第100話 過ち
スライムダンジョンの奥へ進んでいく元おっさんの俺と神獣幼女とその幼女大好き変態女忍者とライオン頭のオカマグリフォンのパーティ。
俺が一番キャラが立ってないな……。今後頑張ろう……。
暫く進むと、前方にこのダンジョンには不相応の枯れ果てた様な木が1本、目に入って来た。
その木は、3m程度の高さで今にもダンジョンの上部に届きそうな程の大きさで幹の太さは大体、2m程度か?。
枯木本体と所々に僅かに残るは枝葉には、緑色の丸い実?が生っている。
しかも木々全体がウネウネ動き、まるで通せんぼをしているかの様に通路を塞ぎ、各々の枝葉の先からは人の手足の様な物がウネウネ動き僅かに左右に移動していて気持ち悪い。
ビューん!!
俺がその道を塞いでいる枯れ木に狼狽えていると、プリンちゃんが風の様に俺たちの横を駆け抜けてそのウネウネ動いている木に突っ込んでいって抱き着いた。
「やっだぁぁぁん!!こんな所で会えるなんて思ってなかったわぁぁん!どおぉしたのぉん?こんな所でぇぇ!!」
「「え?」」
プリンちゃんがそのウネウネする木に話しかけているが……目がハートマークになっている……。
俺とカロリーさんはそれを見て呆気に取られる。
「あー……あいつまーた引っ掛かりやがった。」
「え?プリンちゃん、どうしたんですか?」
カロリーは頭を抱えて溜息まじりに呟く。
「あれが『ピンポンツリーイミテーション』て言う魔獣だよ。ったく。あいつ……まーた引っ掛かりやがって……。」
「あれが!?」
ここに来る前に、魔石ライトを作成したのだが、その魔導石は、『ピンポンツリーイミテーション』なる魔獣を討伐した際に手に入れた物だとプリンちゃんが言っていた筈……。
その魔獣は、対象となる相手の嗜好品や好きな相手の幻想を見せ、油断し近寄った所に攻撃を加えて捕食するタイプの魔獣と言っていた。
え?と言う事は……プリンちゃん……ヤバくない?
「んもぉおん!!こんな所に一人でいたら危ないわよぉぉおおん!私が守ってあ・げ・る!ウフっ!!」
「プリンちゃんには何に見えているんですかね……。」
「はっ!大方、さっき言ってたイケメン美容師にでも見えてんじゃねぇ?」
「来週行こうと思ってたのよぉおん!でもあのバカ(カロリー)のせいで私の自慢の鬣がなくなっちゃったのぉおん。え?構わない?むしろもっと綺麗にしてあげるですってぇぇん!!あらぁあんやだぁぁぁん!優しいわねぇぇぇん!!たまんないわぁぁぁん!!」
うん。デカい独り言から察するに、間違いなくそのイケメン美容師に見えているのは確実だ。
ウネウネ動いている木にクネクネしながら独り言を捲し立てているプリンちゃん。
異様な光景だな。
プリンちゃんはいつもクネクネしてるから異様でもないか。
「…………ほっといていいんですか?」
「………まぁ、一発貰えば目が覚めるだろ。」
ある意味ほっとくのね。
すると『ピンポンツリーイミテーション』の身体に散りばめられている緑色の実がどす黒い赤色に変色し始めた。
それを見てカロリーさんが呟く。
「あー……来るわ。」
「来る?何が来るんですか?」
「攻撃が。」
「え?」
ドドドドドドドドッ!!!!
「んんぎゃあぁgyっぎゃkぁぁぁああヵkぁkぁぁああああんん!!」
『ピンポンツリーイミテーション』から赤色に変色した実の様な物が、機関銃の様に一斉に斉射され、全弾命中したプリンちゃんは吹っ飛んだ。
「あちゃー……。」
「え?え!?カロリーさん!?大丈夫なんですよね!?プリンちゃん!?」
「あいつなら食らっても死にやしないだろ……前も死ななかったし。……多分(小声)」
俺は過去に似たような光景を思い出す。
それは俺が中二病を発症していた頃……自衛隊の演習を見に行き、その際に12.7mm重機関銃を発砲するデモンストレーションを見た事があるのだ。
正にそれと同じ……異世界こっわっ!!あんな生物?植物?がいるとかこーわっ!!!
それを全弾食らったプリンちゃん……ヤバくない?
「カロリーさん?プリンちゃん……ピクリとも動かなくなっちゃったんですけど……。」
「………死んだかな?」
「カロリーさん!死なないって言いましたよね!?」
「…………パンツ君。時に人は間違いを犯すものだよ。」
「いやいや!間違いを犯しちゃ行けない場面ですよ!?何、自己肯定して納得しようとしてるんですか!?」
「それでもやらかす事だってあるさ。クッ…!」
「なんじゃ?主よ。また『ナム』するのか?我が『ナム』してくるぞ?」
「マナ……何でそんなに南無させようとしてるんだよ……。」
目元を押さえて涙を拭う仕草をするカロリーさんに、プリンちゃんがふっ飛ばされた場所に合掌しながら赴き『南無』しようとするマナ。
え?マジでプリンちゃん死んじゃったの!?
すると先ほどまでクネクネしていた『ピンポンツリーイミテーション』が小刻みに揺れワサワサ木々がざわついている。いや、震えている?
「んふふぅぅうん……危なかったわぁぁん。んもぉぉおん愛情表現が激しいわねぇぇん。」
むくりと立ち上がるプリンちゃんの身体には、まるで竜巻が全身を守る様に渦巻き覆っていた。
そのプリンちゃんを取り囲む竜巻の外側に『ピンポンツリーイミテーション』が発射した玉もその乱流の中で回転していた。
「ふぅうう……危なかったわぁぁん。今日は危険日かしらぁぁぁんん。」
何を言ってんだろう。あの雄グリフォン。
「じゃぁ……頂いたタマタマ……お返しするわよぉぉおぉぉおん!!!」
プリンちゃんはそう咆哮すると、『ピンポンツリーイミテーション』の玉を強烈な風に乗せて華麗に操り、放たれた時と同じく、いや、それ以上の速度で機関砲の様に放った。
ドドドドドドドドッドカンドカンドカン!!!!!
『ピンポンツリーイミテーション』はそれを避ける事が出来ずに全弾真面に食らうと、玉が爆発して体を形作る木々が四散する。
そして、それ以降動かなくなってしまった。粉々だから動く訳がない……。
すると『ピンポンツリーイミテーション』の死骸?が徐々にダンジョンに吸収され始めた。
ここはスライムダンジョン。遺体は全てスライムに食われるのだ。
暫くすると、吸収された辺りの地面が盛り上がり、ピュッ!っとまるで口から飴を噴き出す様に魔導石が飛び出してきた。
「お!魔導石じゃん!結構大きいな!やったぜ!!」
「ちょっとぉおおん!倒したのは私でしょぉぉおん!!」
「いいじゃねぇか。ウチのギルドで割引して買い取ってやるからさぁ。」
「うっそぉぉおん!本当ぉぉおん!………って割引したら安く買い叩かれるじゃないのよぉぉおん!!」
カロリーさんが嬉しそうに手の平サイズの魔導石を拾うと、抗議の声をあげるプリンちゃん
しかし……あの密着した状態での攻撃をまさかプリンちゃんは防いでいたと言う事か?
カロリーさんもそれを知っていた?




