第101話 お胸の思い
「カロリーさん。プリンちゃんが攻撃を防御してるって知ってましたね?」
「まぁね。パンツ君を揶揄ってみたんだよ(笑)ドキドキした?」
「あらぁぁん!!パンツちゃぁぁん!!私の事……心配してくれたのぉぉおおん!?うれCぃぃいい!!私のお婿にしてあげ………」
ドゴォォオッ!!!
食い気味に殴られ壁に埋まるプリンちゃん。
勿論、マナに殴られたのだ。プリンちゃんのHPがまた減ったな。
プリンちゃんが殴られた事を特に気にする風でもなく、カロリーさんが先ほどの魔獣について解説してくれる。
「あの『ピンポンツリーイミテーション』の攻撃方法は、幻想に騙されてフラフラ近寄って来た獲物をいきなり丸呑みにするか、自分より大きいか強敵なら弱らせてから捕食するのがパターンなんだ。
そして弱らせる手段が、さっきの『死の玉 (ボールオブデス)』なんだよ。」
「なんて物騒な攻撃名……。それにプリンちゃんの場合、フラフラ所か風の様に突っ込んでいきましたよね……。」
「あいつは例外。」
「ですよね。」
なんの躊躇もなく突っ込んでいく様は逆に清々しささえ感じた。(呆)
「それに『ピンポンツリーイミテーション』の繰り出すあの玉は対象物に当たると、返しがある棘状に変化して体内に食い込んだ後に爆発するモノなんだ。爆発しなかったからあいつが防御したって分かったのさ。前回遭遇した際にはまともに食らっちまって死にかけたけどね。(笑)」
話を聞くと何ともエグイ攻撃方法だ。
普通の人間が食らったら、一発でも当たれば間違いなく爆散して致命傷だろう……。
と言うか、あんな速射砲みたいな玉を食らった時点で爆発する前に身体を貫通して即死death……。
魔法や生活の事を知るのも大事だが、魔獣の生態についても知っておいた方がいいかもしれないな。
そうすれば、戦闘になった際の立ち回りも変わって来るし有利に運ぶ事が出来る。
「あそこまで躊躇いもなく突っ込んで行くのはあいつぐらいだろ。」
「う……うるさいわ……ねぇんぇ……ん。あんただって前回はやられたで……しょぉぉん?生意気言うんじゃないわよぉぉん!!!」
埋まっていた壁面から抜け出し這い出て来たプリンちゃん。
何発もマナの鉄拳を食らっているので、流石のプリンちゃんもフラフラと足元が覚束なくなっている……。
大丈夫か?このままじゃ味方に殺されかねないぞ(笑)
「以前、カロリーさんが騙された時は、何に見えてたんですか?」
「こいつの場合は、幼いボーイ&ガールに囲まれてたらしいわよぉぉおん。私の事、バカにできないわよぉねぇぇん。」
「うるせっ!!」
ボカっ!
カロリーさんが顔を真っ赤にしてプリンちゃんに結構な力で蹴りをいれるが、プリンちゃんは全く痛がるそぶりを見せない。
頑丈すぎだろ……。そのプリンちゃんを楽々殴り飛ばすマナは流石神獣様と言う他ないな。
カロリーさん、打撃でダメージを与えられないから“毛を毟る”という精神的攻撃をしていたのかな?
