ?あれ?してた筈?まだ復活したばかりで記憶が曖昧ぃ……。」
あ、なるほど。マナが気づいた隠蔽魔法が家の『鍵』扱いなんだ。
物理的に扉つけて鍵した方がいいのでは……。
とは言え、確かに鍵の役割は果たしていたのかもしれない。
マナが気づかなければこのスライムダンジョンも見逃す所だったし。
「それで不法侵入者たち!!何故ここに入り込んだのっ!?」
「まずは無断で立ち入った事を謝罪させて下さい。我々に敵意はありません。」
「敵意はないって……いきなり扉をぶち破って入って来た癖にぃ!!それに要所要所に警備員も配置してたのにぃ!!」
警備員?てあのスケルトンとかピンポンツリーイミテーション?の事……?だよね?
やべぇ……どちらも倒してしまったぞ……。
不法侵入はするわ、セキュリティシステム(警備員)は破壊するは、とんでもねぇな俺たち。傍から見たら完全にこちらが悪党の荒くれ者集団だ(笑)
ピンクモヒカンスケルトンは腕組みをしてホネホネ(ぷりぷり)怒っている。
でもそれは不可抗力なんですよ……プリンちゃんが余計な言動&行動をするからマナにワンパンされて吹っ飛ばされただけで……。
「あんた達…………この野蛮な行い……さては冒険者でしょ!!」
「そ、そうですけど。」
「んもももぉぉおお!!やっぱりぃぃい!!まだその野蛮な職業残ってるんだあ!!もぉヤ!!関わりたくない!ヤ!ヤダ!!」
このモヒカンスケルトンさん……冒険者を随分と嫌ってるみたいだな。
あの成り(スケルトン)だし、過去に何かあったのだろう。
こんな骨が出没するとなると普通に討伐対象になりそうだしな。
知らなかったとは言え、こちらが乱暴狼藉を働いたのは事実であるし……素直に謝っとくか……。
「いきなり扉を壊して驚かせてしまったのはすみません。不可抗力だったんです!スミマセン!!」
「不可抗力で私が第5位階の強化魔法を掛けていた扉をぶち破るとかあんた達何者よぉぉお!!もぉおぉヤ!!」
「何者と言われても、さっき言った通り冒険者です。」
「ヤだぁぁぁぁぁあ!!!乱暴される犯されるぅぅうう!!!助けてえぇぇええ!!!」
そう喚きがながらその場にしゃがみ込みまたガタガタと震えるピンクモヒカンスケルトンさん。
乱暴はまだしも、犯されるて……骨なのに……。
冒険者にどんなイメージを持ってるんだ……。
はてさて……どうしたものか……。