「プリンちゃん、良く防ぎきれましたね。至近距離からの攻撃だったにも関わらず……。」
「だぁあってぇん、こんな所にあの人がいる筈ないじゃなぁぁい?おかしかったもぉおん。だから“一応”、予防として風魔法で防御してたのぉんよぉん。」
「“一応”って、こんなダンジョンに一人でいる事自体おかしいのに、僅かな可能性を残している時点でおまえの方がおかしいだろ。」
「でも!もしかしたらって事もあるじゃぁなあぁぁいい!?私を心配してここまで追ってきてくれたかもし……」
「「「ねぇよ。」」」
プリンちゃん以外の3人がそう呟く。
普段クールなマナにまでツッコませるなんて……恐ろしい子。
にしても、プリンちゃん、凄いな。
いつも騒がしいだけのオカマライオンかと思っていたが、流石、元尖晶石級は伊達じゃない……。
カロリーさんが信頼しているのも頷ける戦闘力だ。
「パンツちゃぁぁん。これからも冒険者を続けるつもりならあいつ(ピンポンツリーイミテーション)には気を付けてねぇぇぇん?単独で戦う事になったらほんとヤバい相手だからぁぁん。
私みたいに体力が有り余ってるぐらいあれば1発攻撃を受けても大丈夫だけど、普通の冒険者なら1発で死亡してるわよぉぉおおん。ま!私と1発ヤっても体力が持たないと思うけどねぇんウフッ!」
「はい。気を付けます。」
プリンちゃんはそうアドバイスをしてくれる。
後半部の下ネタはスルーしておこう。
……パーティを組んでいれば、誰かが気づいてサポートする事が出来るが、一人で相対して幻想を見させられたら対処が難しそうだ。
「まぁ、パンツちゃんが幻想を見る相手は、きっと、わ・た・し!だと思うけどねぇぇん。ウフッ!」
そう言つつクネクネしながら俺にウィンクするオカマライオン。
もし幻想にプリンちゃんが出てきて迫って来たら………ゾゾゾゾ寒気が……。
「誰がおまえみたいなオカマライオンを幻想に見るんだよ。悪夢だろそれ。」
「んまぁぁぁ!!失礼しちゃうわねぇぇぇぇん!!!」
「パンツ君なら……そうだなぁ……。ルク・スエルの宿で一緒に居たあのおっぱいの大きいかった獣人のお嬢ちゃんかなぁ?そうだろ?このムッツリすけべ!!」
「ええぇん?私じゃないのぉぉおおん!?パンツちゃんと一緒に居たおっぱいの大きな女って………私の事務所に来た時、一緒に居たあんのクソ生意気な雌ガキねぇぇん!!あんなおっぱいしか取り柄のない女なんて忘れさせてあげるからあぁぁぁん!!さ!私とまぐわりまし………」
ボゴォォオオ!!!
またマナに殴られて壁面に叩きつけられるプリンちゃん。
プリンちゃん、ホント死んじゃうぞ?
俺、一言も発していないのに騒がしいなほんと……。
するとプリンちゃんを殴り飛ばしたマナの様子がちとおかしい。
拳をプルプルと握り締めてゆっくりと顔をこちらに向ける。
「主どの…………」
「はい?」
「そのおっぱいの大きな獣人とは何奴じゃ?」
「はい??」
「我と言う者がありながら……主どの!!おっぱいか!!おっぱいが大きいのが好きなのか!?」
そう言いながら俺を押し倒して跨り、胸倉を掴み高速でガクガク揺らすマナ。
「いや、女性は胸……だけじゃ……ない……から………ちょ………マ……ナ…さん……落ち着いて………!?」
「おのれぇぇぇぇ!!!今に見ておれよ!!主どの!!後、100年もすれば大きくなる筈なのじゃぁぁぁぁあ!!!」
「100年……て……だから……取り合えず……揺さぶるの……や……めて……。」
「ぬぬぬぬぬぅぅぅううう!!!」
「マナちゃん……パンツ君、白目剥いてるよ……。」
「……………。」
「………我がいながら浮気などするからじゃ。フンッ!」
「マナちゃん!大丈夫!!パンツ君の嫁じゃなくて、私の嫁になれば万事解決だよ!!ね!?」
「断る!」
「即答!?(泣)」
カロリーさんはマナの即答に泣き崩れ、俺とプリンちゃんは謂れのない暴力を受けつつ先に進む。
…………プリンちゃんは謂れがあるからまぁいいか。




